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【大切な話】応援の形や好みは人それぞれ。周りを「思い遣る」気持ちが居心地の良いライブの雰囲気をつくる


執筆に至った経緯

"えのぐのライブ現場"の良し悪しについて、X(旧Twitter)で度々ポストを見かけます。「楽しかった」という嬉しいお声が多数ある一方で、「応援の雰囲気に馴染めなかった」というご意見があることもまた事実です。
その多くが私たちに向けられたものではない"個人の感想"であることは理解していますが、目に入った以上、傍観するのはご意見をくださった方々に対して誠実でないと感じましたので、私たちの考えをまとめさせていただきました。

まず、私たち「えのぐ」のライブ現場は客観的にみて、バーチャルで活動するアーティストの方々と比べると特殊です。そしてその特殊さは私たちが共に歩んできた歴史の証明であり、私たちにとって間違いなく誇りであると断言できます。
しかしながら、その特殊さを"受け入れ難い"と感じる方々がいらっしゃることを、私たちは忘れてはいけません。
また誤解を恐れずに言えば、私たちは"特殊"なのであって"特別"ではなく、だからこそ、その特殊さが"エゴ"に変わってしまわないよう「周りを思い遣る」ことに対して人一倍敏感になるべきだと考えています。

ライブの楽しみ方はひとつではなく、出演者や会場が変わればご観覧の方々の性質も変わります。多数のアイドル対バンで「アイドル現場の楽しみ方」を学び・実践してきた私たちなら、環境が変わっても周りを思い遣り、現場ごとに最適な楽しみ方・盛り上げ方を開拓できるはずです。

この機会に私たち自身も「皆さまに楽しんでいただけるライブ現場の在り方」についてあらためて熟考いたしますので、皆さまもご一読いただいた上で、本記事の内容についてご意見を頂戴できましたら幸いです。

なぜ、えのぐの現場は"特殊"なのか

なぜ「えのぐ」の現場が"特殊"になったのか、ご存知でない方もいらっしゃると思いますので、簡潔にご説明いたします。

私たちはこれまで「リアル・バーチャルは関係なく"アイドル"という素敵な文化を楽しめる未来をつくる」という目標を掲げて、生身で活動するアイドルの方々が出演する対バンへ「ただひと組のバーチャルアイドル」として出演を重ねてきました。
しかしながら、特に出始めの頃は私たち自身の実力不足が原因でアイドルファンの方々から”バーチャルアイドルが対バンに出演すること”に対して理解を得ることが難しく、もどかしい思いを何度もしてきました。
だからこそ当時から私たちを現場で応援してくださっている方々は「アイドルの対バン現場に根付いた応援の文化」をよくご存知であると同時に、その文化の中で私たちが孤立しないよう、現場に通い、文化をリスペクトした方法で応援してくださっています。
また「自分たちが応援している存在が現場で見向きもされない辛さ」を身をもって経験している(させてしまった)ため、自身の推しでない出演者であったとしても、ステージからその方の頑張りや魅力が伝わってきたなら全力で応援する!という考えが浸透しました。

さらに、それに加えて私たちは「ライブはアーティストだけでは成立しない。応援してくださる方々がいて、初めてライブはエンタメになる。だから"一緒に"ライブをつくりましょう」と言い続けてきました。ライブは"観るもの"ではなく"参加するもの"であるというのが、私たち自身の考えだからです。

そういった歴史と私たちの発信が融合した結果、えのぐの現場は見る人から見れば「自分たちの常識とは違う特殊な環境」になっていったのだと考えています。

えのぐの歴史・対バンに出演する理由についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご一読ください。

ライブを観覧する際の「ルール」について

ライブの会場となる施設には観覧におけるルールが設けられています。施設の規約には載っていなくても、ライブの主催者が独自のルールを設けることも少なくありません。
しかしながら、それらの開示されているルールの範疇だったら何をしても"自由"なのかと問われれば、それは違うと考えています。なぜならご観覧の方々ひとりひとりに「他の観覧者に求めるルール(常識)」があり、それを侵害されることは、その方にとって「ルール違反」だからです。

ひとつ例をあげると、ライブは出演者の歌声を聴く場所だと考えている方にとって、観客のコールは望ましくない場合もあります。
しかし一方で、ライブは体を動かし・声を出して、出演者と一緒に楽しむ場所だと考えている方にとって、コールは「あなた(出演者)のパフォーマンスは私たちの心に届いていますよ」という意思表示でもあり、相互のコミニュケーションにおいて不可欠な行為です。

どちらが多数か・少数か、どちらの考えが正解か・誤りか、という話ではなく、自分のルール(常識)を侵害された側は少なからず不満に感じ、その不満がその方にとってそのままイベントや出演者の評価になるということは、紛れも無い事実です。
だからこそルールの有無に関わらず、自身が楽しいと感じる時間を大切にする気持ちと同じくらい「周りを思い遣る」気持ちを持つことが、良いライブを"共につくる"方法だと考えています。

観客席の皆さまも"出演者"のひとり

「ライブはアーティストだけでは成立しない。応援してくださる方々がいて、初めてライブはエンタメになる。だから"一緒に"ライブをつくりましょう」
前述した通り、私たちがずっと言い続けている言葉です。
これは言い換えると、皆さまもライブの"出演者"のひとりである、ということです。
私たちを応援してくださる皆さまには「どう振る舞えばひとりでも多くの"出演者たち"が楽しいと感じるか」を、私たちと一緒に考えていただければと思います。
私たちのパフォーマンスで盛り上がって楽しんでいただけることは大変嬉しいことですが、例えばその最中に隣の方に誤ってぶつかってしまうこともあるかもしれません。そんな時は「隣同士距離が近いからそれくらいの接触は仕方ない」ではなく、一言謝罪をしていただくなど、そういった少しの思い遣りから居心地の良いライブの雰囲気をつくれたら、私たちは今よりもっと素敵なチームになれると信じています。

まとめ

私たちは、応援してくださる皆さまがいるからこそ自信を持ってどんなステージにも立つことができます。他事務所の運営の方やアイドルさまから「ファンの方々があれだけ熱心に応援する姿を見れば、えのぐがどれだけ良いグループなのかわかる」と言っていただけたことは一度や二度ではないですし、本当に皆さまは私たちの誇りです。

しかしながら、一括りに応援と言っても様々な方法があります。
着席してのんびり楽しみたいという方もいらっしゃるでしょうし、地理や職業的な事情から配信で応援してくださる方もいます。
そして私たちは、どんな方法であれ応援いただける方々に対して等しく、心から感謝をしています。

ライブや応援に対する価値観の違いはどんなグループにも多かれ少なかれ存在すると思いますが、バーチャルアイドルでありながらリアルの現場で揉まれて育った私たちは、その歴史が特殊なだけに、より多様な意見が出やすい環境に身を置いていると感じています。
その特殊性は扱い方次第で賞賛と非難どちらにもなり得ますので、自分と異なる意見を持った方々同士でも尊重し合い、お互いを思い遣る気持ちを持ってライブを楽しんでいただけますと幸いです。

今後とも、えのぐをどうぞよろしくお願いいたします。

えのぐ合同会社
鈴木あんず、白藤環、日向奈央

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