見出し画像

 私の電車移動での通勤、通学の始まりは、高校入学だ。

 学区制度が厳しかった80年代。歩いていける学校は学区外。残念ながら学区を飛び越える成績を取ることができず、1時間の通学で学区の北から南を縦断することになった。

 駅までが遠かった。徒歩で私鉄の駅まで20分、国鉄からJRに変わりたての頃。JRの駅まで30分。JRの駅までは文字通り山越え谷越えて行かねばならない。バスで行くにも混んでいる上、渋滞に巻き込まれる。

 だんだん母親に車で駅まで送ってもらうことが多くなっていった。父親の送迎に便乗することも多かったが、父と私を別々に送る日もあり、今考えると申し訳ない気がする。

 1980年代は、東京への通勤圏がどんどん遠くへ伸びていく時期で、比較的大手メーカー勤務の営業職の父の収入では、横浜の駅から徒歩20から30分の物件も、やっと買えたという状態だった。

 それでもまだ高校時代はましだった。

 本格的に長時間の通学ならぬ痛学に苦しむのは、東京の大学に入ってからだ。

ここから先は

1,847字
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?