母の色無地とつきあう。
空からの恵みが雪から雨に変わる雨水の候となりました。
先日はフォーマルの装いと、真っ白な反物から誂えた色無地をご紹介しました。
今回は彼女が以前から着ている、こっくりした深みのある色無地について。
「どちらも母から譲ってもらった色無地です」
「墨黒(写真右)も茶(写真左)の色無地も元々は薄い黄緑色だったのですが、私には難しい色だったので、染め直しをしたんです。色を好みに変えただけで、袖を通す回数はとても増えました。濃い色の色無地はファッションとしても楽しんでいます。モダンに、格好良く粋にきものを着こなしたいと思われている方にはおススメします」
「渋い色無地は、ともすると顔色がくすんで見えてしまうこともあるため、顔映りよく華やかになるような小物選びをします。
写真の時は、帯や帯揚げに鮮やかなコバルトブルーを加えました。茶系にはとても映える色だと思います。小物にこうした効かせ色を使うとコーディネートも引き締まります」
「また帯揚げには白や淡い色を加えると、半衿と足袋までに白のリズムができ、渋い色の装いに品のある華やかさが生まれます。さらにここで光沢感のある帯を選ぶと艶っぽさも加わります」
白い反物を自分好みに染め、しつけをほどいて身にまとうオートクチュールの贅沢。
そして染め直したことで愛着が増した母の色無地。
どちらかではなく、そのどちらもが着物の醍醐味。
新しく増やすだけでなく、今あるものを私好みにしてうまくつきあっていく。
少し手をかけるだけで、タンスで眠っていたきものはお気に入りの一枚になるかもしれません。
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