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【就活】ジョブ型の波は新卒採用にも

ジョブ型人事指針」が内閣官房、経済産業省、厚生労働省から発表された(2024.8.28)。その資料ではジョブ型人事の企業導入事例が豊富に示されている。そして、新卒採用にも少なからず影響を及ぼしていることが分かる。

いくつかの企業をみてみよう。


富士通

○ 富士通は、若手にもジョブ型人事を導入したほうが良いという考え方である。
○ 従来は、新卒入社時は原則学歴別の初任給を適用し、新卒入社の1年後からジョブ型人事の対象としていた。これを改め、2026年4月入社者からは、一律の初任給を廃止し、入社時よりジョブや職責の高さに応じた処遇を適用する。これにより、入社時より高度な専門性を必要とする職務を担うことができる人材には、それに応じた処遇を適用し、より優秀な人材の獲得につなげる考えである。

ジョブ型人事指針

2026年4月入社者からは「一律の初任給を廃止」というのは、結構踏み込んだ改革だ。「処遇」がいつ決まり、いつ提示されるのか気になるところだ。

2023年度において、経験者採用は1083名となった。2021年度比で2.7倍となり、新卒採用の1037名よりも多い

ジョブ型人事指針

最近は、経験者採用(キャリア採用、中途採用)のほうが新卒採用の人数より多い企業も見受けられる。

先述の通り、入社時からジョブ型人事を適用することとし、応募時点から職種や職務を限定した採用に変更。また、学生が、富士通に入社した場合の自身の活躍のイメージを具体的に持てるよう、有償インターンシップを拡充する。

ジョブ型人事指針

就活生は、有償インターンシップの募集情報にアンテナを張って、応募してみるのも良いだろう。

日立製作所

新卒採用は、技術系職種にて2001年から「ジョブマッチング」という名称でジョブごとに採用活動を行っている。「パーソナライズ採用」の方針のもと、事務系職種でも、応募者個々のキャリア志向と合致した職種・職務での採用を重視した取組を開始。職務を特定せずに募集を行う従来からのオープンコースに加えて、2021年度から職種別コース、2024年度からは更にジョブを特定したポジション別コースを設けている。

ジョブ型人事指針

経験者採用にも力を入れており、経験者採用の専任チームを大幅に拡充した。リファラル採用・グループ内公募・アルムナイ採用など、採用手法を多様化している。2023年度の採用実績では、新卒採用は695人、経験者採用は560人となっているが、経験者採用は2018年と比較して、3.7倍に増加している。

ジョブ型人事指針

まだ新卒採用数のほうが多いが、経験者採用数が増加していて、そのうち逆転するかもしれない。

ソニーグループ

新卒社員に対しては、130のコース(技術系115コース、事務系15コース)に分けた職種別採用を実施している。

ジョブ型人事指針

もともと130のコースに分けた職種別採用を実施しているところがさすがだ。

オムロン

経験者採用の割合が高まっており、2019年度では約40%だったところ、2022年度は約68%の比率となっている。他方で、優秀な人材・ポテンシャルのある人材を確保するにあたり、新卒採用は有用。経験者採用一本に絞ることは現時点では考えていない。

ジョブ型人事指針

経験者採用の割合が68%と高めだ。経験者採用が7~8割、新卒採用が2~3割程度で落ち着いていくのだろうか。

KDDI

新卒採用は、「OPENコース」という配属領域を限定しないコースと、「WILLコース」という配属領域を限定した採用を実施している。WILLコースでは、データサイエンスやネットワークインフラエンジニアなどの技術系で7領域、リーガル&ライセンスやアカウントコンサル(法人営業)などの業務系で5領域が設定されている。

ジョブ型人事指針

2020年度は、WILLコースでの採用が全体の20%であったが、2023年度は3倍の約60%となり、求職者からのニーズも年々高まっている。他方で、自らの適性を理解できていない学生も多いことを背景として、「OPENコース」による採用も一定程度必要であると考えている。

ジョブ型人事指針

OPENコース」と「WILLコース」、就活生目線でいうと倍率も気になるところだ。

資生堂

採用全体のうち、経験者採用が8割を占める。新卒採用はジョブファミリー別(職種別)で実施し、学生のキャリア志向などを加味した上で少数精鋭化を図っている。

ジョブ型人事指針

経験者採用が8割というのは高い比率だ。学生からの人気も高く、新卒採用の倍率はかなり高そうだ。

メルカリ

採用に関しては、職種別に各分野のプロフェッショナルを獲得するのが基本姿勢。新卒採用が5%、経験者採用が95%であり、経験者採用が新卒採用を大きく上回る。新卒採用の場合も、経験者採用の社員と同様に即戦力としての活躍が期待される。市場価値の高い専門人材を中心に採用を行っているため、採用にあたっては十分な報酬を提示すると共に、リテンションには注意を払っている。

ジョブ型人事指針

経験者採用が95%と著しく高い。

まとめ

ジョブ型人事指針」で示されている、ジョブ型人事の企業導入事例の中から、新卒採用に関連した箇所を紹介した。

経験者採用の割合は増える(新卒採用の割合は減る)傾向にあり、また、新卒採用でもジョブ型採用が広がっていることが分かった。26卒、27卒以降もこの傾向は顕著になると思われる。就活生は志望企業の採用情報に常々アンテナを張っておく必要があるだろう。

上記の企業のほかにも、アフラック生命保険、パナソニック コネクト、レゾナック・ホールディングス、中外製薬、三菱マテリアル、リコー、テルモ、オリンパス、ENEOS、ライオン、三井化学、三菱UFJ信託銀行、東洋合成工業の事例が紹介されていた。気になる企業があれば「ジョブ型人事指針」を一読してみてはいかがだろうか。

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