映画『クリーピー 偽りの隣人』
映画の話。『クリーピー 偽りの隣人』という映画について。基本、レビューは褒めたい、が。クオリティが高いのは認める、が。これは。。
あらすじを一言で。サイコパスが巻き起こす、凄惨な事件の話。
こちらとしては、この手のストーリーはヒドイ話であればあるほど大好物なので。
香川照之演じる狂ったキャラに笑い、禍々しい部屋、諸々の処理方法などは、わくわくが止まんねーよ!って感じで。
「そんなドラえもんの道具みたいな凶器ねーよ!」とは思っても、面白ければなんでも良し。
光量の変化で不安煽る感じとか、細部まで巧みで。日常生活の画面だけで怖いホラー映画の感じがあって、すごく良かったんだが。
観終わった後、考えたら、もう観たくねーな、と気持ち悪くなっちゃって。
やばすぎる香川照之を全面に押し出して、実は主人公の西島秀俊がこれまたやべーヤツ、という構造なのはわかる。その点はググればいくらでも嬉々としたレビュー出てくるでしょうから、そっちに任せる。
主人公のやばさにどこらへんで気づくかを楽しむ映画、というのならまーわかるんだが。
「で?」ってとこなのだ。
そりゃ別にハッピーエンドでなくても、何の教訓が無くてもいいんだが。すげーつまんない映画でも、どんな陰映画でも、作り手の何かしらの理想や心は感じられるはずでしょうよ。
去年見た『葛城事件』だってヒドイ話だったが。救いようのない悲惨さを笑って、観てる側が「ダメだこりゃ」「なんとかできなかったもんかね」つってプラスに変換できる感じはあったし。
森田剛が殺人鬼役になってた『ヒメアノ~ル』なんかは、ラストに「違う道があったんじゃないか」ってのが確実あった。
しかしこの映画は。。「人間は救いようが無い」と言ってるだけ。
「…そうだよね」。。とか同意してたまるかこんなもん。
こんな何の光も無いものに、こんだけ役者揃えて、エネルギーを費やして、質の高い映画を作るって、一体どういう精神性なんだろうと思って。
なんか、ものすごく緻密に丁寧に書かれた呪いのノート読まされたような、そんな気分になり。
作品のタイトル通り、ただただ不気味でしかない話であった。
この厭味と悪意は、原作者じゃなく、映画監督の深層にあるものと思われ。
「おれ、この監督キライだな」となったんだが。深層を分析したくなるので、この人の他の映画も借りてしまうことになるんだろう。はー厭だ厭だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?