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02.バナナ味の味
バナナミルクを飲んだ。
濃縮バナナミルクの素と牛乳を、
1:2で割るタイプのやつ。
バナナ味の味がした。
ファンタオレンジがオレンジ味の味。
ポッキーのピンクがいちご味の味。
北海道のお土産のキャラメルがメロン味の味。
で、私が飲んだのがバナナ味の味というわけだ。
そいつらの存在を羨ましく思う。
決して本物ではないが、求められている。
居場所がある。
そいつらになりたい人生だった。
そいつらみたいな振る舞いはよくしている。
専門外の数々の業務や、
カウンセラーのような立ち回り、
視点の違うアドバイス。
求められることは多くある。
だけどそこに私の椅子は無くて、
完遂したらそそくさと帰って来るしかない。
そこに私の居場所はない。
全部ニセモノだからだ。
そう思ってやさぐれることしかできない。
でも、そいつらはそれを乗り越えている。
親しみやすさと膨大な需要で。
椅子を手に入れている。
ホンモノにはなれなくていい。
せめてそいつらみたいに居場所がほしい。
そう思う夜もある。
読んでくださったあなたにも、
安心できる居場所がありますように。