矯正医のためのアルミナサンドブラストのススメ その1
〜サンドブラスターについて〜
補綴物に矯正用アタッチメントを接着するためにはアルミナサンドブラストが必須です。ただ機種や粉、気圧、ユニットとの接合方法などまとまった資料がなかったので今回まとめてみたいと思います。
その1では口腔内で使用できるサンドブラスターについて
その2ではパウダーについて粒子の径や圧力について
その3では口腔内で使用する際の注意点(特に歯肉保護について)
その4では表面処理と(発表の準備ができていれば)ジルコニアにブラケットを接着した実験結果
をつらつら書いていきたいと思います。
サンドブラスター(エアアブレーション)と接着
補綴医は接着前の内面処理として清掃と接着面の塑像化を兼ねてアルミナサンドブラストをされる先生が多くいらっしゃいます。ジルコニアの接着について多くの情報を発信されているペンシルバニア大学歯学部 修復学のBlatz教授が提唱するジルコニア接着の「APC」(A:エアアブレーション P:プライミング C:セメンティング)コンセプトでもエアアブレーション(→アルミナサンドブラスト)が含まれています。
矯正においての補綴物への接着は
1.内面ではなく外側面
2.口腔内に露出していて汚染並びに表層劣化している
3.維持形態がない
など接着においては実は補綴物を内面処理して接着する条件よりはある意味過酷な状況です。
つまり、補綴物へブラケットなどのアタッチメントの接着は歯牙に補綴物を接着する時と少し注意ポイントがとこなります。
ただ、補綴物にアタッチメントを接着する際もアルミナサンドブラストを行うことでより精度の高い接着操作が可能になるといえます。(カーボランダム処理との比較はその4あたりで書いていきたいと思います。)
口腔内で使えるアルミナサンドブラスター(ブラケット装着に応用可能)
1.やっぱりマイクロエッチャーシリーズ(Ⅱ、ⅡA、CD)
マイクロエッチャーシリーズはエアーの供給方法と接続方法がほとんどの状況に対応できます。
$フリーランス矯正医で持ち歩きたい場合は→Ⅱ or ⅡA +ブロー缶
飛行機移動の場合はブロー缶の持ち込みが難しいですが設置工事やユニットの互換性を考える必要がありませんのでフリーランス向きになります。ブロー間の気圧は気圧は缶と言う特性上圧力にムラがありますが0.55MPaの圧力がかかります。この圧力はユニットのタービン経路や外部出力回路よりも少し高めになるのでセラミック系の修復材料に使用する際はチッピングなどに注意する必要があります。
$仕事先で用意してもらう場合+ユニットにAIRのメスジョイントが設置してある場合→Ⅱ or ⅡA
↓モリムラパンフレットから引用しています↓
国内メーカのユニットにAIR専用メスジョイントか設置されている場合があります。また海外ブランドでも何か外部機器を接続する関係でメスジョイントが設置されている場合があります。もしメスジョイントがユニットに設置されている場合は上の資料のように設置してもらうといいと思います。
ただこの際の圧縮空気の回路のコンプレッサーの容量、同時稼働の状態によって変動しますのでユニットやコンプレッサーなどの各社メーカーに問い合わせるか実際に計測するかしないと正確な気圧はわかりませんが概ね0.4MPa程度になるのではないかと思います。
この場合の特徴としては手元にスイッチボタンがあるためボタンのON OFFで手元がぶれやすいと言う特徴があります。またAIRバルブの位置とユニットの設置環境次第では大変手間がかかってしまう可能性があります。(ユニットのスピットん周りにあることが多いので。。)
$仕事先で用意してもらう場合+AIRメスジョイントが設置されていない→CD
↓モリムラパンフレットから引用しています↓
Kavoさんやシロナさんのユニットを使用している場合はほとんどが同社のカプリングが設置してあるのでどちらかのものを使用していただければいいと思います。
もしタービンのジョイント部分(突起のところ)が外せてこの規格(ISOの共通規格?)が出てくるようならシロナやKAVOのカプリングを一緒に購入すれば使えるようになります。
タービン回路を使うメリットはフットスイッチでONOFFができる点、圧力がタービン用に0.2~0.3MPaに調整されているのでセラミック補綴にサンドブラストする際の圧力に最適になっている可能性が高いです。(←実際はそのユニットで計測してみないとわからないです)
KAVOさんのタービンヘッドやエアスケーラーはコアなファンもいるものなので、2系統タービンをつけているユニットでしたら1系統をKAVOカプリングにするのもありかもしれません。
コストは少しかさみますがサッと準備できてスッと使えるのはメリットが大きいと思います。
2.工業製品美漂うミニブラスター
モリタさんが輸入販売を行うミニブラスターです。これはユニットのAIRメスジョイントに接続することで使用が可能になります。こちらを使用する場合はユニットにメスジョイントがあるか調べてもらってから購入してください。前述しましたが気圧は0.4気圧前後になりまして少し強めになります。
$マイクロエッチャーⅡA vs ミニブラスター
ともにハンドルとヘッドの部分(タンク部分とエアホース接続部分を除く)の全部が滅菌可能です。
大きな違いはONOFFスイッチの位置です。
マイクロエッチャーは親指で押すような位置、ミニブラスターはおそらく人差し指で押す位置です。
押し方にもよると思いますがブレにくさや精密動作はミニブラスターに軍配が上がると思います。
ユニットのAIRジョイントから取ることが可能で、マイクロエッチャーかミニブラスターで迷われる場合は可能であればデモ機などで比較してからの方がいいかもしれないです。
※マイクロエッチャーⅡは先端部分のみ滅菌可能
3.口腔内サンドブラスターの高級車、ロンドフレックス
KAVO用のカプリングがついていればもちろん問題のですがタービンカプリングの下がこの6穴規格であればロンドフレックスに必要なライトなし4ホールマルチフレックスカプリングが装着で来ます。
なので必要な方はのでカプリングと一緒に購入してください。
ロンドフレックスの最大の特徴は注水できることです。注水下で使用するとパウダーの飛散を防ぐことができるので口腔外バキュームの設置や利用が難しい環境下によいのではないでしょうか。
タービン経路を使用するのでONOFFはフットスイッチになります。また注水したで使用できるので歯の切削にも使えます。仕事先が接着やダイレクトが好きな先生でしたらお願いしてみてもいいかもしれません。
ロカテック処理を行いたい場合、3Mのコジェットサンドは注水下での使用は推奨されていませんので注意してください
4.口腔内パウダートリートメントのマルチプレイヤー、アクアケア
基本的には専用パウダーと専用液を使用して行いますがアルミナだけではなく、重炭酸ナトリウムなども使用できるため、ツインタイプの機種でアルミナと重炭酸ナトリウムを用意しておくとメンテナンスにも使えるというメリットがあります。また本体完結なのでユニットがどうとかいうのに悩む必要がありません。
また注水下(専用液)での使用もできるので切削などにも使えます。ただし専用液にはアルコールが低濃度ですが含まれますので過敏症などには注意してください。
粉やハンドピースを変更できたりして応用の幅が広い機械になります。専用の粉や液など用意する手間がありますがDHのパウダートリートメントについて導入を検討しているのであればこの機種を選択するのもいいかもしれません。
いかがでしたでしょうか?矯正医のためのアルミナサンドブラストのススメ その1は以上になります。フリーランスの矯正医の場合は仕事先に用意してもらうことがもしかしたら多いかもしれません。
仕事先の院長にお話しする際に保険点数も算定できるというのはメリットになるかもしれません。一応おまけで下記しておきます。
次回はパウダーについて粒子の径や圧力について少し文献ベースでまとめてみたいと思います。
おまけ 知っていますか?歯科の保険算定における内面処理!
接着性の向上を目的に内面処理(アルミナ・サンドブラスト処理およびシランカップリング処理など)を 行った場合は、内面処理加算1の 45 点を装着料に加算する。装着材料料は別に算定できる。