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東大授業料値上げ反対の学生を支持します

 東京大学が、来年度の入学生の授業料値上げの方針を発表した。

 ちょっと長いが、PDFファイルの文章の核心を紹介する。

授業料は教育を享受する学生が負担し大学全体の教育学修環境を維持・改善するために活用できる安定的・基盤的な資源であり、今回の改定案は、 東京大学の教育学修環境を持続的に改善する基盤を、なるべく迅速に創りあげなければならないという必要から、 法令に規定された範囲(上限:標準額の 120%)において改定しようとするものである。
具体的には 2025 年度から授業料を 64 万 2960円に改定し、教育学修環境改善に活用する。 大学全体の教育基盤整備の本来の趣旨からすれば、在学生を含めてすべての学生に適用するのが基本であるが、過渡的な激変緩和措置として在学生には適用せず、 来年度の入学者からの年次進行とする。 また、 学部・修士課程の教育を一貫した総合性においてとらえ、 現在、 東京大学で学んでいる学部学生が、学ぶなかで大学院を目指し、学士課程を標準的に卒業して修士課程を修了するまでは現行の授業料のまま修学できるよう、修士課程の授業料改定は学士課程の実施から4年後とし、2029 年度入学者から適用する。

博士課程の学生については、大学全体の教育学修環境改善の共通の便益を享受しないわけではないものの、博士課程は卓越した研究を生みだす研究者としてのキャリアの出発点としての意味あいが強く、次世代の学術を担う研究者の育成は東京大学の歴史的な使命であり続けている。 学生・ 教員との意見交換の中でも、博士課程学生に対する配慮の要望がとりわけ強かった。これらのことに鑑み、2005 年の授業料改定と同じく、今回も博士課程の授業料は据え置く。 なお、 博士課程学生は、 就職にいたるまでの学修・研究期間が累積的に長期に及ぶのみならず、生計を主に支えている者が親ではなく本人である比率が学士課程学生や修士課程学生と比較して際立って高く、年収を見ても所得が低い層の比率が高いなど、経済的に厳しい状況にもある(東京大学学生生活実態調査) 。経済的不安が博士課程進学を妨げる重要な要因のひとつになっているとも指摘されており、東京大学としても、従前から研究面を通じた経済的支援に鋭意取り組んでいるところ、 今回の授業料改定に際しても配慮することとした。

「経済的には貧しくとも、優秀であれば東京大学で学べる」 (佐々木毅総長〔当時〕 「来年度の東京大学の授業料について」 2005 年) という伝統は、今日においても継承すべき責務である。

このことを踏まえ、 授業料改定にあわせて授業料免除の枠を拡大し、より多くの学生が全額または一部免除の対象となるようにするとともに、家計基準では授業料免除の対象外となる学生に対する個別事情に配慮した対応や、偶発的・突発的状況で免除資格を失いかねない事態に直面している学生における学修・研究の継続などに最大限対処できる体制を整えたい。

https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400247072.pdf

 確かに博士課程の学生への配慮、授業料免除の枠の拡大など、配慮はしている。

 しかしながら、問題点は多い。この唐突の発表に納得することはできない。学生たちとの約束を守っておらず、夏休みという学生がまだ学内に戻ってきていない時期を狙い撃ちしたかのような発表を行ったからだ。

 上記の投稿に掲載されている学生たちの文章に賛同する。東大の発表の問題点は上記文章に書き尽くされているが、あえて一点挙げるならば、合意プロセスの問題だ。

https://x.com/no_raise_ut/status/1833564855439397031

 学生を構成員として認識せず、対話もせず一方的に通告するのみという姿勢を容認することはできない。

 追記

 noteに抗議声明のテキスト版が公開されていましたので、貼っておきます。

 東大で学んだ卒業生の端くれとして、学生たちに連帯することをここに表明する。

 言いたいことは言ったので、ここまでお読みいただけたら大丈夫だが、有料部分ではこの件に関する雑感を書きたい。


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