人が宗教に求めるものとスピリチュアリズム
歴史と文化で宗教に求められてきたもの
宗教は人類の歴史と共に存在し、人々の生活に深く根付いています。そして時代や地域によって様々な形態を取ってきました。人は宗教に何を求めるのでしょうか。
人々が共通して宗教に求めるものは、以下の4つがあると言われます。
1. 意味と目的の探求:
人は自分自身や世界、人生の意味について理解しようとします。宗教は神話や教義、儀礼を通して宇宙や自然、人間の起源や目的について体系的な意味づけや説明を提供します。そこから人々は人生の指針や進むべき道を見つけようとします。
2. 苦難からの救済:
人は病気、死、災害等の苦難に直面し、絶望や恐怖を感じます。宗教は祈りや供養、戒律等を通して、そのような苦難を受け止め克服するための方法を示します。ここから人々は苦難を乗り越え、心の平安や希望を求めようとします。
3. 道徳と倫理の指針:
人は一定の道徳や倫理に基づいて社会生活を築きます。宗教は戒律や教義を通して社会や民族、文化風習上での善悪や倫理を提供したり、人間としてあるべき姿を方向づけようとします。
4. 共同体意識と帰属意識:
人は他者との繋がりを求め、孤独を避けようとします。宗教は儀礼や祭礼、教義活動等を通して同じ文化風習や価値観の人々を結びつけ、社会への帰属意識や共同体での居場所を生み出そうとします。
現代社会における宗教の課題
現代社会における宗教は以下のように様々な課題に直面しています。
宗教間の対立と紛争:
宗教の違いを理由とした対立や紛争が世界各地で起こっています。こうした争いは多くの犠牲者を出し、国際社会の平和と安定を脅かすものとなっています。宗教の利用:
宗教が政治的な目的やテロリズムのために利用されるケースも存在します。宗教指導者によるスキャンダル:
宗教指導者による金銭や性的虐待スキャンダル等が数多く発覚し、多くの信者が被害を被ったり失望を抱いています。違法、反社会的活動との関わり:
オウム真理教による地下鉄サリン事件をはじめ、近年では新興宗教団体による殺人、拉致、詐欺、恐喝等の違法行為や反社会的活動が後を絶ちません。このような活動は社会に大きな不安を与え、人々の生命、自由、財産を脅かす重大な問題となっています。精神的・経済的搾取:
高額な寄付や物品購入の強要、長時間労働、不当な食事・睡眠制限、さらには洗脳やマインドコントロール等によって、信者から精神的・経済的な搾取が行われることがあります。このような搾取は信者の心身に深刻な被害を与え、健全な社会生活を送ることを阻害します。二世信者問題:
幼い頃から新興宗教団体で育てられた「二世信者」は、十分な教育を受けられなかったり輸血拒否の医療制限、社会との接点が限られる等社会復帰が困難な状況に置かれることがあります。また親の信仰との葛藤や、周囲からの差別・偏見に苦しむことも多く見られます。
宗教は、人類の歴史と文化において重要な役割を果たしてきた一方で、現代社会においては様々な課題に直面しています。これらの課題に対して、宗教はどのように対応していくべきなのでしょうか。
スピリチュアリズムと宗教の位置付け
スピリチュアリズムの特徴や宗教としての位置づけを見てみます。
シルバーバーチの霊訓や思想体系、スピリチュアリズム普及会傘下の方が運営する宗教難民救済サイトを見ると、スピリチュアリズムの宗教としての位置づけや特徴は以下のようになると思います。
スピリチュアリズムについて
神や霊について:
人間は霊的存在であり霊界こそが人間の本来の居場所
人間は霊として永遠に存在し続け消滅することはない
神は摂理(自然法則)を通して世界に関わる。擬人的に行動したり特定の人間だけに特典を与えることはない
地球は全天体の霊的進化の中で下から2番目と非常に低い
いわゆる心霊現象や超能力は、霊界側にとっては霊に関心を向けるための低次元な「おもちゃ」的な位置づけ。正しい生き方や利他愛、知識と実践の方が大事
思想・定義について:
スピリチュアリズムは、霊界側で常識となっている摂理や法則を地上側が受け取れる形にし、知識や実践項目として伝えるというシンプルなもの
スピリチュアリズム運動の主役は、霊界にいるイエスをはじめとする高級霊
地上側の主導ではない。地上側は霊界の道具として働く
教祖がない。特定の人間に対する絶対服従のようなものがない
既存宗教のような布教活動がない。自発的に求めてきた人だけを対象とするので強引な勧誘や洗脳がない
霊的成長の成熟やカルマ解消が進むと、霊的本質の知識・法則に自然と関心を持つ(「時期が来た人」と呼ばれる)ようになる
生き方や実践について:
人生の実践内容として「利他愛の実践」「霊主肉従の努力」「苦しみへの正しい対処」を重視
理性や自由、動機を重んじる
理性や良心に照らして納得いかなければ自由に拒否して構わない
恐怖で支配したりロボット的な思考停止や服従では、本当の成長に繋がらない
地上界はカルマ解消や成長経験を積むための「学校」的なもの
自分が行った行為の責任はカルマとして全て自分のみで償う
先祖や家族、愛する人であっても肩代わりは一切できない。蒔いた種を刈り取る
生まれてきた環境や境遇、肉体、能力等は、人生の目的達成のために霊界で自分自身が選ぶ
自分が選んだことは生まれた時に大抵忘れてしまう
肉食を避ける
ペスコベジタリアンから乳製品を除外したもの(肉×、魚・卵・はちみつ○、乳製品×)に相当した食事推奨と思われる(※個人的推測です)
妖精と協力した農業や自然災害対応を目指す
霊界や死後について:
霊界は人の霊的成長レベルによって階層化されている
人は各自の霊的成長レベルで結びつく
生前夫婦や血縁、同じ組織でも霊界では関係は消滅する
本当の愛情関係があれば、界層は別々でも絆はなくならない
愛情を注いだペットは飼い主の死後に再び出会え、一定期間一緒に過ごせる
スピリチュアリズム普及会について
現在日本での「シルバーバーチの霊訓」シリーズの出版元
スピリチュアリズム・ブックスサイトにて書籍の無料全文公開や自費出版をしている
東京と大阪でシルバーバーチ読書会を開催
既存の宗教組織や教団というより有志によるボランティアサークルに近い
信者からのお布施や寄付等の金銭は一切取らない
スピリチュアリズム普及会メンバーの自発的な献金等で賄っている模様
本物の霊能者の見分け方として霊能力が金儲けの手段になっていたら偽物とする
イギリスのスピリチュアリズム団体やトニー・オーツセン(シルバーバーチ降霊会の実際の参加者&シルバーバーチの霊訓の編集者)と親交が深い
参考:
スピリチュアリズム普及会 > スピリチュアリズムとは > 超宗教・高次元宗教としてのスピリチュアリズム > 1.スピリチュアリズムと他の宗教との根本的違い
宗教難民救済サイト
まとめ
宗教に求められるものの観点から、スピリチュアリズムについて位置づけや特徴を取り上げてみました。
現在でも信仰の違いによる戦争や新興宗教による搾取や洗脳等、様々な問題が世界中で起こっています。また貧困や飢餓、いじめや孤立等、社会の仕組みやエゴに由来する問題が人類の歴史に長く残り続けています。
これらを抜本的に解決するにはどうしたらよいのでしょうか。
こうした問題は人間の根本に根ざすもので、一気に解決はできません。小さくとも着実に人間の心の在り方が成長進化するしかないのでしょう。
その時に利他愛やエゴの克己、困難への正しい対処が大きな武器になるに違いないと私は思います。
歩みは小さくとも理想と課題をしっかり見つめ、着実に進んで行きたいと思います。