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原作ファンでジャニオタがみた、映画『ホリック xxxHOLiC』感想

ジャニオタの友人と、舞台挨拶ライブビューイングつきの映画『ホリック xxxHOLiC』を見てきました。

先に結論を言うと、★470点くらいの映画になっていて、個人的には満足のいく作品でした。
折角素敵な映像作品なので、是非原作好きで気になっている方の一助となればいいなと思い、原作も映画もネタバレ全開の感想を書こうかなと思い立ちました。

自分の原作ファンの程度としてはこんな感じ。
・CLAMPはCCさくら(アニメ)から入る。
 『xxxHOLiC』『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』ドンピシャ世代。
 『CLAMP学園探偵団』『X』『東京BABYLON』とか、
 『CCさくら』『ちょびっツ』『こばと。』あたりは読んでる。
四月一日君尋が一番好き。
・実写ドラマ未視聴。舞台も見ていない。
 アニメは見ていたけれど、ツバサの方が思い入れがあるかも。
 (東京編OVAが本当に良かった。おかげで『X』を読んだ)

また、実写化には割と肯定的。二次創作の一種と思っています。モノを見て判断したい。
ジャニーズはキンプリJr.時代にどっぷりで、2014〜2017のJr.は大体わかるし好き。しょうほくForever。

そもそも、期待値は低かった

発表された時は、「蜷川実花さんなら世界観合う!」とそこそこ楽しみにしていました。元々、『xxxHOLiC』を映像として見るなら、アニメでも実写でも極彩色の煌びやかな世界を見たいと思っていたのです。
さらに、キャストが発表された段階で一気に興味が湧いてきます。
百目鬼役松村北斗はもちろんですが、特に四月一日役神木くんに(オタクとして)かなりの信頼を置いていたので、俄然見に行く気になっていました。
この時、蜷川実花監督作品の印象は、遠い昔に『さくらん』をざっと観た程度で、主に写真の印象が強かったです。
なので、この機会にと公開前に『Diner ダイナー』を拝見したのですが……。

「う、う〜ん……」

と言う感じ。
ストーリーとキャラクターの動機が乖離していたり、CGやアクションが微妙だったり、手放しにはとても褒められない内容に感じました。
もしかしたら、期待しすぎると痛い目を見るかもしれない。と、数週間前から怯えていました。

オリジナルキャラクターについて

映画当日。メインキャストを確認して以降、特に情報を得ていたかった私に、友人からの一言で不安が増します。

「今回、オリキャラどうなの?って言われてるよね」
「え?」

もう劇場に入る1時間前。オリジナルキャラクターが出ることを知りました。
おいおいマジかよ、と思って公式サイトに飛ぶ。確かに、なんか手下みたいな男が増えてる。
けれど、この時点で「女郎蜘蛛と戦うのをクライマックスにするなら、辻褄合わせのオリキャラはアリなのかもしれない」と思い直しました。

私はそもそも、キャストと配役を見て、最終局面は女郎蜘蛛戦になると大体想定できていました。
『xxxHOLiC』自体、『ツバサ』とのリンク場面が多くて、作品としてまとまったものにするとしたら、女郎蜘蛛との対立をラストに持っていくのがわかりやすいのかな思っていたからです。
舞台もどうやら女郎蜘蛛がいるのでその話を最終軸にしているようですし。

長編映画はだいたいの作品が2時間程度。その時間で、原作19巻をまとめるのは絶対に無理です。
配役を見た段階で、原作の5話分くらいと女郎蜘蛛の話+オリジナル展開で繋ぎ合わせるのがまるいのかなと考えていました。
というか、それがいいなと思っていました。

実際みてからの、ストーリーについて

では実際観てどうだったかと言うと、ストーリーはかなりオリジナルが強い形になっていました。
まず、冒頭ですが。四月一日がかなり暗い青年の印象です。
原作やアニメでは、最初はとにかく元気でツッコミ気質の四月一日ですが、そんな様子は冒頭部分ではありません。
それどころか、自殺を考えるまで追い込まれています。
私は割とこの段階で解釈違いで頭を抱えていました。
しかし、後々にこの解釈違いはしっかり私の中ですり合わせできます。

次に、侑子さんとの出会い。四月一日は不思議な蝶に導かれてミセを訪れます。
この後も、幾度も出てくる蝶々の描写。これが本当に綺麗でした。
侑子さんといえばもちろん蝶のイメージがありますよね。
しかし例えば、漫画では描写せずとも話が伝わるシーンでも映像では必要なところで使われたり、逆に漫画で描写されていた蝶の演出が映像で再現されていたりと、とても印象的に使われていました。
ああ、これが『xxxHOLiC』の実写映像なんだ、と気持ちが昂ったのを覚えています。

その後、ミセを訪れて、1人目の客がやってきます。
1人目の客は、原作にもあった小指と指輪の話が元になっています。基本的には原作とそこまで差はないのですが、この時点でアカグモ(オリキャラ)と女郎蜘蛛が登場します。
この時の様子から、完全に2人は悪役なんだなと認識できました。
サイトにあるあらすじからもみてとれるように、今回の作品では「女郎蜘蛛を倒す」のが終着点であることはこの時点でほぼほぼ確定しました。

そして学校のシーン。ある日、四月一日は百目鬼・ひまわりと出会います。
その後も度々2人と絡むのですが、この時思っていたことがありました。
「ひまわりちゃん、ずっと百目鬼と一緒じゃない?」
原作では割と、ひまわりちゃんと話しているところに百目鬼がやってくる、なんてことが多かった印象だったので、個人的に結構違和感でした。
(しかし、このずっと一緒にいるなと思ったのも正しく伏線になります。)

さらに、四月一日の様子を見ても、2人に抱く感情としては単なるクラスメイトという感じで、特別何かを感じているようには見えませんでした。
この時点で、「四月一日はアヤカシが見える青年」ということに対しての詳しい描写はないのか、と気が付きます。
四月一日は、その生まれからアヤカシが見え、力を封印され、ひまわりちゃんを好きになり、百目鬼が嫌いなわけでしたが、そんな設定は映画には必要ないんです。
ので、あくまでも百目鬼とひまわりちゃんは、はじめて自分を気遣ってくれた人たち、仲のいい友人という関係性に収まります。

ここでオリジナル展開。百目鬼のお寺にある、過去お祖父さんが封印したというアヤカシの話に。
四月一日は途中であったアカグモ(まだ敵とは認識していない)と、寺で弓の練習を見ていたひまわりちゃん・百目鬼と合流します。そして、ひまわりちゃんはとある話をします。
原作を知っている私は、「ああ、ひまわりちゃん自身の生い立ちの話をしているんだな」とすぐにわかりました。
しかし、四月一日はそれに気が付かず、その後学校で1人でいるひまわりちゃんに話しかけます。すると、こう返されます。

「今日は百目鬼くんがいないから」

そして去っていくひまわりちゃん。
それは構成上手いのでは。内心、ニコニコしていました。
ひまわりちゃんは、百目鬼といると自分の状態が緩和されると気がついて、ずっと一緒にいたということになります。
ちゃんと、原作の三角関係が設定として、舞台装置として生きている・活かせているというのが、個人的にとても好感度高かったです。

そして、ひまわりちゃんの状態に気がついた四月一日は、自己犠牲の塊でひまわりちゃんについた「呪い」を取ろうとして、ほぼ原作のように転落します。
誰かに運ばれた後、ミセにで目を覚ました四月一日は転落が夢だったかのように元通りになっていました。
特に、この時点でそのことに関しての深い言及は誰からもありません。
(この時点で察した私は、普通に泣いてました)
ここから、四月一日はミセの仕事に精を出すようになります。

そしてなんと、女性客や猫娘、座敷童はここで一瞬で終わります。
ちょちょちょちょまって〜!そこが一番見たかったのに!!
という気持ちは正直大きいですが、尺の都合でというやつですね。
正直、絶対座敷童は女郎蜘蛛との戦いで関わってくると思っていたので、ちょっと肩透かしでした……。
是非、Huluとかで番外編としてどうですか。

それから、4月1日がやってきます。四月一日の誕生日です。
ストーリーの中で、やけに4月1日が強調されるなと思っていたのですが、この日に女郎蜘蛛の策略で4月1日の無限ループが始まります。
不思議な現象として、無限ループはわかりやすい手法なのかなとは思います。(原作にはないですが)
このループ中に、転落の傷跡をひまわりちゃんが引き継ぎ、ストーリー中にしれっと取られた四月一日の右目に、百目鬼が右目の半分を四月一日に渡していたことが判明します。
(四月一日は夢だと思っていたので、右目に変化があったことも気に留めていませんでした)
気がついたと思いますが、この時点で目の件傷跡の件が一つにまとまっています。
そしてこのループを抜け出すために、オリジナル展開で登場した封印したアヤカシの話に戻っていきます。四月一日は、百目鬼と一緒にアカグモ・女郎蜘蛛と対峙することになります。
最後は侑子さんに力を借りてクライマックスに向かっていきます。
ここまできても、正直結末をどう迎えるのか検討がつかなかったのですが、結果的に原作通りの結末を迎えたと言っていいと思います。

結末と総評

結末についてですが、個人的には「ここまでオリジナル展開なら、最後の結末も違ったもので良かったのでは」と思ってしまいました……。
四月一日好きとしては、神木くんにあのシーンを演じてもらえたのはガチ目に最高でした。
絵として、構図としては見たいものが映像で拝めてとても良かったです。

それと同時に、映画の尺の関係上どうしても侑子さんや百目鬼、ひまわりちゃんとの関係性に深みを感じられませんでした。
「なんでこの四月一日はこの結論に至ったんだろう」と、どうしても思ってしまいます。
また、最初から落ち着いた印象だった四月一日が、落ち着いてキセルを吸う姿は、変化の対比としては印象に残りづらいのかな、とも思いました。
とはいえ、原作ファンとしてみたいシーンは観れたと思うので、結末に異論があるかと言われると、これで良かったのだろうと思える形になっていたのではないでしょうか。

また、途中の四月一日の自己犠牲精神ですが、原作を読んでいる私たちからすると、当初の四月一日が自分を省みないお人好しで、誰かを助けるときに誰かに自分は含まないような人間と知っています。
ですが、あの短い時間で映画を観る方々は、四月一日がそんな性格とは通常の明るい性格では気づかない可能性が高いのでは、と鑑賞後に考えてしまいました。
だから、自殺未遂という描写が、自己犠牲をしてしまう人間に見えるような演出なのかな、と感じるようになりました。
最初はおとなしい映画の四月一日ですが、百目鬼・ひまわりちゃんと触れ合っていくうちに、どんどん明るくて私たちのよく知る四月一日になっていったような感じがありました。
私の中で、原作の様子とどんどん近づいてきた気がして、すごく納得できる演出だったと思います。

映像美という点では、正直他の人には作れない蜷川実花監督の良さが詰まったものになっていたと思います。 特にミセのセット!そして、侑子さんの衣装! どちらも日本映画に足りない煌びやかさが際立っていて、キャストの相性とも相まって目で楽しむということはこういうことか〜と感激しました。 演出や幾つかのシーン、そして音楽に関しては、気合が入っているところと舞台的に見せるところの表現の幅が狭いように感じて、個人的には微妙でした。
(雨に降られるシーンなどは特に、チープに感じてしまいました)

総評としては、
想定通り映像綺麗!CG上手になってる!
ストーリーも、かなりギュギュッと詰まってるけどいい!
アクションは少ないけど、無理矢理やらなくて良かったと思う!
猫娘、座敷童ファンは物足りないと思うから、見るのはちょっと考えたほうがいいかも!

という感じでした!

松村北斗という役者

今や朝ドラにも出演して、演技派としての地位を着々と築き上げてきている松村北斗。
最初は、私の周りでは大丈夫なのかみたいな声も聞いたりしたけれど、個人的にはなんの心配もしていませんでした。
アニメでは中井和哉さんが演じられていることもあってか、渋いキャラクターを想像されている方が多いようだったけれど、和人顔のクールイケメンであればイメージに合うなと思っていたので、特に違和感はなかったです。
(ピッタリかと言われると難しいけれども)

実際演じているのをみて、声をすごく低めに発声してくれていて、アニメ意識してくれたのかなとすごく嬉しくなっていました。
そうでなくても、感情の起伏の薄いキャラクターは難しいと思うので、そういう結論に至るならやっぱり、アニメ製作陣との解釈は合っていたんじゃないかなと思います。

とはいえ、出番は多いほうといえども、もっと観たかったな〜と思ってしまう活躍度合いかもです。
原作は途中からこれでもかと四月一日と百目鬼の二人三脚なのですが、映画もはラスト20分くらいから最後までとちょっと短いです。
さらにいうと、原作から元々少ないですが、アクションはほぼ皆無です。
そこら辺を期待するとガッカリしちゃうかも。
でも、松村北斗の乳首は予告通りバッチリ見えます。

最後に、雑多で思ったこと

CGでも難しいだろうし、事前のPVでもないし、無理だろうな〜とは思いましたが、管狐は本当に微塵も存在しなかった……!
これがちょっと本当に悲しかったです。でも、出てこないだろうなとは思っていたので、しょうがないことだとも思います。

アカグモくんと女郎蜘蛛との組み合わせは、個人的には好きでしたが、原作の八尾比丘尼との関係を考えると、うーんと思う方もいるかも。

ざっと文章書いてきましたが、ストーリーについては前後関係がバラバラな可能性と、抜けていたり、あえて描写しなかったりもあるので、気になる方は本当に是非劇場でどうぞ!

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