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長岡花火の「見方」

書きたかったこと連続投下。

幸いなことに昨今、長岡花火もより賑わってまいりまして、子供の頃から見続けてきた出身者としては嬉しいかぎりです。花火の写真も動画も、いまやたくさんあるので、タイトルフォトは始まる前に撮った夫の謎影絵でも。

なんと古市憲寿さんが長岡花火を?

先日、これを読んで笑ってしまった。社会学者の古市憲寿さんが、かつてテレビで長岡花火を「ディスって」しまったらしい。今年改めて花火を観に訪れ、デイリー新潮に書かれた、まるで反省文のような寄稿です。

………あんま書いたらいかんのかも知れませんが、今年は抽選の市民枠が撤廃されたあげく、日取りがいいので申込みが殺到し、副市長までチケット抽選に外れたと聞いています。古市さんに見ていただけてよかった(´-ι_-`)

いやね、正直、長岡花火の意義って、私は地元民以外わからなくても仕方ないと思う。お客さんには好きなように観てもらえればいいし、それでも打上げ規模の豪気な様や、玉のきれいさなどはきっと心に残るものだと信じています。

古市さんにいいたいのは(笑、花火って土地のものだから、そりゃ沖縄には沖縄の素晴らしい打上げがあるんですよ! 安室奈美恵さんのミュージック花火がどこで行われたかわかりませんが、海際は風がよく吹いて煙が流れやすく、連続して上げてもきれいに鑑賞できると思います。そのぶん、玉の開きも流れやすく、それはそれでまた気をつかうそうなんですけれど。

長岡は川花火なので、大きく連続して打ち上げると煙がたまりがちなんですよね。プログラムの間をあけるのは排煙の意味合いもあるかと思います。

で、長岡にとって花火とはなにかというと、書かれているとおり、戦後は焼け野原からの立ち直りであることです。なにか嬉しいこと、つらいことがあるたびに、花火プログラムとして組み込まれてきたのが長岡花火です。

私ら世代で強く刻まれたのは中越地震です。現在もっとも有名なプログラムであろう『フェニックス』は、その翌年に初めて打上げられました。

中越地震とフェニックス

あれも、決して最初からすんなりいったわけではなく、保安もありますから、試打に試打を重ねて実現した経緯は、山崎まゆみさん『白菊』に書かれています。

フェニックスが初めて打ち上がったときは本当に泣きましたね。

2004年、今のようにTwitterもなく、ニュースで大きな地震があったというのですが、テレビが私の実家を中継してくれることはないわけですから。たまらず、数日後に福島経由でむりやり現地入りしたんですけれど、まだまだ昼夜問わず余震がありました。

ろくに寝られず精神的に摩耗していったことや、大きな余震で車が跳ね上がり標識がメトロノームのように揺れたこと、一週間ぶりくらいに「やっとシャワーが浴びられる」と向かった先が混雑していて裸で行列に並んだこと、一生忘れないと思います。現代生活が、現代人が、こんなに脆いものだと思わなかった。

その一方で、父が勤めていた会社でも片付けに時間がかかり、そのことを県外の取引先が全国のお客様に説明してくれたりとか、あるいは、母方の祖母がうちに避難してきてたのですが、そのときに笑いあって余震の緊張がほぐれたりとか、人の優しさ、たくましさも感じました。

フェニックスを見ていたら、(当時ラジオでリクエストが多かったという)平原綾香さんの『ジュピター』の歌詞もあいまって、そうしたことが全部こみあげてきた。

もう大泣きに泣いたし、それまでなんとなく「あるから見ていた」花火というものが、はっきりと「これは長岡の癒やしであり、鼓舞なんだ」と思われた。

だから長岡花火って、たとえ規模が縮小しようが「長岡大花火」なんだと思います。最後の一玉になろうと、きっと誰かが誰かのために上げるものなんだと思う。もしつらいことがあったときも、8月の2日3日、長岡花火はかならず上がっていると言いたい。

長岡は大玉が多いんですが、天高く悠々と尾をひいて、音を轟かせながら伸びやかに開くさまは、理想の生き方をみているようです。花火そのものが、きっと心を慰め、元気づけてくれます。

打上げと打上げの間に何をしているか?

これはもう、協賛企業と次の打上げプログラムのチェックです。パンフレットを引っ張り出して見ています。我が家だけかもしれないけど。

協賛者あってこその花火ですんで、おお次はこの会社か、今年の打上げはどんなふうだろう、おやこれは県外の会社だね、などと、畑から無限湧きする枝豆をひっきりなしにつまみながら話しています。長岡花火は、花火師さんや協賛者さんとの対話でもあるのです。

また、始まる前の現地入りもわりと早い。日が落ちる前に入って、その日の夕食を観覧場所で食べるのが我が家流です。今年隣にいた家族は、どこから仕入れてきたのだか、カニをまるごとクーラーボックスから出してほじっておられた。

日焼け止め厚塗りや日傘が必須ですが、夕暮れ、日が落ちて紅から紫に染まる一面の空が、花火のはじまりを盛り上げてくれます。

そんなわけで、もっと花火をみよう

件の沖縄もそうだと思うんですが、いま全国でも良い花火大会がかなり増えていると聞きます。華のあるミュージック花火を主軸とした大会も、評判なのがいろいろあります。

9月以降の開催も多いです! 今からでも遅くないと思うので、今年花火をまだご覧になってない方は、どこか行かれてみてはいかがでしょうか。

屋台を物色しながら人の様子をながめ、打上げを待つ時間はどこも最高です(^o^)

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