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プレーンな友達 『浮世でランチ』

なんのしがらみもない関係。そのプレーンさに憧れる。まだ誰もが何者でもなかった子どもの頃に、築けた友達関係。そこに友達であるための理由なんてなかった。

ただ近くにいたから。話してみて落ち着くから。とりあえず触れてみる。よく分からない。でもまあいいか。

大人になってからそういう友達を作るのは難しい。

プレーンな友達がいたらいいのに。

上下関係も、どんな仕事をしているかも、どんな背景や家族関係を持っているのかも知らずに。小さい頃の遊びを夢中で付き合ってくれる友達は出来るだろうか。

プレーンな友達に出会ってみたい。


平べったい石を川に投げる遊びをする友達。

ジェンガを何時間も楽しむ友達。

トランプを本気でする友達。

ただ宇宙の広さや謎ついて一緒に考えてくれる友達。

人間観察を1日付き合ってくれる友達。

やばそうなお店を見つけて、怖いもの見たさで一緒に入ってくれる友達。

レモンを収穫して、絞り機で絞って、オリジナルのレモンサワーを作って最初の一杯を最高に飲むまでを本気で付き合ってくれる友達。

古着屋さんをめちゃくちゃに巡って、自分だけのオリジナルのスタイリングを組みまくる友達。


その友達との間には、自分が誰でなにをしていて誰と暮らしていて誰を想っていて、なんてことは話したことなんてない。

ただその友達との間には、日々どうでもいいことを進んで話したくなる空気感だけがある。


本当の友達じゃないかもしれない。

本当の友達はお互いの生活まで知っていて、お互いに悲しい時は支え合って、幸せな時は無条件で喜びたくなる、そんな友達かもしれない。

そしてそんな本当の友達にいつも生活を潤してもらっている。感謝。好きです。

でもたまに、自分が誰でもない、誰からも認知されていない環境や関係で、何かを築いてみたい。

そんな友達に出会ってみたい。


あぁ、それがSNSなのかも、と最後に思うのでした。すごい時代だ。


浮世でランチ 山崎ナオコーラ
大人になってから自分のことをそんなに詳しく知らない大人と仲良くなるのは難しい。でもたまに変な人がいる。話してみたいと思ってしまう人。恋愛感情でもなく、なんの下心もなく、別に今後ずっと繋がっていかなくても良いけど、今は話してみたい。そんな、ぼやけた透明な友達、のような人が出てくるこの作品。詳しいことは書く気力が無いから書きません。
私もそんな透明でぼやけた、でもちゃんと輪郭もある友達が欲しいなと思い、なんとなく書いてみました。自分でも意味わかってません。

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