i9-12900KFのオーバークロック情報メモ
注意
本記事はCPUオーバークロックを推奨するものではなく、あくまで私個人の動作環境をメモとして残しておくことを目的とした記事です。CPU等のオーバークロックはハードウェアやソフトウェアを破損するリスクがあります。メーカー保証等も無効となり、オーバークロックにより生じる不具合については自己責任となりますのでご注意ください。
前置き
いやー、寒くなってきましたね。
RTX3080Ti記事でも書きましたが、私の使用しているメインPCは低電圧化とオーバークロックを設定しています。以前i9-12900KFをi9-12900KSの設定で使用してやろうと画策して見事に失敗しました。
ちなみにCore i9-12900KSのプロファイルは、P-Core Single 5.5GHz, All 5.2GHz, E-Core 4.0GHzです。
まずSingle 5.5GHzがアイドル状態でOSのフリーズクラッシュを引き起こす状態でした。Core電圧をもっと盛ると動作するとは思いますが、常用OCの観点ではCore電圧が1.4Vを超える状況は避けたいと考え諦めました。
次にAll P-Core 5.2GHzですが、こちらもCinebench R23を実行中にOSがクラッシュしました。消費電力としては低電圧化を実施しても300Wを突破しており、CPU温度が100℃にぶち当たるような状況でした。自動的にクロックを下げるようになってはいますが、やはり低電圧化のためのマージン削りと消費電力の高さを引き起こしている大電流による電圧降下は相性が悪く、安定動作に至りませんでした。アイドル時は普通にブラウザを起動する分には問題なくAll 5.2GHzで動作するのですが、それはなんか違うので、、、
上記のようなi9-12900KS化プロファイルは作成できませんでしたが、現在適用中のオーバークロック設定2つをメモとして残しておこうと思います。
常用OCの動作実績は、「2021年に組んで以来常用OCの設定として2024年11月現在まで不具合なく動作していること」ですね。
使用PCパーツ紹介
以前も書きましたが現在使用中のPCパーツを紹介します。
マザーボード
MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4
当時はまだDDR5が4800でしたし、高かったのでDDR4で妥協。Wi-Fiは無いと部屋の配置によっては詰むので搭載したものを選びました。K付きi9載せるんだから当然Zマザー。OCして遊びたいじゃないねぇ?なおUEFIは最新です。12th Intel CPUなので今話題の不具合とは無縁ですが、UEFIはマイクロコード0x12Bが適用されている最新バージョンを使用しています。もちろん対象外なのでIntel Default Settingは使用していません。
CPU
Intel Core i9-12900KFです。16コア24スレッドのよくわからんCPUです。
12世代は革命でした。皆が感動していたと思います。だからこそ13/14th Intel Core iシリーズの劣化不具合については私も驚きました。異様に強くて目立っていたi7-14700K欲しいなぁ、、、ってなってましたが、現在ではむしろ安心して使えるCPUの中で強いモノを持っているという満足感があります。あと13th/14thはゲーム中の消費電力と温度が12thに比べてすごく高い。電圧を抜くとどれくらい変わるのか見てみたいですが、そんな検証用にハイスペPCを準備できるほど余裕はありません(´;ω;`)ウゥゥ
CPUクーラー
ROG STRIX LC II 360 ARGBです。
CPUクーラーについては知識が少ないため、失敗しないようにリテンションキットがきちんと同梱されている360mm簡易水冷クーラーで探すとたまたま見つかりました。32800円したけどi9をちゃんと冷やしてくれて助かります。12th IntelにはCPU反り問題があるそうですが、私のCPUは特に冷えなくなる現象は発生しておりません。
GPU
MSI RTX3080Ti VENTUS 3X 12G OCです。
こちらは低電圧化記事を参照してください。
https://note.com/enoin2032/n/n330359f59550
ちなみにですがRTX3080TiはDLSSでフレーム生成ははできませんがモンハンワイルズのβテストではWQHD ウルトラ設定で85FPS程度でていたため、負荷がかかっても60FPSはなんとかなるんじゃないかなと言ったところです。AMD FSR3については不具合があるとのことで最適化待ちですが、適用すると144FPS(144FPS上限に設定)張り付きを確認できました。流石3000番代ハイエンド。4000番代じゃなくても戦えそうです。
今現在ベンチマーク等の動作確認にはGPUの低電圧化プロファイルは使用していません。デフォルト設定です。
メモリ
G-SKiLL TRIDENT Z NEO DDR4-4000 16GB×2です。
ガッツリRyzen AMD用と書かれてますがIntelでも普通に動きます。Intelわりといろんなメモリで動いちゃいますよね。もともとはCorsair DDR4-3600 8GB×2でしたが、14GBくらい使ってることが増えてきたため換装しました。モンハンワイルズのシェーダーコンパイルでは19GBくらい使用されてました。こわ。
SSD
3つ使ってます。
WD NVMe M.2 1TB PCI Express 3.0 (OS用)
SanDisk 1TB SATA (ゲームデータ, DAWソフト音源用)
CFD 960GB SATA (ベンチマーク, メインファイル保管場所)
SATA系は前まで使っていたPCからのお下がりです。
特にSATAの速度でゲームデータのロードなんかは全く困らないので、SATA SSD使ってます。DAWはNVMe M.2 SSDを増設することがあればそちらに移そうかな?な感じです。現状NVMe M.2 SSDじゃないと遅い!困る!というような状況は発生していません。
電源
Corsair RM 1000x Shiftです。
もともと850W電源を使用していましたが、高負荷時に異音が発生するようになったため交換。PC側面に電源系統の差込口が来るような設計になっていてかなり使いやすいです。
PCケース
Fractal Design Define7 です。
でかい。重い。でもパーツ干渉とかはまず起きない。通気性もよく、冷えます。エアフローとか考えるの苦手なので失敗しないように選定。後見た目好き。PCは性格とかないんで外面良ければ愛着湧きますから、、、
常用OCプロファイル
ここからは、動作検証などの過程は示しません。
現在私の使用しているOCプロファイルを2つ、メモとして残します。
適用環境は前述したとおりです。
プロファイル1は夏用、プロファイル2は冬用です。
切り替えの目安としてはアイドル時のCPU温度が30℃未満かどうかというところですね。大体アイドル時に20℃台であれば、冬用プロファイルに切り替えます。
ちなみになんですが、このプロファイルを適用しても劇的な動作改善は起こりません。どちらかというと恩恵が大きいのはクロック周波数を上げることより、電圧を下げることによる消費電力や温度の抑制です。12th IntelのUEFIの設定は電力無制限設定の時相当電圧を盛るらしく、電圧マージンがかなりあります。
i9-12900KFはデフォルトで以下のような設定になっています。
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/products/sku/134599/intel-core-i912900k-processor-30m-cache-up-to-5-20-ghz/specifications.html
デフォルトの設定でCinebench R23を回すとP-Core 4.9GHz, E-Core 3.7GHzでフル回転し、240~250Wを消費していました。組み立て直後にベンチを回しましたが驚きました。デフォルトの設定だと360㎜簡易水冷を使用しても、80℃後半に到達し、アチアチなんですよ。360mm簡易水冷を使用したのだからもう少し冷えてくれてもいいじゃないかと。
プロファイル1(夏用)
・オーバークロック
P-Core All 5.0GHz (Single Max 5.2GHz, Dual Max 5.1GHz)
E-Core All 4.0GHz
Ring Ratio 4.0GHz
・低電圧化
VF Point
x8, x18 = Auto
x36 = -0.060
x40 = -0.080
x42 = -0.100
x48 = -0.120
x52 = -0.140
相当なハズレ個体でない限り通るプロファイルだと思います。
Cinebench R23実行時消費電力220W程度
CPU温度70℃~80℃ Max
高クロック領域では電圧をかなり下げても動作します。
デフォルトの設定時よりクロックが上がったにも関わらず、消費電力は低下しています。温度も80℃を超える状態からは解放されます。
ただCinebenchクラスの負荷がかかるような作業を自分は滅多にやらないです。普段はゲームするかプログラムで遊ぶかなので大体高くても温度は50℃後半です。シングルコアで5.2GHz動作は頻繁に見かけるので実はAll 5.2GHzいけるんじゃ、、、?と思ったんですよ。そうすると、前置きで話した通りの結果に、、、。
プロファイル2(冬用)
・オーバークロック
P-Core All 5.1GHz (Single Max 5.2GHz, Dual Max 5.1GHz)
E-Core All 4.1GHz
Ring Ratio 4.1GHz
・低電圧化
VF Point
x8, x18 = Auto
x36 = -0.060
x40 = -0.080
x42 = -0.100
x48 = -0.120
x52 = -0.140
プロファイル1からさらに全コア100MHzクロックを上げたプロファイルです。VF Pointは変更していません。
こちらのプロファイルも通らない個体は少ないのではないかなと思います。
Cinebench R23実行中の温度と消費電力は以下となります。
デフォルト設定時の消費電力に近くなります。これによりCPU温度は80℃後半から90℃まで上がるようになります。11月でも90℃を観測する状況のため、マージンを取るべく冬用プロファイルとしています。夏に37℃位の部屋で同じ設定を適用するとサーマルスロットリングが発動しそうな勢いです。ただ、E-Coreの温度はまだ余裕がありそうで、E-Coreはまだクロックを上げる余地があるかもしれません。E-CoreをP-Coreそっちのけでオーバークロックするメリットはあまりありませんが、、、
プロファイル2設定でのFF14ベンチ(WQHD)の結果は以下です。
どうもRTX3080Tiはより上位のCPUと組み合わせると、もう少しスコアが伸びるようです。おおよそRTX3080TiはRTX4070 Super以上RTX4070Ti以下の性能が出ます。もう70番台に負けるんだ、、、という悲しみ。今(2024年11月)買うならRTX4070 Ti Superかなぁ、、、。買わないけど。
プロファイル2でのKraken JavaScript Benchmarkの結果は以下です。
良し悪しは判別しにくいが360ms台の時はブラウザがサクサク動くイメージです。500ms超えると私個人は遅いなと感じ始めました。
なおゲーム中は40W~60Wに収まるので発熱はほぼないです。50℃位を推移するため精神衛生上大変よろしいです。特にゲーム中は5.0GHzや5.1GHzで動作していることが多いため、VFポイント低電圧化による消費電力の低下の恩恵を大きく受けることができます。
ロークロック領域での電圧をあまり落とさない理由は低負荷中にフリーズしやすい状態を作るのが嫌だったからです。ロークロック領域では設定を間違えると起動後即フリーズするような状況に陥る危険があります。
プロファイル適用によるメリット
・P-core All 4.9GHzというもどかしい気持ちを解消できる
・E-core 4C動作3.9GHz, 8C動作3.7GHzというもどかしい気持ちを解消できる
・低電圧化による高負荷時のCPU温度と消費電力を抑制できる
・多少性能が上がる
プロファイル適用によるデメリット
・ハードウェア・ソフトウェアの破損リスクが発生
・パーツ類の保証は無効
・目に見えるほどの動作の快適化は発生しない
まとめ
私が3年ほど使用している常用OCのプロファイルについてまとめました。
巷ではゲームする分にはP-CoreのみでE-Coreは無効化したほうがフレームレートが出るという話もあります。またRing RatioはE-Coreを無効化したほうがよりクロックを上げやすいという情報もあります。E-Coreを無効化し、P-CoreとRing Ratioのクロックを押し上げることに成功すれば、ゲーム用途としてはかなりの性能向上を確認できるかもしれません。13th/14th Intelに乗り換えるのがはばかられる今では試す価値がありそうです。機会があれば調査してみたいです。
ありがとうございました。
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