ドラフト3巡目の憂鬱

初の珍事

BPLZEROに始まって今年で5年目を迎えるBPL。初の珍事がレギュラーシーズンで起こった。
Tradz3巡目の8$.選手(以下敬称略)は第21試合でDON*に敗れたことで、レギュラーシーズンの出場全試合を通して1ptもポイントを獲得できなかったのだ。
これは5年間の各レギュラーシーズン(もちろん毎年ルールが全く異なっているが)において初めての出来事であった。

8$.の名誉のために申し添えておくならば、8$.はS2・S3にも出場しており、ここまでの2シーズンでは多くの格上選手を相手にした上で11勝19敗の好成績(3巡目指名であることを考えれば好成績と言って差し支えないと思う)を残している。

3巡目選手に吹く逆風

次のダイヤグラムは、レギュラーシーズンにおける各選手同士の対戦成績を表示したものである。(縦方向が自分側で横方向が相手側)

また通常のようにレーティング順に並べたものではなく、
対戦相手の平均レーティングが高い(=強い相手に当たった)順で縦方向に並べており、横方向にはレーティングが高い順に並べている。

まず46、LICHT、8$.の3選手は対戦相手の平均レーティングが+200を超えていることが分かる。(ちなみに1巡目選手の平均レーテイングが+218)

46、LICHT、8$.は3人ともドラフト3巡目指名された選手だが、この3選手がどれほど強力な相手と当たっていたかは対戦相手の名前を見ても一目瞭然で、
46はKKM*、PEACE、WELLOW、G*と対戦し2勝6敗。
LICHTはKKM*、UCCHIE、MIKAMO、G*と対戦し1勝7敗
8$.はDON*、CORI-、PEACE、CHP*1Eと対戦し0勝8敗となった。

この3選手はプレイの内容自体も決して悪くない(平均BPIは50を超えている)のだが、対戦相手が上位選手に偏っているために大きく負け越してしまったことがわかる。

敬遠されるエース

反対に、レギュラーシーズン無敗のKKM*、PEACE、次ぐレギュラーシーズン1敗のUCCHIEについてはどうか。
先ほどのダイヤグラムを見ても、この3選手はかなり下方に位置している(反対に対戦相手のレーティングが低い)ことがわかる。

ここで、自己のレーティングと対戦相手のレーティングについての散布図が次の図である。
この図を見ると、自己のレーティングと対戦相手のレーティングには逆相関が生じている(強い選手ほどレーティングの低い選手に当たっている)ことが分かる。

この図を見ても、たしかに自身のレーティングが高いKKM*、PEACE、UCCHIEについて対戦相手のレーティングが低い一方で、46、LICHT、8$.の対戦相手はレーティングが高いことが見て取れる。(4巡目のKIDO.、LOOT、LEOにも同様の傾向が見られる)

チームのエースとして相手方から認識される選手は、オーダーの段階から真っ向勝負を回避されている(相手から敬遠されている)ということがこのグラフから分かる。(反対に一部の3巡目選手・4巡目選手が相手エースを引き受ける役割をしている)

金持ち喧嘩せず

拙文で過去にも言及しているが、BPLS4のルールは特にエース同士の対戦が回避されやすいルールになってしまっている。

敵エースにはエースをぶつけるのではなく、手前で4タテを狙う方が効率的(&仮に失敗しても3巡目・4巡目選手によるワンチャンスを狙う)という各チームの(当然に)合理的な判断が、結果として"3巡目選手への逆風"を引き起こしてしまっているのだ。

もちろん巡目に差のある対戦カード(と下剋上)もBPLの醍醐味の一つなのだが、今シーズンはそのような対戦カードが多くなりすぎていないかという印象を一視聴者としては受けてしまう。

仮に先鋒,中堅,大将の2,3,4pt制が次シーズン以降も続くのであれば、エース選手同士の対決が大将戦で実現しやすいよう選手のコスト制限の緩和などが必要であると考える。

ポストシーズン

レギュラーシーズンでは"逆風"に苦しんだ8$.選手だが、レギュラーシーズンの結果に意気消沈することなく、ぜひともポストシーズンでの捲土重来を期待したい。

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