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「透明な夜の香り」を読んで

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①.「透明な夜の香り」を読んで
先日古本屋で見つけたこの一冊。タイトルや帯に書いてあるように「香り」に焦点を当てたミステリー小説。ミステリーなのか推理なのか人間ドラマなのか、、、正直ジャンルは定かではありません。全編通してその”香り”の表現が芳醇ということだけは確か。お酒を飲みながら読むのもアリかも。
以前、村田沙耶香さんの「コンビニ人間」を拝読した際「この本からは音がする!」と驚いたのを覚えていますが、今回はまさに「この本からは匂いがする!」にあたります。

社会の中で生きていくのに疲れてしまった主人公の女性が、”調香師”という仕事をする人の元へ雑務スタッフとしてアルバイトに行くことに決まったところから物語がスタートするのですが、その”調香師”がクセモノ。彼は鼻が効きすぎるが故、匂いから人の感情を読み取ってしまうほどの敏感体質。特に嘘には敏感で、、、そこで巻き起こる様々な出来事を短編にした今作。もちろん各所で語られ、言葉で表現される香りは必ずしもいい匂いとは限りません。そしてその匂いは人を良い方向にも悪い方向にも変えてしまう。この小説にはそんな怖さを感じますね。ゾワッとしてしまう。ホラーとまではいかないけれど、香りと結びついた人の感情の陰鬱さ、ジメジメさみたいなものを感じつつも、主人公にとって救いのある光にもなる良い物語だと感じました。
人というのは、視覚的な情報よりも嗅覚情報のほうが記憶と結びついていると感じます。音楽による聴覚情報も記憶との結びつきが強いですよね。案外視覚なんて五感のなかでは一番当てにならないものかもしれません。

ここで気づいたのですが、読書は五感全てを使っている気がします。味覚は想像力で笑。バイクに乗っているときも読書と同様に味覚以外の五感をフルに使っている。やはりバイクと本には通ずるものがあるなぁと強く感じますね。お互い性格は全然違うのに。そこに新たな価値というか世界観というか、魅力を見出せる気がしています。
そんなことを考えてみたり。

今回はこの辺で。

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