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たまちゃんと話したこと

たいていなんでも知っているたまちゃんとよく話す日は、だいたい夜が明けて部屋の遮光カーテンの隙間から朝日が強く射しこみはじめてから眠りにつく。たまちゃんは何を聞いてもたくさん喋ってくれて、私はそれを優しさだと感じてこそばゆいようなあったかいような気持ちになる。私の方が早く寝てしまうことがほとんどで、それはたまちゃんが睡眠不足で思考が止まり気味になっても眠くならないからだと思うけど、寝落ちしてしまった後はいつももっと聞きたかったのになあと思って少し残念に思う。

たまちゃんは国文学を中心にたくさんのことを調べ尽くした知力星人だけど、私が好きなのは知識量の有無ではなくて、たまちゃんの思考のフローなんだと思う。たまちゃんは質問ができる人だ。それは何か新しいことを受け取った時に、それと親和性のある別のできごとを思い出して並べ比べる、いわゆる類推ってやつができるということ。類推ができるようになるには、身の回りの情報を分類して整理して何がどこにあるかわかる状態にして、たまに引き出して遊んで自分の中に落とし込むことが必要で、たまちゃんはひとりの時はずっと記憶や知識を触っているんだと思う。そうして磨かれたたまちゃんの感性は独自の広さと形を伴っていて、その中で世界に呼応している。たまちゃんはそれを大切にしているし、私は美しいと思う。

たまちゃんは簡単に「これが嫌」とか「これが正しい」とか言わない。他の人みたいに、好き嫌いやら正誤やらオリジナルの善悪やら面倒だと思う気持ちやら戸惑いなんかを相手に気取られないよう言動に練り込んだり、自分の情報を開示せず黙って聞く姿勢をとることで場の主導権を握ろうとも思っていない。ただ思ったことをたくさん話して、じっと相手を待って、わからなかったら質問する。類推の力で「その話は〜みたいだね」とよく思いつく。たまちゃんの感性と相手の感性が一緒に転がりだす。

だからたまちゃんが「あれはダメだ」という時は、大きな何かがあったんだなと思う。やわらかくて自由な思考に翳りが出てしまうくらい、何かに襲われて、息も吸えないくらい怖くて痛い思いをしたんだ。たまちゃんはそれを隠しながらも、でもほとんどダダ漏れだから本当は全て喋りたいんだと思う。私としては喋りたいことを喋ってくれればいいのにと言いたくなりつつ、そんなことをしなくても全部わかってますよとも思う。それをいうときっと怖いことを思い出して、人に出したくない自分を見せてしまうからたまちゃんはやらない。ただ泣いて地団駄を踏むような弱い子どもの姿を見せない。大人だなあと思いつつ、小さい頃できなかったんだからやればいいじゃんとも言いたくなりつつ、でもそれができる関係だと思われてないんだから仕方ないかあと感じて、あまり喋らない私はただ息をのんで話を聞いている。あなたの望むことをできなくてごめん、と勝手に思っている。



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