採用の現場でAIツールの利用が増えており、ニューヨーク市では2023年7月に、規制する条例が施行された。そして、欧州でも厳しいルールになる可能性があるようだ。
AI規制の条例の内容
このAI規制の条例については、「労働政策研究・研修機構(JILPT)」のサイトにも同様の記事が掲載されていた。
条例は、採用などでAIツールを活用する場合、
をする必要がある、という内容だ。
第三者による事前監査
このAI規制の条例では、「バイアス監査」は、独立した第三者がおこなうことになっている。
求職者へのツール使用の通知
求職者へ、ツールの使用を通知する必要もあるようだ。
自動雇用決定ツール(AEDT)とは
なお、自動雇用決定ツール(AEDT)の定義は次のようなものだ。
この定義によれば、日本で言えばSPIなどの適性検査、特に性格検査は(検査結果を意思決定にどのように活かすかにもよるが)AEDTに相当するのではないだろうか。
カリフォルニア州でも法案提出
カリフォルニア州で提案されている雇用AI規制法案は、内容が若干異なっているようだ。
「ツールを開発したデベロッパー」が審査を実施すべき、とあるが、理に適っていると思われる。
ニューヨークの場合は、第三者による審査だったが、採用ツールのアルゴリズムがブラックボックスになっている場合、第三者による審査には限界があるような気がする。
欧州においても議論
欧州でも重要な議題となっている。
日本でも規制されるかも
米国(ニューヨーク市など)、欧州と来れば、次は日本でも採用におけるAIツールの利用に規制がかかるようになるかもしれない。
求職者(就活生)に不利益(あるいは納得感が得られないようなこと)にならないように、採用におけるAIツールの一定の規制は必要だと思う。しかし、規制が行き過ぎれば、いわゆるHRテックのイノベーションを阻害することにもなるだろう。どのあたりで着地させるのか、絶妙なバランスが求められる。
元・採用担当者としては、AIツール活用の規制によって、採用担当者の業務が煩雑になることが心配だ。「評価ツール使用を求職者へ通知」程度であればさほどの業務量ではないが、「バイアス監査の実施や結果の公開」、「ツールに使用されるデータの種類とソース、データ保持ポリシー、バイアス監査結果をウェブサイトへ掲載」となってくると、業務量が多大になるだろう。
HRテック推進とAI規制と採用業務量の絶妙なバランスが求められるのだ。