短編小説 えんむすび喫茶館 第一楽章
私はウメ、97歳
今は昔、いや恋する乙女は
今も昔も変わらない
実は私、この令和と大正の時代を自由自在に
行き来が出来る不思議な人間
やはり大好きな大正時代に戻りたくてね、
戻って来たのよ
私は、お菓子、物作りをこよなく愛し
恋する乙女、貴婦人、お姫様が
どんなお菓子を食べると
高揚し、幸せに、癒されるのだろう
これを身に付けると、
お洒落、生活がどれだけ
楽しいだろうといふ思いで
色んなものを製作してるのです。
大正時代の盛りに念願の喫茶館を
この大好きな街に開きました。
その名は『えんむすび喫茶館』
名門の女学校の隣に佇む
不思議な喫茶館
しかし、恋する、恋に悩む乙女のみが
この喫茶館が見えて、なぜか惹かれ、
自然に手招きされるやうに入って行く。
さあ、物語の始まりです。