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あなたの愛で、本当の自分になれた。「リリーのすべて」
Hej!
ピザが無いと生きていけないとエンピツカフェの店員さんに噂されているアンです。今日もピザ、もぐもぐとほおばってます。
お気に入りの世界の映画を紹介しますね。
今回紹介する映画は、世界で初めて性別適合手術を受けたLili Elbe(リリー・エルベ)さんがモデルとなった作品「リリーのすべて」。
1926年デンマーク。風景画家のEinar Wegener(アイナー・ヴェイナー)さんは、肖像画家の妻Gerda Wegener(ゲルダ・ヴェイナー)さんに女性モデルの代役を頼まれたことをきっかけに、自身の内側に潜む女性の存在が目覚めてしまう。それ以来、「リリー」という名の女性として過ごす時間が増えていき、自分らしさを見い出したことで輝いていくリリーさん。
本当の自分になりたいリリーさんと、夫が夫でなくなっていく事態に戸惑いながらも一番の理解者であり続けた妻ゲルダさんが織りなす“究極の愛”の物語、あなたとだから見つけられた“本当の私”。
これは、いまから80年以上も前、おそらくまだ“トランスジェンダー”という言葉もなかった時代に、世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人リリー・エルベさんの実話に基づいた物語なんです。
現実の世界でのアイナーさんは、22歳でゲルダさんと結婚、30歳から女性として生活をするようになり、38歳に「リリー・エルベ」と名乗るようになりました。
そして、女性の身体を求めて「母となるため」、1930年から1931年にかけて手術を受け、陰茎の除去と卵巣の移植手術、最後に子宮が移植され、50歳を前に念願の「母」の体となることができました。
手術の拒絶反応が重く、術後は長生き出来なかったようです。
つまり、アイナー・ヴェイナーさんから、完全体のリリー・エルベさんになるまで、20年以上の歳月がかかったということね。
夫アイナーさんは、ゲルダさんよりも才能のある芸術家と見なされていたけど、自分の作品や評価を投げ打ってでも、妻ゲルダさんの追求する芸術を助け続けました。
そして、「リリー・エルベ」は、ゲルダさんにとってお気に入りのモデルとなり、その作品群が評価されて画壇で有名になったのです。
その成功の裏には、夫アイナーさんが「リリー・エルベ」でいればいるほど、大好きな夫を失っていくことに不安を募らせる妻ゲルダさんと本当の自分を解放するよろこびを知り、偽りの体との不一致にますます苦悩を深めていく夫アイナーさんの葛藤がありました。
お互いがお互いの魂の片割れのような、ソウルメイトともいえる関係。
やっぱり愛する人を信じ、あるがままを受け入れることに戸惑いは隠せないものなんだなぁ、と感じさせてくれる映画でした。