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有田焼400年の歴史展を見る

今日23日から28日まで約1週間、池袋の東武百貨店8階催事コーナーで「有田焼400年の歴史展」が開催されています。

昨日22日、そのオープニングセレモニーと内覧会が開かれ、それに参加してきたので、展覧会の様子をご紹介したいと思います。

オープニングセレモニー自体は、有田焼の陶磁器会社のお偉いさんとか、人間国宝うの陶工の方とか、東武百貨店のお偉いさんとかが参加して、ちょっと挨拶して、テープカットして、プレス向けのフォトセッションがあって、というありきたりのものなので、パスしときます。

ただ、特別ゲストとして、ドナルド・キーン氏がいらっしゃっていたのは特筆すべきでしょう。93歳になられる氏も、座ったまま原稿を読む形で祝辞を述べられたのですが、もう呂律も回らず、このままどうかなってしまいそうなたどたどしさにドキドキしてしまいましたが、段々途中からしっかりしてきて、セレモニー後には歩いて展示物を見て回られていたので、お年の割にはお元気で安心しました。。。

▶︎有田焼の400年とは、、、

NHKでも有田焼400年ということで、佐賀放送局が記念番組を作って、ミラノに新作を展示する過程を放送していましたが、400年という記念すべき年である一方、有田焼の売り上げは衰退の一歩をたどっており、それをなんとかしなくてはならない、というのもこの記念の意味であるようです。

たしか1990年頃のバブルの頃の2割以下に売り上げは落ちているそうですし、歴史的な意匠に囚われて全然売れなくなっているのが現状らしいです。
それを打開するためにも、それこそ昔に欧州で日本の磁器が珍重されて(そして、それがウェッジウッドなどの欧州での磁器の製造につながったように)いたように、再び海外にも市場を見出したいという強い要望があるからでしょう。
そのために今回の展示でも過去の貴重な陶磁器だけでなく、新たな新作に大きなスペースが割かれているのでしょう。

▶︎展示の概要

ざっと見ておくと次のような感じ。

1 20点ほどの歴史的な有田焼の時代時代を代表する作品の展示
2 現代の有田焼の陶工の新作展示
3 有田焼の陶磁器会社の製品展示
4 古伊万里、鍋島などの骨董的陶磁器の展示
5 お手軽な小皿などを料理シーンでの活用と共に販売
6 佐賀の地酒の試飲コーナー

という感じです。
1以外はすべて値段はそれこそ何百万から千円まですべて販売されています。

▶︎歴史的な有田焼

ざっと有田焼の歴史の流れはこんな感じです。

今回の展示では、初期伊万里、古九谷(とはもうあまりいわないらしい)、鍋島、柿右衛門、マイセン窯、古伊万里のそれぞれを代表する作品が数点ずつ、計20点ほどが展示されています。
解説によると、江戸中期の柿右衛門様式の最高潮の作品は、今のものよりも薄く軽く作られていて、とても高度な技術であることがわかるそう。そしてデザイン的にも色が段々増え、デザイン性が上がっていくのがよくわかります。


▶︎有田焼の新作展示

こちらは様々な陶工が複数の、そして様々な意匠デザインを凝らしたものを出品していて見ごたえがあります。色使いや釉薬の使い方、形、いろいろあってとても面白い。
でも、個人的には白磁やそれに青い釉薬をわずかに使った程度の色合いのシンプルなもの(でも、形は造形的で)というのが好きかな。。。

▶︎陶磁器会社の製品展示

これは、新作とは異なり、ティーカップせっとや酒器、陶器プレートなどより家庭で使われる製品群なので、まぁ、うちで使えたらいいな、とかそういう感じのものたちです。

▶︎骨董的陶器の展示販売

それこそ17世紀の初期伊万里から、鍋島、古伊万里などの様々な陶磁器が展示販売されていました。藍伊万里の皿のそろいで100万円近くとか、鍋島の壺でウン百万とか、、、こういうの好きな人は好きだと思う(いや、もちろん私も嫌いではない)けど、そんなにホイホイ買う人がいるんだろうかなぁ、とちょっとだけ思ったり。。。
でも、たくさん売っていて、これはこれで壮観でした。。。


▶︎おてしょ皿など小皿のコーナー

こちらは家庭で使う小皿のコーナー。千円くらいで買えるものがそろっていて、写真にも見られるように、コーディネートを示しつつ食卓で使ってね、っていうイメージですね。おてしょ皿(お手塩皿)はたしかに使い勝手いいので、うちにも少しあるよ。。。


▶︎地酒試飲コーナー

有田は佐賀県ということで、佐賀の地酒紹介のコーナーも併設されていて、地酒の有料試飲もできるようになってました。
鍋島大吟醸なんてのも試飲できるみたい。個人的には宗政とか東一に惹かれる。。。
あと、ここには、有田焼で作ったキン肉マンとロビンマスクの盃なんてものも、飾られてました(売ってました)。
欲しい人いるんかなぁ、、、w

といった具合に、名前は知られているけれど産業としては落ち込んでいる有田焼を400年記念でなんとか盛り上げたい、というのと、さらに佐賀の地元産業のアピールも兼ねた展覧会といえばよいでしょう。
新作陶磁器作品に興味がある人にも、骨董的な有田焼に興味がある人にも楽しめると思います。無料ですしね。

個人的には内覧会に参加して、その資料のおまけに、30日から開催される「大和和紀画業50年記念原画展」の招待券が入っていたこともとても嬉しかったり。。。(をいをい


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