7月1日准胝さまに懺悔してみる。
今日から7月です。
7月1日は13時から壇上伽藍で准胝堂陀羅尼会が行われます。
おやこの人は…?
准胝観音は六観音のお一人、とされています。
人道の世界を裁量しておられます。
高野山の壇上伽藍が整備され始めた頃、
かなり早い段階で整えられたのがこの准胝堂。
お大師さまが得度されたときの得度本尊が准胝観音だったと
されており、ここ高野山で弟子を育成し始めることになった時、
手ずから准胝観音の像を彫られて弟子たちの得度本尊としました。
以来、長く高野山では得度はこの准胝堂で行われてきましたが、
今では集団での得度が一般的になり、残念ながらここでの
得度式は行われなくなっています。
ということで、上の写真は得度式当日の私です。
お師僧さまにそのいわれを教えていただき、得度式の前に
准胝尊の御宝前で陀羅尼と御宝号をお唱えするようにと
言われおつとめさせていただいているところです。
直接の得度本尊、というわけではないにしても
こちらの御本尊は、古来のしきたりに従い
人生の節目を見守ってくださった大切なお方。
壇上伽藍にいくたびにご挨拶いたしますよ。
准胝尊。正御影供御逮夜には諸堂が開き供養法が修されます。
准胝観音さまはもともとは観音というわけではなく
仏部の尊であるとされ、別名七俱胝仏母。
胎蔵曼荼羅でも遍智院に仏眼尊とともに描かれ、
過去無量の諸仏の母としての尊であるとされています。
ですので、出家の人にとっては仏弟子を得るために、
在家の人にとっては後継の子どもを得るために
よく拝まれた方です。
多くは十八臂三目で、海上におられ二人の竜王に支えられたお姿。
三摩耶形は賢瓶、五鈷杵、甲冑。
種字は「ボ」。
求児の他、除災、延命、治病、修行者の守護などのご利益がある
とされています。
醍醐寺は上醍醐の准胝堂におられた准胝尊がお像としては
最もよく知られています。
平成20年に落雷により准胝堂が焼失、この時に
残念ながら御本尊も焼失したようです。
今日の准胝堂陀羅尼会は、明算大徳(1021年~1106年)
のときに始められたと伝えられている悔過の法会。
悔過とは自らの犯した罪や過ちを悔い改めること。
奈良時代から盛んに行われており、
薬師悔過や十一面悔過、吉祥悔過など様々な仏さまを
ご本尊として修されてきました。
お水取りとして知られる東大寺二月堂の修二会は
十一面観音の前で行われる十一面悔過の性格もある法会です。
まずは懺悔を行うというのは、いつでも大切なこと。
准胝堂陀羅尼会では尊勝陀羅尼という陀羅尼を
お唱えして懺悔しますが、この陀羅尼は
罪障消滅、延命長寿、除厄に功徳があるとされ、
インド、西域、チベット、中国、日本で流行しました。
真言宗の常用経典にも入っており、
ご供養など様々な時にお唱えされる主要な陀羅尼の一つです。
今昔物語集に藤原常行が夜女性のところに通う途中に
鬼に出くわしたが、この陀羅尼を書いたものを
乳母が襟に縫いこんでいてくれたおかげで難を免れた、
というお話が出てきますが、それくらい霊験のある陀羅尼ですよ。
懺悔の方法は色々ありますが、仏さまの前で前非を悔い改める、
ということに変わりはありません。
こういう法会に参加することができればもちろんいいのですが、
そうでなくても遠くから思いをはせて懺悔するもアリです。
お昼過ぎの時間、ふとそんなことをしてみるのはいかがでしょう?