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感想:ミッドサマー 劇場版「旦那デスノート」

皆さんこんにちは(投稿時間的にはこんばんは)、たいらーです。

最初の投稿で書いた「毎週映画チャレンジ2020」、その鑑賞作品の感想を書いていきたいと思います。コロナウイルスで公開が延期になっている作品などもあるそうですが、毎週ペースでも映画は追いきれないというのが正直なところなので割と有難い面もあります。

さて、今回感想を書くのは、アリ・アスター監督「ミッドサマー」です。

監督の長編デビュー作「へレディタリー/継承」が一昨年大ヒットを記録したことから、公開前には既に話題となっていた本作。鑑賞したのはおよそ1週間前、2月24日で、三連休ということもあり劇場は1日中ほぼ満席という盛況ぶりを見せていました。

私はホラーがどうにも苦手で「へレディタリー」も食指が伸びなかったのですが、本作はチャレンジの一環として観てみようという気になり、劇場に足を運びました。

まず結論から言いますと……

個人的には「微妙」の一言でした。

これは見た方誰もが感じることだと思うので言いますが、上映時間が不必要なまでに「長い」という印象です。終了後前に居た女性の方が「ちょっとダレてなかった?」と言っていましたが同意します。

その時間、「劇場公開版」で驚異の148分(2時間28分)!「へレディタリー」を調べてみるとこちらは127分(2時間7分)なのでそれよりも20分長く、この上更に20分以上長い「ディレクターズカット版」が存在するという恐るべき長さ。

それに対し語られている内容は異様にシンプルというか、「もしドラ」とか「ビリギャル」が流行っていた少し昔だったら「メンヘラな私がスウェーデンに行ったら人生バラ色になった件」みたいなタイトルで本屋に並んでそうな、病んでいた女の子がロクでもない彼氏を捨てていい感じの共同体を見つけるまでというよくも悪くも小さなお話。

しかも見つけた共同体は見るからに怪しげなコミューン。見かけで判断するなとはよく言いますが、挨拶代わりにクスリを勧めてくる連中が怪しくない訳がないだろ!と序盤から不信感MAX。

恐らく世界共通で昔から語られてきたような「カルト的な村の因習もの」の所謂ステレオタイプとして、ある者は戒律を破り、ある者は逃れようとして殺され、またある者はまんまと取り込まれるという先の読める話を長々とやっているのでそこに面白みがあまり見出せないタイプの作品でした。

どうやらこの作品、主役であるダニに共感できるか否かが評価の分かれ目になる様子。できた人はラストで「殺ったねダニー!仲間が増えたよ!」と喝采を挙げるようですが、所々入り混じる客観目線のせいで「いや、クリスチャン側からすると理不尽以外の何物でもなくない?」と同情してしまうとそうはならないというバランスになっています。男女関係抜きにクリスチャンがダメ人間なのも否めないのですが。

ダニに完全に共感させたいなら70、80年代のスコセッシ映画や、それをオマージュした昨年の「JOKER」のようにより主観の分量を増やしてもよさそうなものですが、そうしていないのは敢えてでしょうね。それでも喝采を挙げる人がTwitter上だと多いようです。「#旦那デスノート」がニュースになってしまう日本ならではなのでしょうか、それとも海外も……?

……とまあ食い足りない気分になったところも多いのですが、「カルト」を詳細に映画化するとこうなるのか、とその異様な作り込みに目を見張る部分も多かった本作。

「カルト」のようにレッテルを貼られがちな団体でも、いざ中に入ってみれば構成員の人達は実際陽気で人が良く楽しそうにしているというのはよくある話。「オースティン・パワーズを子供達と見ている」という台詞からカルトとしての厚みを感じている人などもバズっていましたが、要は決して悪人然としていない、表面的に見れば「こちら」側とも上手くやっていける良さ「げ」な方々なのです。

だって悪いとか思ってないから。

ダニを取り込んでいく手練手管の中でも特に良かったのは後半の踊り~クリスチャンの浮気(?)を知り村の女の子たちと泣きわめくまでの下り。ダニは共感してくれる「仲間」を得るのですが、所謂エクスタシー(快感)だったりミラーリング(心理学的に相手の行動を真似し、関心を惹く行為)だったりとあらゆる手を使いまくってるわけです。

カルトの手口を教えてくれる映像コンテンツにNetflixの「世界の今をダイジェスト」という番組があり、そこでは参加者に「他に自分の居場所はない」と思わせることこそが共同体に帰属させる手段だと解説されていますが、恐らくダニは最初からそうなりやすい不安定な人間として諸悪の根源・ペレに目をつけられていたのでしょうね……。

日本ではカルトを皮肉った「TRICK」という番組があり、「おいでよ、ホルガ村」なんてネタのされ方もしていますが、カルトを捉えた作品としてはかなりのディティールの押さえ具合だと思いました。「恐れよ、ホルガ村」ですね(上手くない)。

というわけでなんだかんだと鑑賞後に色々考えてしまいました。

結果が読めないタイプの話ではないので娯楽として楽しむには厳しい人もいると思いますが、悪い作品ではないので時間に余裕のある時に観てもいい作品だとは思いました。

はい、「ミッドサマー」感想は以上です。

次回は平成ライダー最終作「仮面ライダージオウ」待望の後日談

東映Vシネクスト「仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ・マジェスティ」の感想を上げようと思っています。

それではまたお会いしましょう。ここまでのお相手は、たいらーでした。

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