4日目 スーサイドショップ
自殺用具専門の店「スーサイドショップ」を経営するトゥヴァシュ家に生まれた末っ子アランが、家族に店の経営をやめさせようと奮闘する物語。
こう書くと結構面白そうに感じるけど、展開がめちゃくちゃ雑でお世辞にも面白いとはいえない映画だった。というかかなりのクソ映画だったと思う。
おれは暗いテーマを扱って「これこそがリアル」みたいな露悪的な作品は嫌いで、多少強引でも救いがあったほうが好みなのだが、それにしたってこの作品はひどい。
「死を選ぶしかない人間もいる」、「罪悪感はあるが社会に必要な仕事」みたいな前半の重苦しいテーマは結構な解像度で描かれているのに、後半で示されたそれに対する解決法は適当に希望を並べ立てて踊るだけ、これは別に俺がひねくれていってるわけじゃなくて、本当にそんな感じ。よくわからないままみんな説得されて、やっぱ自殺はよくないよねみたいな感じで終わる。こんな解決法しかなかったのなら最初からこのテーマでやらない方が良かったと思う。
最後のミュージカル仕立てのシーンでは、前半に自殺した人間の幽霊が出てきて「自殺なんてするんじゃなかった、でももう後悔しても遅いんだ」みたいなことを言う始末。前半で「死を選ぶしかない人間もいる」と寄り添った相手にこの仕打ち、こんなのもうほとんどセカンドレイプじゃん。
あとこのトゥヴァシュ家の父はミシマって名前で明らかに三島由紀夫をイメージしたデザインなんだけど、実際に自殺を選んだ人間をモデルにしたキャラクターに「自殺はよくない」と言わせるのは神経を疑う。故人に対する尊敬の念とかはないのか。
このミシマが日本刀でアランたちに切りかかってくるシーンもあって、面白いと思ってつくったのかもしれないが、おれは非常に不愉快な気持ちになった。バカにしすぎだろ。
「生きることは素晴らしい」という話の落としどころにもかかわらず、全体的に人間に対しての愛が感じられない最悪の作品だった。もしかしたらその辺含めてブラックジョークということなのだろうか。だとしたら本当にひどい作品だと思う。
俺が今まで見た全作品の中でもトップクラスにひどい作品。全くおすすめできないけど、不愉快な気持ちになりたい人はぜひ見てほしい。
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