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「エールとノエル」の聴きどころ!その③

「エールとノエル」の聴きどころ!今回は後半プログラム、フランスのクリスマスについてご紹介します。今回は元ネタ大暴露回です(笑)

前回、前々回のコラムはこちら
エールとノエルの聴きどころ!その①
エールとノエルの聴きどころ!その②


日本ではクリスマスというと、サンタさんがやってくるクリスマス・イブがメインイベントになりがちですが、25日こそがイエス・キリストが生まれた日であり、ヨーロッパでは25日は祝日です。フランスで何度かクリスマスを過ごしましたが、街はとても静かで、穏やかに家族と一緒に過ごす日がクリスマスなんだそうです。逆にお正月は花火が上がって、夜まで騒いでお祭り騒ぎ!恋人と過ごすのがお正月だそうです。日本とかなり文化が違って面白いですね。

それではクリスマスの物語を絵画を通して見ていきましょう。

受胎告知


ベツレヘムに住むマリアのもとに大天使ガブリエルが現れ、神の子キリストを懐妊したことを伝えます。処女であったマリアは驚き、戸惑いますが、すぐにこの知らせを受け入れます。天使の持つユリの花は純潔を表しています。

天使と羊飼い

広野で寝ずの番をしている羊飼いのもとに天使の大群が現れ、「ベツレヘムでお前たちの救い主キリストが生まれる、行って拝みなさい」と告げ、羊飼いたちは喜び急いでベツレヘムへ向かいました。

イエス降誕

イエス・キリストは貧しい馬小屋で生まれ、飼い葉桶の中で眠っていました。星に導かれてやってきた東方の3博士、羊飼いたち、動物たちはそこに集い、イエス降誕を祝い、拝むのでした。
上部には祝福する天使たちも描かれていますね。

さて後半プログラムは、このクリスマスの物語順に、シャルパンティエの「真夜中のミサ曲」を下地として、各所にフランスのクリスマス・ソングを配置して構成しました。
シャルパンティエや真夜中のミサ曲についての解説は、関根先生の解説が当日プログラムに掲載されますのでお楽しみに。

「真夜中のミサ曲」について、軽く説明すると、真夜中のミサとは12月24日クリスマス・イブに行われる伝統的なミサのことです。
シャルパンティエはミサの通常文に当時流行っていたクリスマスソングを散りばめて作曲していて、その親しみ深いメロディーゆえか、シャルパンティの作品の中でもとても人気が高く良く演奏されています。

今回はキリエ、サンクトゥス、アニュス・デイを取り出して演奏します。

ではアニュス・デイを聞いてみましょう!

この歌はクリスマスソングのÀ minuit fut fait un réveil(真夜中に目覚め)が元ネタで、真夜中にイエス誕生の知らせを受けた羊飼いたちの驚きと喜びを歌っています。元ネタと同様に華やかで喜ばしい楽曲です。

さて元ネタというと、キリスト教の歌には、元々は世俗曲や民謡だったものに宗教的なものに歌詞を付けて歌われてきた歴史があります。
有名なところだとグリーンスリーブスの旋律にクリスマスの歌詞をつけたものでしょうか?

今回、演奏する曲の中にもいくつかございますので、ご紹介いたします。


Il est né le divin Enfant (神の御子がお生まれになった)

この曲はキリストの降誕を歌ったクリスマスソングとしてフランスで親しまれています。日本でも「お生まれだ、イエスさまが」という賛美歌で馴染みがあると思います。1874年、サン=ディエ大聖堂のオルガニストであったジャン=ロマン・グロジャンが編纂したロレーヌ地方のクリスマス曲集に初めて掲載されました。
ちなみにこの旋律は17世紀のフランスの狩猟曲「La Tête bizarde」に由来しています。

さあ、元ネタを聞いてみましょう!

les trompes de chasse(狩猟のラッパ)で演奏していますね。
こんなやつです。

なぜか我が家にもあります(笑)
パリの蚤の市でなんか良さげだったから奥さんが買ってきました。激安だった気がします。

ちなみにこちらがよく歌われているIl est né le divin Enfantです。


今回は原曲の旋律をベースに混声4部に編曲しました。
音型のせいか、広野や山々に羊飼いたちの歌が響くようなアレンジになっています。お楽しみに。



もう一曲、Un flambeau Jannette Isabelle(松明だ、ジャネ ットとイサベル)をご紹介します。
17世紀プロヴァンス地方のクリスマスソングです。

歌詞の内容はジャネットとイザベルの2人の農婦が、ベツレヘムの牛の乳を搾りに行くと、飼い葉桶の中で眠っているイエスを見つけるというお話しである。二人の女性は人々にキリストの降臨を伝えると、人々は自分の目で確かめようと松明を持ってやってきました。

画家のジョルジュ・ド・ラ・トゥールは、この歌に触発されて「新生児」というキリスト降誕の絵を描いています。

Le Nouveau-né : Georges de la Tour

元歌はクリスマスソングではなく、貴族の舞曲でした。
1668年にニコラ・サボリーによって出版されたプロヴァンスの12のノエル集に、プロヴァンス語の歌詞(Venès lèu, Vèire la piéucello; Venès lèu, Genti pastourèu!)で掲載されています。
このメロディーはとても人気があり、4年後の1672年にモリエールの「Le médecin malgré (いやいやながら医者にされ)」の再演で、酒の歌 Qu'ils sont doux, bouteille jolie (何と甘美な、楽しい酒よ!)としてシャルパンティエがこの旋律を使い、発表しました。
その後、別の歌詞 Qu’il est doux, charmente Climène (何と甘美な、魅力的なクリメーヌよ)でも、この旋律が使われました。

こちらは音源が見つからなかったので、私、頑張って歌ってみました。旋律のみですが、ご参考程度に。。。

このシンプルな旋律の中に色んな表情があることが、人気の秘訣かな、と歌ってみて思いました。

そしてこちらがUn flambeau Jannette Isabelleです。

演奏はジョン・ラター指揮でケンブリッジシンガーズです。ちなみに編曲もラター。この編曲、好きなんです♪

こちらも混声4部に編曲いたしました。

今回のプログラムの楽譜作成・編曲は私が担当で、結構頑張って編曲・編集しました。
アンコールのあの曲も面白い編曲に仕上がったんではないか、と自負しております。
どんな編曲かは当日お楽しみに♪

当日、会場、また配信で皆さまにお会いできることを心待ちにしております。

演奏会の情報はこちら

『エールとノエル』
~17-18世紀フランスのエール・ド・クールとクリスマスの歌~

17〜18世紀のフランスで貴族に親しまれていたエール・ド・クール(宮廷歌曲)。その内容は恋の歌、牧歌、酒の歌と様々です。宮廷のサロンでお話やお酒を嗜みながら音楽を楽しむ。そんな歌曲と、当時フランスで親しまれたクリスマスソングを織り交ぜたコンサートをお届けします。楽しいひとときを過ごしていただけたら幸いです。

日時: 2022年12月4日(日)開場15:30 開演16:00
場所: 日本キリスト教団 島之内教会

来場&配信チケットはこちら
http://www.sasakihiroko.com/22-12-04/

 《プログラム》田尻健監修
第1部【宮廷で語られる恋愛模様】
第2部【クリスマス・ミサ〜フランスのノエル】

M.ランベール M. Lambert (1610-1696)/ 秘められた熱情 D’un feu secret
M.A.シャルパンティエM.A. Charpentier (1643-1704) / 不安もなくあの森で Sans frayeur dans ce bois

クリスマスの歌 Chants de Noël / 
 言ってください、マリアよ Or nous dites Marie
 若き乙女は Une jeune pucelle        他

【アーカイブ配信も行います!】
遠方の皆様向けにアーカイブ配信も決定→チケット発売は12/14まで。配信は12/15-25に行いますのでご注意を⚠️

配信券は2000円、
パンフレットデータ/対訳/解説付き配信券は3000円です。



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