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レム睡眠とノンレム睡眠

ふたつの睡眠

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠というふたつの種類があり、レム睡眠とノンレム睡眠は、眠っている間の一定の周期で何度か入れ替わります。

レム=REM(Rapid Eye Movement)

急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の略称「REM」
睡眠中に眼球が動いている状態をレム睡眠、
眼球が動いていない状態をノンレム睡眠
と呼んでいます。

レム睡眠を持つのは、哺乳類と鳥類のみだと考えられています。
イヌやネコなどが居眠りをしているとき、瞼がピクピク動いているところを見たことがあるかもしれません。(ネコはヒゲの場合もあり)
あのように眼球を動かしている状態がレム睡眠です。

ノンレム睡眠は、お行儀よく姿勢を崩さないでぐっすり寝ている状態です。

睡眠の周期

ヒトの睡眠周期を調べるためには、眼球の動き、脳波や心電図などを計測する睡眠ポリグラフ検査という方法が用いられます。

ヒトが眠りに就くと、まず浅いノンレム睡眠が現れ、この状態から徐々に深い睡眠(深睡眠)に移行していき、1時間程度の間は深睡眠が続きます。徐々に眠りが浅くなっていき、浅いノンレム睡眠へ。
その後レム睡眠に移行し、レム睡眠が50分程度続くと、再び眠りは深くノンレム睡眠へと移行していきます。
その後は翌朝まで、レム睡眠とノンレム睡眠は交互に訪れ、この波を1セットとして1時間半〜2時間程度の周期で現れます。
起床時刻に近づくにしたがってノンレム睡眠が現れる時間が短くなり、徐々にレム睡眠が増えていきます。

睡眠のうち、
約75%はノンレム睡眠が占め、
残りの25%をレム睡眠が占めています。
ノンレム睡眠に入ってからレム睡眠が終わるまでの変化をひとつの周期として、睡眠単位と呼びます。

眠りは90分周期?

「睡眠時間を90分の倍数にすると目覚めが良い」という説は、このような睡眠単位を基にしており、睡眠単位ひとつが約90分ということになるため、たとえば360分(6時間)、450分(7時間半)といった具合に睡眠をとると、覚醒に近い状態で目覚めることが出来るため目覚めが良くなる、と考えられています。

当然のことながら睡眠周期にも個人差があり、その日の疲れ具合によっても身体が求める睡眠時間は変わってきます。
身体をしっかり休め、翌朝気持ち良く目覚めるために大切なのは、自分の睡眠周期を知り、深いノンレム睡眠の時間を増やすことです。

ニューロン

睡眠のメカニズムを理解するには、まずニューロンについて知る必要があります。

ニューロン(神経細胞)は、情報の伝達・処理を行なう細胞で、ヒトの脳には、千数百億個ものニューロンが存在し、最も精緻な構造をしている大脳皮質には140億個のニューロンがあります。

ニューロンは次のような部分によって構成されています。

  • 細胞体…細胞の中心部。

  • 樹状突起…他の細胞からの情報を受け取る。

  • 軸索…他の細胞へ情報を送り出す。

樹状突起の先端部は枝分かれして、他のニューロンの樹状突起などに接しています。そこから数千〜数万個にもなる情報(入力刺激)を常に受け取って処理し、枝分かれした軸索から他の細胞に伝達します。

情報の伝達にはシナプスが介在しており、軸索や樹状突起との小さな隙間にある、情報を伝達する構造です。
シナプスは、その数や構造、伝達効率などを時々刻々と変化させながら、情報をニューロンに伝えています。

脳波=電気

睡眠周期を測定するための睡眠ポリグラフ検査では、脳波を測定します。
その脳波は、ニューロン間を情報が駆け巡るときに発生する電気信号=活動電位です。
ひとつのニューロンが発生させる電気信号はごくごくわずかなものですが、脳全体には千数百億個のニューロンが存在するため、電気信号(脳波)は皮膚の上からでも計測が可能な程度の強さになります。つまり、脳波の強弱を観察することで、脳の活動状態を把握することが出来るのです。

脳だけは起きている

脳の活動状態とレム睡眠、ノンレム睡眠の関係を見てみましょう。

活動電位が発生することを「発火」といい、ヒトが起きて活動している間、脳は情報処理を活発に行なっているため、発火は脳の至るところでバラバラに起きています。しかしヒトが眠ると、発火は徐々に少なく、同期して起こるようになっていきます。深いノンレム睡眠や深睡眠では特に顕著です。

ノンレム睡眠がレム睡眠に移行するとき、脳では覚醒時と同等かそれ以上に頻繁な発火が見られます。睡眠中とはいえ、脳は活発に活動しているのですが、脳から出力される情報や、脳へ入力される情報は遮断されているのです。

感覚系(視覚、嗅覚など)から脳へと入力されるはずの情報は、大脳の視床という部分で遮断されています。また、脳から筋肉に送られるはずの情報は、脊髄で遮断されています。
つまり、レム睡眠中は、脳だけが活発に活動して身体は眠っているという状態になります。


Point

  • レム睡眠の「レム(REM)」=急速眼球運動(Rapid Eye Movement)。

  • 睡眠中、眼球が動いている状態がレム睡眠、眼球が動いていない状態がノンレム睡眠。

  • レム睡眠とノンレム睡眠は、1時間半〜2時間程度の周期で交互に現れる。

  • 睡眠単位…ノンレム睡眠に入ってからレム睡眠が終わるまでの周期。約90分。

  • ニューロン(神経細胞)…情報の伝達・処理を行なう細胞。細胞体、樹状突起、軸索などから成る。

  • シナプス…ニューロン間での情報伝達に介在する化学物質。

  • 脳波…ニューロン間を情報が駆け巡るときに発生する活動電位。活動電位が発生することを発火という。

  • ノンレム睡眠中は、発火は同期して少ない。

  • レム睡眠中は、発火があちこちで起きていて、脳だけが活発に活動して身体は眠っている状態になる。


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