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研究者が雇い止めされる理由

 雇い止め問題をながらく追ってきた。

 けっして「ぽっと出」ではなく、13年前、労働契約法の改正が行われる前には、総合科学技術会議(当時)に行って話もさせていただいている。

 こんななか、文科省が雇い止め問題に関する調査の結果を公表した。

文部科学省では、大学等及び研究開発法人の研究者、教員等のうち、無期転換申込権発生までの期間(原則5年)を10年とする労働契約法の特例(以下、「10年特例」という。)の対象者(以下、「特例対象者」という。)に関して、令和5年4月1日以降、無期転換申込権の発生と行使が順次行われていることを踏まえ、当該特例対象者の雇用状況に関する実態把握のため、標記調査を実施しました。 このたび、調査結果を取りまとめるとともに、本調査結果を踏まえ、各機関に改めて適切な対応を促す依頼文を発出しますので、公表します。

https://www.mext.go.jp/content/20250122-mxt_t_kiban03-000039859_7.pdf

 

https://www.mext.go.jp/content/20250122-mxt_t_kiban03-000039859_7.pdf

 10年ルールで無期転換権を行使せず雇われた人が結構いる。労働契約が終了し、かつ、定年退職ではないものは9.2パーセント。これが雇い止めされた人ということになる。

 これをどう評価するか。

 結構契約が継続されたよね、雇い止めなんて問題ないよね、と思うか、調査対象の10%近くが雇い止めされているなんて、これは大きな問題だ、と思うか。

 当然私は後者なのだが、報道の見出しもが分かれた。

 雇用維持が8割以上は確かに喜ばしいことではある。しかし、有期雇用のまま、無期転換権を行使しないままがほとんどというのは大きな問題たと思う。

 なぜ無期転換権を行使しないのかは明らかになっていない。よって文科省はこのあたりも調べよと通知している。

3.無期転換申込権を行使していない者に関する状況把握
今般の機関への調査では、令和5年度調査時点で無期転換申込権を行使していなかった者11,235人について、その後の権利行使の状況について確認したところ、無期労働契約を締結した者が179人(1.6%)、令和5年度中に無期転換申込権を行使した者が1,325人(11.8%)、令和5年度中に無期転換申込権を行使していない者が9,731人(86.6%)との結果となりました。
研究者・教員の雇用の安定を図るために設けられた無期転換ルールに基づき、無期転換申込権が発生しているにも関わらず行使されない理由について、各機関においては可能な限り把握に努めていただき、次回調査において文部科学省にも共有いただくよう、お願いします。

研究者・教員等の雇用に係る適切な対応について(依頼)
https://www.mext.go.jp/content/20250120-mxt_t_kiban03-000039795_2.pdf

 しかし、どうして日本の大学や研究機関は雇い止めをするのか。

 これは本当にその通りだ。

 いったいどうして優れた業績を出している研究者を雇い止めするのか。自らの評価を低めるようなことをどうしてするのか。

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