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「サヴォア邸」について。①

表紙画像引用: https://www.travel.co.jp/guide/article/33427/

 1番好きな建築物を問われた際、僕は迷いなくサヴォア邸だと答える。僕が建築に興味を持つきっかけとなった建物、すなわち僕の原点であり、未だにサヴォア邸以上に魅力的だと感じる建築物に出会っていない。原点であり頂点である。

今回はサヴォア邸に対する基本的な情報を記録し、次回僕なりの解釈を記録する。

 設計者は

ル・コルビュジェ(1887〜1965)(本名:シャルル=エドゥアール・ジャヌレ・グリ)
スイスで生まれ、主にフランスで活動していた建築家である。

サヴォア邸は1928年に設計が開始され、1931年に施工されている。
それまでの建築では、組積造建築(石やレンガを積み上げて、建物を造る工法)という古い建築手法の代替として鉄筋コンクリートを使用していたに過ぎなかった為、デザインも旧態然的なものが多かった。

そこでコルビュジェは誰よりもいち早く鉄筋コンクリートの可能性に着目し、これまでの組積造建築の弱点である、「重苦しさ」「設計上の制約の多さ」等を覆すべく「ドミノシステム」という建築工法の基礎を初案した。

すなわち西洋の伝統的な組積造建築に対するアンチテーゼである。

ドミノシステムとは、
スラブ・柱・階段さえ鉄筋コンクリートで堅牢に作っていれば建築物の他の要素は自由に設計できる。

という考え方の事であった。

このドミノシステムを通し、

・ピロティ(二階以上を部屋とし一階を吹き放ちにした、その一階部分)
・自由な平面(構造壁から平面を解放して自由な部屋を作る)
・自由な立面(様式から解放された自由なデザインを)
・屋上庭園(斜めの屋根を平にして屋上と空を開放する)
・水平連続窓

という、現代では「近代建築の5原則」と呼ばれる新時代の建築のセオリーが誕生したのである。

「壁で建物を支える」という従来型の建築の制約から解放されたドミノシステムを採用すれば、柱の配置さえ適切に行えば、壁は構造耐力には関わりがないため、設計の自由度が高まり、立面(ファサード)の自由にも繋がる。

ドミノシステムで作る建築物は壁に負荷がかからないため、窓はどれだけ大きくしても、横長にしても、または壁を全面ガラス張りにしても問題ない。1階部分は思い切って壁をなくしてしまえば、自由に歩行したり車を停めたりすることが可能になる。

屋根も従来型の三角屋根にする必要はなくなり、平面的な屋根(日本で言えば「陸屋根」)には庭園を作って楽しむこともできるであろう。

これが、コルビュジエが生み出した「近代建築の五原則」であり、この原則がモダニズム建築の礎(いしずえ)となった。

今回はサヴォア邸の説明をした。次回自分なりの解釈を記録したいと思う。

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