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矯正医のためのアルミナサンドブラストのススメ その3


アルミナサンドブラスト使用上の注意点を記述していきたいと思います。口腔内でアルミナサンドブラストを使用する場合は添付文書で「ラバーダムを使用してください」ということが書いてあります。また粉が飛散することから目の保護や口腔内バキュームの使用について書いてあります。
矯正でラバーダムの使用は不可能ではないと思いますが作業上難しい場合があります。
例えば下顎の場合だと上顎の頬側咬頭に当たらないように設置する時1回噛ませて確認する際にクランプが邪魔になったりします。またアライナーの場合、アタッチメントテンプレートが歯頚部のところで当たってしまう可能性があります。
また、ラバーダムの場合、矯正専門医やフリーランスの場合クランプフォーセップスはセパレートゴムの設置に使用できますがクランプやシートなどは少しハードルが高いかもしれません。もちろんできる場合はラバーダム設置でいいと思います。
ラバーダムについては福岡の辻本先生の執筆された本(https://www.shien.co.jp/act/d.do?id=9549)をご確認ください。
本noteでは代替法について記述していきます。


1.ミニダム

ミニダム(小・大臼歯の場合の簡易ラバーダム)

実際に使うと防湿目的だとかなり懐疑的ですが歯肉保護の意味では使えます!
欠点1
小、大臼歯用であるため前歯に使えません。頑張れば使えないわけではないですが落ち着きが悪く形態によるって感じです。
欠点2
臼歯部に叢生がある場合はコンタクトが通りにくく使えません。
またコンタクトがきつい場合も設置できません。フロスト押したり色々しても設置できない場合がありました。
使えない場合も多々あるのでちょっとわざわざ用意するのは無駄が多いかもしれません。


2.オパールダム

ウルトラデントさんから出ているホワイトニング時に歯肉を保護するレジンです。
簡単に歯肉を覆うことができ、撤去も簡単にできます。


また、アルミナサンドブラスではエナメル質が削れます。よって近接している天然歯を覆い保護しておくこともできるので使い勝手がいいです。
ただし、直接アルミなサンドブラストがかかると剥がれてしまうことがあります。なのでノズルの当てる方向には注意が必要になります。

歯科衛生士 2022 vol.46 P35から引用

本記事はエアフローの使用法のものですが補綴歯におけるサンドブラストの使い方としても十分通じる方法です。歯肉保護をレジンで行い、粉は歯頸部から当てる。切縁側よりバキュームを当てる。
というのがいいと思います。


3.ワセリン

ワセリンによる歯肉保護効果は十分でないのでワセリンでアルミなサンドブラストはお勧めしません。


まとめ


補綴物への矯正装置やアライナーアタッチメントの接着において、重要なアルミナサンドブラスト処理。
これを口腔内で行う際に必要な歯肉保護法のおすすめは

オパールダムをした上で歯頚部側から角度をつけて咬合面側に向けて噴射する。
その際バキューム操作は可能な限り近接し、粉の飛散を防ぐようにする。

です。


マイクロエッチャーCD vs ロンドフレックスプラス

マイクロエッチャーCD
ロンドフレックスプラス


1.ノズル形態

左マイクロエッチャーCD 右ロンドフレックスプラス

写真で見ると分かるとおりマイクロエッチャーの方が噴射口が大きく、実際に口腔内で使ってみると噴射範囲が広く細かい操作は難しいかったです。
また注水もできないのでバキュームと口腔外バキュームでも吸い切れない粉が空間に舞ってしまいます。一方、ロンドフレックスプラスは注水、無注水どちらも使用できます。特に口腔内で使用する場合は注水し、バキューム、口腔外バキューム使用することで体感で飛散することは感じませんでした。
いずれにしろ飛沫は飛ぶので術者、アシストのアイガード、患者の顔のドレープやタオルもしくはアイガードは必要だと思います。

2.ノズル長さ


左マイクロエッチャーCD 右ロンドフレックスプラス

長さが異なります。マイクロエッチャーのサイズだと臼歯部では角度などの自由はほとんどききません。先に記述した歯茎部から角度をつけてというのは口腔内が小さい方ですとマイクロエッチャーは難しいです。

3.パウダータンク


マイクロエッチャーCD
ロンドフレックスプラス

マイクロエッチャーはタンクが透明で残量が一目でわかる点がいいですが角度に関してはタンクが下向きで水平にしていないと使えないです。なのでお口の中で取り回していると粉が出なくなったりすることがあります。一方、ロンンドフレックスプラスはどの角度でも問題なく作動します。またノズルについても角度付きのものがあり、やはり口腔内で使用すること前提の設計になっているように思います。

4.カプリング


カボカプリング
4つ穴規格

ロンドフレックスの最大の欠点は値段とカボのカプリングにしか対応していないところにあります。
ただ、今回カプリングごと交換して使用してみましたが頻度があまり多くないのでそこまで苦ではありませんでした。


まとめ


どちらも使えないことはないですし、十分使えます。
ただ、頻度や他に応用するかなどしっかり考慮した上で決めてください。コストの差がかなり大きいので。。。
修復にも使う可能性があるのであれば個人的にはロンドフレックスプラスがおすすめです。
矯正での補綴物への接着という用途に限られるのであればマイクロエッチャーで十分だと思います。

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