電動ツールとボックスの話
俺は国産工具ユーザーをやめるぞジョジョー!
というわけではないのですが。
あと、たぶん長くなります。(4,426)
現場のおっちゃん
的にマキタか日立かーという派閥はありました。 現場にいると、朝車から荷物を降ろして打ち合わせ行って帰ってくると一式盗まれてる、みたいな世界に居たので、よりパクられるマキタを避けがちにはなるんですよね。 日立という企業体が好きなこともあり、モーターの日立で日立派でした。
で、話は変わって近頃の日本電動工具メーカーさんの気概というか、開発というか、おま国的な、USマキタやmetabo(海外でのハイコーキブランドの名称)、USリョービ(日本にはもう工具リョービブランドはありませんが)など、とても魅力的な製品をたくさん出しています。 そのうち日本でも販売されるのだろう、 と思って待っていても一向にラインナップに加わる気配なし。 どういう事なのでしょうか。 もはやライセンスだけの別会社なのかー! と、長々愚痴を書いても仕方がないので、紆余曲折ありまして海外ツールメーカーに手を出す覚悟を決めたのでした。
18V機です。
今時18V? と思われる方も多いでしょうが、DeWALTなんかもハイボルトセルの20V機のラインナップを増やしてきています。 ハイコーキの36V、マキタの40Vなど、今後はこの方針ですよー買い換えるなら高電圧工具ですよーというキャンペーンにまんまと乗り散財したものですが、世はまた18Vも復権しつつあるように見えます。
実際、セルを半数直列に切り替えて倍ボルト(便宜上"倍ボルト"と表記します)機はハイパワー! とか書かれていましたがあれは全くの嘘です。 全く嘘でもないのですが、パワーを狙ったモノではありません。 実際にインパクトドライバーなどの18V機と倍ボルト機のトルクを比較しても数%程しか力は上がっていません。 Milwaukeeに至っては18V機で他社の倍ボルト機のトルクを軽く越えています。(YouTube比較チャンネル調べ) 正直、18V機でもビットやネジなどバキバキ折れるのでそれ以上のトルクが求められるシチュエーションは限られてくると思います。 ドリルドライバーなどの大径のホルソーや木工キリ、径の大きいチップソーの丸鋸など、用途はあると思いますが、ブラシレスモーターのインパクトドライバーに至っては最低回転が高く、低トルク運用が難しくなりネジ締め機としてはむしろ性能ダウンなのではと思います。
ではなぜ倍ボルトなのか、 それは発熱を抑えるられる事です。 倍ボルト機になると配線とコイルに流れる電流が半分になります。 結果、熱エネルギーに漏れる量も減り効率が上がり発熱量も下がります。 低温運用でバッテリー寿命も伸びるのです。 が、 倍ボルト機は半数のセルを直列に切り替えているので電池容量も半分になります。 実際に使って感じるのは半分まではいかないにせよ、7掛けくらい、フロアなどに65のコースなどをバリバリ打ちまくっていると、確かにアチアチになって来ることもなく機嫌よく作業は進められますが、あれ? もう止まった? って事がよくあります。 発熱回避以外の恩恵はユーザーにはほぼなく、充電回数の増加でバッテリーセーフもチャラです。むしろ劣化している部分が多い様に思う倍ボルト機、の悪口を書き散らかすのです。
12V
今回現場用メインドライバーを入れ替える前に、Milwaukeeの12V機シリーズを工房用に買っていたのでした。
この二機種がすこぶる調子よくて、パワフルなのに小さくて軽い! 少し前の18V機くらいのトルクがある。 こいつぁすごいぜ! となり増やす気マンマンだったのです。
あと実際に使ってみて、メーカーのいう発熱の低さ。 12V機で18V機の様な作業をさせるわけだけれども、連続使用や高負荷使用にも至って普通です。 こなしてしまいます。 床板に65のコースを下穴なしで500本とかそういうのはやってないけど、繊細に動くしパワーもあるので普段使いにはむしろベストマッチじゃないかと。
マックパックとシステムケースを買ってはいけないたった一つの理由。
今回、一緒にMilwaukeeのPACKOUTシリーズ収納箱も買ったのですが、デカかったです。
このケースは多彩に組み合わせて連結出来、くっつけたまま運べるので一度に沢山の工具を運べます。 ボッチワーカーにとって、現場の搬入出は死活問題なくらいに一人でやると時間がかかるものですが、台車にたくさん乗せてもマンションのエントランスで荷崩れしてひっくり返りません。
連結は重ねてスライドさせるだけ。 連結解除はハンドル奥の指を突っ込んでいるスライドを軽く押すだけ。
ただ、一つ一つが大容量なため非常に重くなるので専用のキャリーキットを買うのが吉でしょう。 次回あたりに入手したいです。
ツールボックス
の要点。 ぼくの考えでは、作業ジャンルに分けて収納し、この作業ならこの箱とこの箱。 メインツールはこの箱、 あと連結して運べる事と、バンへの収容性とアクセス。
今使っているツールボックスはハイコーキのシステムケース。 マキタのマックパック。 あとFESTOOLのシステナーGen3。
これら全てはTanos社のライセンス製品になります。 多種多様な各社のツールボックスを連結できます。 楽しいです。 ですが、Tanos社はFESTOOL社の子会社です。 FESTOOLのシステナーケースはGen3となり、三世代目の新型です。 システナーGen3は蓋のロックと連結が前面のダイヤル一つで出来ます。 マックパックとシステムケースのシステナーケース初代は前二つで蓋のロックと連結、両サイドに追加連結のラッチがそれぞれあり、合計四個の爪で連結します。 マックパックは比較的しっかりとした爪で、いや硬すぎんだろ… ってくらいの個体もあり連結ロックすると少々の事では外れたりする事はなさそう。 むしろ外すときに苦労します。 システムケースの方は四カ所の爪が非常にイージーで、たまに自動的にオープンします。 小指の先でロック開閉できます。 でも問題はそこじゃないです。
アメリカなどのマイクロバスクラスのフルサイズバンなら両サイドにこの手のツールボックスを整然と並べて真ん中を余裕でウォーク出来ますが、日本の土地事情だと整頓してもこうです。 この状態で例えば、左奥から二列目の上から三段目の箱が必要、 となるとアクセス出来るロック開閉爪はサイドの一つのみ。中腰で潜り込んでえっちらおっちらクソ重い箱のタワーを引き出し、三段目を外すべく上と下の系8個の爪を解除し、上二段をどけて、三段目を引き出し、上二段をまた乗せて、爪四つをロックして列に戻す。 これが大変で、出した箱が類似の別の奴だった、となるともう。
そこにきてシステナーGen3ですよ。 前面の一つのダイヤルだけで、連結、解除、繋げたまま蓋の開閉まで出来ます。(初代は左右のロックが引っかかって出来なかったし、ロックを外すと蓋から箱が滑り落ちていく)
都合により横向きに並べているのでタワーを引き出すかずらして手を入れる隙間を作らなければなりませんが、手を入れる隙間を作れば脱着出来るのです。 これはすばらしい。
前置きが長くなりました。
そこで箱を追加するならもちろんTanos社かFESTOOL社のシステナーGen3、となるわけですがこの会社、輸出制限をかけていまして、アメリカヨーロッパ系の工具屋ネットワークからは日本に輸出出来ませんなのです。 日本に一応正規代理店だと言い張ってる会社はありますが定価売りが出来ていなくて、どう考えても関税と移送費と儲け乗ってますやん、という8割増しくらいの価格。 その他諸々販売店は定価の三倍~五倍の値段。 このFESTOOLケースと同システムに収まってるHEPA集塵機を一緒に訳の分からないルートで引っ張って、かろうじて正規代理店より安い、くらいの大変さなので、もっと入手性のいいもので組みたい、と思うのは人ならば、です。
結局何
が言いたいのかというと、日本企業もっと頑張れ、です。 インターネットをソシャゲと競馬とお姉ちゃんにまとわりつくLINE程度にしか使わない職人さんたちは無敵の無料ツールボックス、スーパーのカゴですが、ガシャァと全てぶち込み、積み重ね、機材など傷つき壊れ、磨耗していきます。 いわゆる大工さん、や設備屋さんなどはそれでいいと思いますが、ウチのような作り付け系ファニチャーがやりたいけど結局はカーペンターもどきの何でも屋さんだと尋常じゃない道具の数になり、スーパーのカゴが五つも六つもあっても収まらず、無限に重く整頓が出来ず、カゴの中で投光器は割れ木工ボンドは全てを優しく包み圧縮された墨汁は見るも無惨様。 そんな状態から救い上げてくれるツールボックスが日本企業から出て欲しい。 関税も輸入費用もかからず。
こういう各社が繋がるようなアイデアもパテント買うんじゃなくて、日本のアレすげー! ってYouTubeのサムネを埋めて欲しいです。
Milwaukee
のPACKOUTは後発だけあって、システナーGen3を究極にパワーアップさせたような製品。 種類の豊富さから自由な組み合わせ、各業態に対応する製品、自社ツールの完璧な収まりなど本当に現場のおっちゃん目線で開発しているな… と思わざるを得ない作りになっているわけです。 欠点は赤くてデカい事。
システナーGen3は本当にちょうどいいサイズなんだけど、パックアウトは二周り位デカい。 でも今まで5~8箱搬入していた道具を3箱くらいにまとめられるかもしれないし、そうでもないような気がしている。 一つの箱に色々入れると便利だけど、今回は使わないツールもたくさん連れて行くことになったり、その分重くなったりしがちだ。 ゲッターロボの様に、用途に合わせてドッキングし強さが増すような、そんなシステムにしていきたい。 そんな軽い気持ちでポチったのでした。