ゲームが家族の縁を紡いだ話

僕の実家は北海道にあり、父と母と3人家族です。

父と母はゲームが大好きで、今でも実家に帰ると母はリビングのテレビを占領してスプラトゥーン2を(ガチホコSランク!)。父は小さなテレビをリビングテーブルに置いてRPGを。同じ空間にいてそれぞれがゲームをしています。

今でこそ日常の風景ですが、僕が産まれる前は旅行好きだったと聞いていました。「もしかしたら、僕が産まれたからだろうか」と思うことがあったので自分語りをしてみます。

幼少の頃、僕は外で遊ぶのが嫌いでした。運動神経も悪かったし、線も細く体育の時間はいつも憂鬱。外で遊ぶくらいなら家で遊ぶほうがずっと楽しい。ミニ四駆世代なのに、全くハマらずにガンプラを作ってばかり。

父からよくキャッチボールに誘われたりもしました。でも僕は痛いのが嫌で…笑。外にでませんでした。今なら父は寂しかったのではと思うし、将来を心配したでしょう。

見かねたのかもともと好きだったのかわかりませんが、父は家にかえると夕食後に毎日TVゲームをするようになりました。

父の好きなゲームはRPG。僕の思春期はスーパーファミコンからPS2あたりの世代。ドラゴンクエストやファイナルファンタジーをプレイしているのをソファで観るのが日課でした。でもあまりプレイさせてもらえませんでした。最初は観ているだけでしたが、ドラゴンクエストVの城ダンジョンのテーマが怖くて、父に「進まないで!」と懇願したり「そろそろ回復したほうがいいよ!」とアドバイスを始めます。

そのうち父は攻略本を買ってくるようになりました。攻略本を読める頃には自分のほうがゲームが上手いと信じていました。当然、僕は読み込みます。

「父さん、右に曲がると宝箱があるよ」
「次のセーブポイントまで遠いから回復しておこう」

最強アドバイザー(自称)の誕生です。
そのうち家にないゲームの攻略本も読み始めたり、本屋に行くと「大技林」といった裏技本やファミ通を読み漁り少しでも情報を取るように。

母もそれみて味をしめたのかゲームをやりはじめました。
母の得意なゲームはパズルゲーム。ひたすらぷよぷよを対戦してました。

小学校高学年から中学生には反抗期を迎えて流石にアドバイザーまではしなかったものの、もはや日課となっていた両親とのゲーム。

反抗期で距離を置きたい自分と、放っておけない両親との間をゲームが繋ぎとめていました。親と何かをするのは恥ずかしかったけれど、ゲームを一緒にするのは大丈夫でした。

振り返ると、ろくに友達も作らなかった僕が引きこもりにもならなかったのはゲームが楽しかったからかもしれません。

大学生から親もとを離れて一人暮らしになりました。それでも実家に帰ると両親はゲームをしています。

今でも実家に帰省すると母がクリアできないゲームが待っています。

母は任天堂のゲームが好きです。特にマリオはWii以降、すべてのマリオシリーズを持っているのではないでしょうか。マリオもドンキーコングも何度かチャレンジしてクリアできないステージは、スキップしたり最初から強いマリオでステージに挑めます。先のステージにいけなくて飽きるということがないようになっているんです。

還暦を超えた母は、あろうことか裏ステージの最難関以外のほとんどのステージをクリアしていました。

いくら両親よりゲームが得意とはいえ、初見のゲームでいきなり最難関のステージに挑まされるのです。

年末年始の帰省、僕はこのステージクリアに時間を費やします。
とは言え僕もゲーム好きの端くれ。これも親孝行だと思ってやるのは悪い気分じゃないです。意地でもクリアして帰省を終えます。

両親とどこかへ出かけたり、一緒に飲み歩くといった家庭ではありませんがゲームを一緒に冒険した思い出、実家のリビングで家族が揃っていた時間は僕の財産です。

ゲームを訝しがるご家庭や、市もありますが「楽しい」と思うものを共有できるのは家族にせよ友人にせよ嬉しいものです。今でも両親との思い出で印象的なのはゲームを一緒に楽しんでる時間です。

臆病な僕の好奇心はゲームによって育まれました。今でも何かを調べるのが好きです。僕はいま情シスで会社のシステム管理者をしていますが、それも楽しくやれているのは新しいゲームをするのと同じような感覚があるからです。

ところで、すでに最愛の娘がもうすぐ産まれます。ありがとうございます。
娘には、僕と違って沢山外で遊んでほしいなと思います。やっぱりスポーツができると自己肯定感が増しますから…笑

でも、密かに僕と両親を紡ぎ続けたTVゲームも一緒にやれることを楽しみにしています。

娘がどんな子に育つか不安も期待もあります。自分が興味のない分野に関心をもつかもしれません。僕はそれをすべて受け入れて楽しみたいと思います。それが彼女の良い家族の思い出になれば幸せです。

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