報告 NOSTALGIA 初演終了
4月最終日の夜、浜松市内の半田山にあります「jazz in B-flat」で、NOSTALGIAとしては今年初となるライブを行いました。
出演 えんじろう(オカリナ)
りょうこ(ピアノ)
井手寛和(ギター)
出発前
この日は朝からあいにくのお天気でした。しかしなぜか僕らの活動に対してお天気はいつも「悪いようにはしない」という確信にも似た感覚を持っています。
出発前のお昼ごろから支度を整えながら、時折空を眺めてボーっとすると、ふっと明るさが増すんです。そして「あっやっぱり」と安心するということを繰り返していました。
荷物の積み込みも無事終了し、お店を目指します。
会場にて
どうですこの威圧感(っておい!)本来の姿はこんな感じです。
あっ似たようなものかな!
えんじろうだけだと思うのですが、どれだけ準備をしっかりしたつもりでいても、演奏前の会場って最初はややこんな風に見えてしまうんです。ただワクワクだけでは済まない感じがするんですよね。
程よい(のかわからないのですが)緊張感とともに、準備を進めていきました。もちろん顔には出してない(つもり)です。
セッティング
マスターの「いつものバランスにしてあるよ」というありがたい計らいに感謝しつつ、準備を進めます。
お門違いにも思えるjazzのお店でオカリナ演奏をさせてもらえるばかりか、自分たち用のセッティングを記憶にとどめていただけるというのは光栄という気がします。
心とバランス調整
井手氏もたくさんの機材と楽器をセッティングし、いよいよ音出しです。音出ししながらお客さんの位置で聴けないところが切ない。
オカリナが入らない部分で後ろに行って聴いて、人に「もうちょっと音量を下げてもらいたい」と伝えるにも、ちょっと気を使います。だって喧嘩になるどころか、気にされて常に抑えようという気持ちにさせてしまうともったいないなと思うから。
NOSTALGIAのメンバーって、そんなメンバーな気がしています。自分もそうだから、とても居心地が良いんですよね。
ぬるいとか思う人もいるかもしれないけれど、ひとつの集団の中でそれで成立する関係になっているのなら、それが「自然で良好な関係」と言えると信じています。
こういうメンバーだからこそ、今のNOSTALGIAの音色ができていると思い純粋に嬉しいなと思えるんです。
今回の配置はこんな感じで、オカリナを中央に左右に伴奏ができる楽器が分かれる形となりました。広がりが出て良さそう。
音合わせや調整をしているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。もうOPENの15分前になってしまいました。
さてここからは、NCH(ナチュラルカメラマンH氏)の写真とともに見てまいります。音心のファンでいてくださり、高価なカメラで自然な写真を撮ってくださいます。ご提供ありがとうございます。
オリジナルのコンサートなので、物販コーナーも充実しています。
演奏は?
第1部はえんじろうがMC担当だったため、割りと緊張気味でした。この日も朝から喋りの流れをずっと考えつつ、トイレに行きたくなるのを繰り返していました。
構想がまとまってきて穏やかになれるのは演奏直前。ならない場合も結構ありますが、この日はまあまあ固まりました。
後で確認してみると、そういうときにはそこそこゆっくり喋っているのがわかります。本当にバレバレ。
第1部の様子
お客様が入り響きが変化しており、やっぱり1曲めってその聴こえ方に慣れるまで少し触覚を広げ続ける必要があると感じてます。
なので1曲目では演奏への集中力が後の曲と比べると最高点に行きづらい(そんな事は書かんでいいと思うのですが)ここから軌道に乗るまでの時間というのが、昔に比べるととても短くなっているのは感じます。聴こえ方に耳の再最適化を行う時間とでも行ったらいいのでしょうか?
そんな風に色々考えるのも、なんか面白いです。
第1部が終わるとかなりほっとします。それは「しゃべりからの開放」が大半。第2部はりょうこさんがしゃべってくれる手筈になっています。井手氏との掛け合いもできますし、こういうときに1人じゃない手宇野は本当に心強いですね。
そしてオカリナを持っているときには集中できます。反対の手にマイクを持っていても、オカリナがあれば大丈夫。昔っからそうですね。
第2部の様子
第2部が始まりました。最初は井手氏のアコースティックギターが響く曲から。井手氏も立って演奏していました。アコギはアンプにもつながっていますが、楽器から直接の音も出ています。マイクで底上げしているオカリナと一緒ですね。
MCの中心はりょうこさんに移り、楽しそうにしゃべるりょうこさん、ほっとするえんじろう、せっせと支度を進める井手氏という構図がありました(笑)
とはいえしゃべりが嫌いなわけではないのです。だからときどきりょうこさんのしゃべりに絡んでゆくこともありました。
多分頭の回転が遅く、言葉を紡ぎ出すまでに時間が必要で、その間の「時間的な間」が怖いと感じてしまうのでしょう。だから誰かが話していることに話し方を考えた上で絡む場合は、気が楽なんです。後出しジャンケンならやるよっていう感じ(それめちゃめちゃ自分勝手)
さて、しゃべりは気楽なのですが、今度は演奏の方で新たな試みが控えていました。自分にとって新たなことを取り入れてライブに挑むと、そのライブへの意気込みが倍増します。そうすることでそのライブを「更に大切に思う」ようになるので、結構そういうことはやります。
しかし今回のは半分冗談ぽくメンバーに見せたら「それで行こう」という感じでトントン拍子に決まってしまい、もはや後には引けない感じでの挑戦でした。自分でも面白いとは思っていたので良いのですが、本番1週間前くらいに決めたのでハラハラで、終わった後は手に汗をかいていました。
これに続くNOSTALGIAのライブでも、やるかもしれないので内容は「お楽しみ」にしておきますね。
もうご存知な方もおられるかも知れませんが、ここには大切な楽器がひとつ入っています。
今回はりょうこさんがそれをご紹介。
更に井手氏による楽器との出会いのお話も素敵でした。何だか穏やかな時間が流れます。これは井手氏のしゃべり口調とか声のトーンにも由来するのでしょうね。
お手性のプログラムに、印刷ミスしたに違いないと思い込み、お客さんに「最後の曲ってなんて書いてありますか?」なんて教えてもらう場面も。困ったやつです(そして結局ミスはしていなかったという落ち)
温かいひととき
演奏も終わり、お越し下さったお客様とお話できる時間。演奏家にとってこの時間が至福の時間のように思います。
しばらくコロナ禍でそういう時間すら奪われ、演奏聴いたらさっさと帰る。演奏者もすぐに片付けしてその場にいる接触の時間を減らすとか「ライブって何?」と言いたくなるようなことが続いていたので、なおのことその大切さを感じられます。
そしてお客様とも盛り上がった話ですが、生でしか伝わらないものって、思った以上にあるんだなあというのを痛感しています。
よくよく考えてみれば、人によってはゴールデンウィークの入り口で、その時間をこのライブに使っていただけたことに感謝します。
「心が清められて楽になった」なんて言葉もいただけました。僕らはそのご感想で、今後の演奏に対する力をいただきました。ありがとうございます。
到着したときとは打って変わって見える同じ場所の景色。人は「意識で物を見ている」と言われたら納得できます。
今回の楽器たちは少数精鋭。約100本中7本というこの日の精鋭。
なんて言いながら、またしても前日まで「誰が行くんだ」で色々あったのですが。同じキーのオカリナは時計の9時10時にある2本でした。音色の個性がまるきり違うので、曲で使い分けています。
背後の「命の釜」も登場しましたよね。
そうそう。更にカリンバも登場したのですが、そのライブ用特別調律のカリンバはお客様のもとに旅立ち第2の物生を歩むこととなりました。お買い上げ感謝いたします。
清々しい帰り道
お客様の笑顔を見送れて嬉しかった。そして我々も荷物を片付けて帰路につきました。
外にはツツジの香りが道満ちており、準備や音合わせも含めここまで3人でやってきたことを色々振り返りながらのひとときでした。
ひとつひとつのライブを大切に、15年近く活動していてもそう思い続けられていることにほっとします。成功を支えてくださるお店の皆さんに、真剣で暖かく心強いメンバーに、生きがいと力をくださるお客様に、そしてそういう人生を提示してくれたオカリナに感謝します。