「アプリのヒットはとても幸せだったけど苦しかった」 Yuta Yabuzakiさんによる「どうぶつタワーバトル制作ウラ話」 #京都eスポーツサミット 2020 Winter
こんばんは!
2020年1月12日(日)京都四条の京都経済センターで行われた『京都eスポーツサミット 2020 Winter』のプログラム「どうぶつタワーバトル制作ウラ話」の様子をお伝えするnoteです。
今回の『京都eスポーツサミット 2020 Winter』のレポートは全部で3つです。
他の二つもぜひご覧ください。
①【イベントレポート】eスポーツに大事なことは「わかりやすさ」だ!
②「アプリのヒットはとても幸せだったけど苦しかった」 Yuta Yabuzakiさんによる「どうぶつタワーバトル制作ウラ話」 (このnoteです)
③パネルディスカッション『2020年eスポーツのこれから』
2017年3月に『どうぶつタワーバトル』をリリースされたYabuzakiさんは人前で講演をするのは初めてとのことで、とても貴重な機会でした。
当日のメモと記憶を頼りにレポートしています。Yabuzakiさんがお話しされていた内容そのままではありませんが、大筋は合っていると思います。
それらを踏まえてお読みください。(撮影禁止の講演でした。)
↓ここから講演内容です
モバイルゲーム製作者 Yuta Yabuzakiさんと『どうぶつタワーバトル』について
Yabuzakiさん:みなさんはじめまして。Yuta Yabuzakiです。
これまで講演などは断ってきたのですが、今回初めてこういう場に立たせてもらって緊張しています。よろしくお願いします。
私のプロフィールです。
東京在住静岡出身の30歳です。
静岡県立大学 → 21歳で明治大学政治経済部 → 東京で大学1年何もせず
→ アプリ開発始めたらたのしい → 就活 → 本イベント共催のポノスの説明会にも参加したことあります → 一番行きたい会社の内定を辞退し個人開発を続ける
→ メンタルを崩して3年間ほど開発を続ける → 2017年3月に『どうぶつタワーバトル』をリリース
『どうぶつタワーバトル』のコンセプト
インストールして5秒で遊べる対戦ゲーム
子供から大人まで楽しめるもの
細部まで妥協しない
レート制の導入
『どうぶつタワーバトル』は動物の写真を使ったパズルゲームです。現在iOSとAndroid合わせて700万ダウンロードされています。最近新しいどうぶつ『テナガザル』を追加したのですが、この動画がバズってました。
こういう奇跡的な積み方ができることもあってテナガザルは人気です。
『どうぶつタワーバトル』は、インストールしてすぐに対戦できることが売りです。みなさんのスマホを使ってもらうとわかりますが、ダウンロードが5秒で終わり5秒で対戦できるアプリです。
また『どうぶつタワーバトル』を作ったことで、ポケモンタワーバトルのライセンス契約をさせていただくことができました。任天堂さんは大好きなメーカーですので光栄でした。
Facebook Gamingによるプレスリリース
>Pokémon Tower Battleは現在すべての国と地域で遊べます。プレイヤーがポケモンを交互に積み上げてその高さを競う、今までにない形のポケモンゲームです。 リアルタイムで友達との対戦や世界中のプレイヤーとのランキングマッチができ、その中でレアポケモンを発見、捕獲、育成する楽しみもあります。単純そうに見えますが、バトルを制するにはポケモンをどこへどのように積むかの戦略的判断が要求される、奥の深い物理演算パズルです。
株式会社ポケモンの新作ゲームがFacebook Gaming限定リリース
またレート制を導入したことがヒットの要因になりました。ポケモンを参考にして作りました。
レート制
どうぶつタワーバトルは1500ポイントを持って対戦を開始します。対戦に勝つことでポイントが増えて、負けることでポイントが減ります。レートの高さがゲームの強さの指標となり、より高いレートを目指して真剣に取り組む『ガチ勢』もいるとのこと。
リリース直後は同時接続するユーザは数人でした。いつユーザが接続してきてもいいようにスマホを何台も並べて待機することもありました。
ゲームをまともにプレイしない荒らしの対応はつらかったですね。レビューはいいもののユーザ数は伸びずにいました。当時の運用は、スタミナ制で課金+リワード広告でした。
リリースから2、3ヶ月運用してみたのですが、うまくいかないので一旦諦めることにしました。正直苦しくて、アプリの画面さえ見たくなくなっていましたね。
どうぶつタワーバトルの快進撃
しかし数カ月した頃、状況が変わり始めました。
一つは『どうぶつの森 ポケットキャンプ』というアプリがリリースされたこと。
なぜ『どうぶつタワーバトル』に『どうぶつの森』が関係あるのかというと、『どうぶつの森』がリリースされたことでアプリストアの中で「どうぶつ」というワードが頻繁に検索されるようになったんです。
すると『どうぶつタワーバトル』も検索候補として表示され、そこからダウンロード数が増えていきました。
もう一つの要因は『ゲーム配信者とSNS』です。
ゲーム配信者が『どうぶつタワーバトル』を面白がってくれて配信してくれたのです。たしか配信サイト『OPENREC(オープンレック)』でカードゲーム『Shadowverse(シャドウバース)』を配信者されている方が火付け役だったと思います。また、先ほど紹介したプレイ動画やバグ動画がSNSでバズったのも一因ですね。
ねとらぼさんが記事に取り上げてくださり、ヤフーニュースのトピックに掲載されることにもなりました。
(下記記事によると、ヤフーニュースへの掲載がきっかけで一気にダウンロード数が伸びたようです。)
これらのおかげで無料アプリ総合一位、Appstore2週間以上で連続一位を取ることができました。ちなみに「Appstore2週間以上連続一位」という記録はいまだに破られていません。
アプリのヒットはとても幸せだったけど苦しかった
『どうぶつタワーバトル』がヒットしたことで幸せも苦しさも両方を味わいました。
多くの人に『どうぶつタワーバトル』を遊んでもらえることはとても幸せです。しかし急激に増えたアプリ利用者の対応が本当に大変でした。
2017年3月にリリースした直後に同時に接続して遊んでくれるのは5人程度です。それがまさか5万人が接続してくるようになるなんて思ってもいません。早急にアプリを支える様々な仕組みをアップデートしなければなりませんでした。
爆発的なヒットをしだした2017年12月頃はアップデートの準備と睡眠以外何もしていません。それに誹謗中傷のメールが毎日のように届くようにもなりました。ひどい一言だけ書いたメールが一番しんどかったです。
そうして乗り切った12月のサーバ代は、200万円を超えていました。当時の貯金は20万円でしたので、友達に借金してなんとか乗り切れました。
しかし翌年1月に体調を崩してしまいました。それまでも鬱気味ではあったのですが、無理がたたってしまいました。
『どうぶつの森 ポケットキャンプ』のリリースをきっかけに『どうぶつタワーバトル』を見つけてもらいランキング一位を取れた12月。このチャンスをモノにするために、私自身が「12月を死ぬ気で駆け抜けよう」と決めたのですから仕方ありません。
最近、アプリ開発者向けのシェアハウスに住み始めました。ゆるいつながりがちょうどいい距離感を保てていて気に入ってます。
そして、人と話すのはやはり大事だなと痛感しています。
eスポーツとしての『どうぶつタワーバトル』
eスポーツとしてみた『どうぶつタワーバトル』の特長はこのように考えています。
わかりやすいルール
実力と運のバランス
観戦して楽しい
研究しがいがある
・その他
どうぶつ選び
追加要素の制限
マネタイズ
そして上級者の活躍の場をもっと作りたいなとも思っています。
大会も頻繁に開催されています。Vtuberが参加する大会やガチ勢が参加するコミュニティ大会『獣王杯』、谷田さんが代表を務められているウェルプレイドさんが主催する『ウェルプレイドフェス』などで行われました。
(当日行われた倉持由香さんとウェルプレイド代表取締役 谷田優也さんのエキシビジョンマッチの様子)
これからのYuta Yabuzaki
『どうぶつタワーバトル』がさらに発展するように頑張って行こうと思っています。
また新作を楽しく作ってもう一発ヒットさせるつもりです。『どうぶつタワーバトル』のヒットで一位が取れて目標を見失っていたのですが頑張ります。
ご清聴ありがとうございました。
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感想(イベント全体レポートより)
ヤフートピックに載るほどの大ヒットを経験したYabuzakiさん。アプリの運用費だけで200万を越えてしまったり、多忙から体調を崩されたりと苦労をされたそう。シェアハウスへ住居を移して環境を変えた現在では新たな展開を考えているそうで、これからの活躍に期待しています。
今回の『京都eスポーツサミット 2020 Winter』のレポートは全部で3つです。
他の二つもぜひご覧ください。
①【イベントレポート】eスポーツに大事なことは「わかりやすさ」だ!
②「アプリのヒットはとても幸せだったけど苦しかった」 Yuta Yabuzakiさんによる「どうぶつタワーバトル制作ウラ話」 (このnoteです)
③パネルディスカッション『2020年eスポーツのこれから』
参考リンク
4Gamerさんによる当日レポート
Yabuzakiさんによる『どうぶつタワーバトル』がヒットの回顧録
iOSアプリ
Androidアプリ
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