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研究者雇い止め問題、最終局面へ
先日、羽衣国際大学事件の判決が、大きな衝撃を与えた件について書いた。
この判決の全文は、最高裁のページに掲載されている。
任期付き大学教員が、無期転換権を5年で与えられるのか、10年で与えられるのかは、大学の裁量で決められるとした判決。
4 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。 任期法は、4条1項各号のいずれかに該当するときは、各大学等において定める任期に関する規則に則り、任期を定めて教員を任用し又は雇用することができる旨を規定している(3条1項、4条1項、5条1項、2項)。これは、大学等への多様な人材の受入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与するとの任期法の目的(1条)を踏まえ、教員の任用又は雇用について任期制を採用するか否かや、任期制を採用する場合の具体的な内容及び運用につき、各大学等の実情を踏まえた判断を尊重する趣旨によるものと解される。そして、任期法4条1項1号を 含む同法の上記各規定は、平成25年法律第99号により労働契約法18条1項の特例として任期法7条が設けられた際にも改められず、上記の趣旨が変更されたものとも解されない。そうすると、任期法4条1項1号所定の教育研究組織の職の意義について、殊更厳格に解するのは相当でないというべきである。
研究をしていないにもかかわらず、大学が認めれば10年となり、それまでは雇い止めもしうると解釈される。高裁に差し戻され、あらためて雇い止めが有効であったかを審議されるということだ。
大学が任期付き教員に対し、大きな裁量権を持つということになる。高裁の判決がどうなるにせよ、影響は大きいだろう。
もう一つ、大きな判決が迫っている。それが、理研の雇い止め訴訟の判決だ。
理化学研究所が、2023年3月末に強行した雇止めにより184名の研究者らが理研での職を失いました。優秀な研究者が海外に転出する“頭脳流出”が起きるなど“国益”を損なう事態が起きています。日本の研究力低下に拍車をかける暴挙です。
現在、3名の研究者らが雇止め無効を求める裁判をたたかっています。うち元研究チームリーダーの裁判が結審し、12月20日に判決が出ます
今回私は、この判決に対するChange orgの署名の数増加のキャンペーンのためのオンライン集会に参加し、発表させていただいた。その発表や集会に参加して考えたことなどを書いてみたい。
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