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ストレート主義の終焉
大学受験のころ、Z会をやっていた。
いわゆる仮面浪人時代、早稲田大学理工学部応用化学科(いまの先進理工学部)に通いながら受験勉強をしていた。
数学だけは授業に出なくなってしまったのだが、その他は概ね授業に出ながらの勉強。センター試験の前日くらいまで早稲田大学の定期試験があったりしたので、時間は限られていた。
そんな日々のなか、できることは過去問集である赤本とZ会。Z会はかなりガッツリやっていた。
そんななか、会報である旬報にこんな言葉が載っていた。
「浪人したら一生後悔する」
うわっと思ってしまった。そこまで浪人を嫌っているのかと。
昔見た3年B組金八先生。杉田かおる演じる雪乃の兄が、進学校である開栄高校から東大を受験し不合格となり自死してしまうというストーリーがあった。
一生後悔すると書いた高校生は、それくらい思い詰めているのか、と思って考え込んでしまった。こっちは浪人してももう一回頑張ろうと前向きで、受かったら後悔も吹き飛ぶくらいに思っていたのに。
今50台になって、大学受験の1、2年なんてたいしたことないと実感として思う。しかし、18歳くらいだと、1年遠回りが絶望的な無駄に感じるのだなあとは思う。
就活や、ときに入試において多浪生がマイナス評価を受ける、留年経験者が色眼鏡でみられるなど、寄り道しない「ストレート主義」は日本を特徴づけるものだったと思う。メンバーシップ型雇用では、どうしてもメンバーのポテンシャルを見ることになる。浪人や留年はそのポテンシャルを毀損するものだということになる。
この成れの果てが、いわゆる四行教授だ。東大卒→東大助手(いまの助教)→東大助教授(いまの准教授)→東大教授の「まじりっけ」のないキャリアこそ素晴らしいエリートである、というやつだ。学歴が四行で収まるから四行教授というわけだ。
こうした状況では、1年の浪人が一生後悔につながるという発想になるのはわからないではない。
ところが、最近はこうしたストレート主義ではない考えを持つ若い人たちが増えているようだ。
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