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それからの🛞TPUチューブ

 練習車にTPUチューブの運用をはじめてからかれこれ半年くらいたったろうか。 そんな気がしていたけどまだ3ヵ月も経ってはいなかった。

 世間では色々賛否あるようだけど、ぼくは概ね好印象のままである。
 装着後レビューで書いた印象は変わることなく、軽く柔らかい。 ロードバイク等のレビューを見ているとTPUチューブは硬くて乗り心地が悪いとよく書かれている気がするけれど、元々エアボリュームが多いからかBMXにはとても向いているのではないかと思う。
 自分も運用しつつ世のネガティブレビューを主に、ポジティブなレビューも見て回ると好印象要点にはやはり軽いこと、ヒルクライムバイクなんかには最適だそうで、あとやはりチューブレスレディより扱いがラクなことと導入コストの安さ(ブチルチューブ<TPUチューブ<チューブレスレディ化ホイールとタイヤ)がよく言われている。
 慣れ親しんだブチルチューブとおおよそ同じ扱いが出来そうなTPUチューブの扱いがラクというのはもっとも。 対パンク耐性もブチルチューブより割と高いらしいし、小さな穴だとチューブレスのようにエア漏れの速度がまろやかで気が付いても空気を入れ直してサービスまでたどり着けるかもしれない…! くらいにはまろやか。 実際には厳しいかもしれないし、一晩かけてぺしゃんこになるような穴の空き方をよくする。 じつはこれが厄介なのだけどそれは後述するとして、次はネガティブレビュー。
 タイヤ交換がしにくい、幅の細いタイヤへの組み直しがおおよそ不可能、パンク修理が難しい、バルブのトラブルが多い、タイヤ交換時にタイヤレバーで噛みやすい等々…
 ネガティブレビューは一見してたくさん見つかるけどおそらくそれは扱いが慣れたブチルチューブと似ていることに起因するのだと思う。
 これはTPUチューブであり、ブチルチューブとは違う。 全く違う品物なのだ、よって全く新しく取り扱いを学ばねばならない事を意識していれば、おそらく初めて自分で組むチューブレスレディと大差ないのではないかとおもう。 とはいえ自分なりの扱い方を拾得するまでに初代TPUチューブはフルボッコになったわけ。 その体験から感想を書いてみようと思う。

リヤのチューブ、3ヶ月でパッチが四つ。 フロントにもいくつかある。

 タイヤ交換がしにくい事について

タイヤ交換はたしかにし難い、というかとても滑るのでブチルチューブのようにタイヤの中に収まっていなく、うなぎのようにヌルヌルと滑り出てくるのだ。
 特に新品のチューブは大変で、一度組み込んで加圧し走ったチューブはそれなりにタイヤホイールに馴染んだ形になるのだけれど、新品は二割ほど小さい。
 組み込み時のチューブへの与圧がキーなんじゃないかなと思うのは、空気が多すぎても少なすぎてもダメで少ないとリムとビードに挟まってしまうし、多いとウナギ化する。 ギリギリ皺にならないくらいでいて、それでいてハリのない感じ。 まあそれでもやらかすときはやらかすし、慣れるしかない。
 バルブの部分から追い込んで脱腸チューブを押し込みながらビードを押し込んでいく。 なるべくタイヤレバーは使わない方向で、というかBMXのタイヤは手で組めてしまうのでレバーは使わない。 それでもレバー噛み穴には苦労している。 いつ? なんで? って穴が再現性なくあく。 しかも前途したスローパンクの特性がかここでは本当に困りモノで、完璧に組めた(と思った)タイヤが翌朝にはぺしゃんこになっていて気分もぺしゃんこになる。 オーバーナイトパンクは本当に穴が見つけにくくエア漏れ確認剤(エアコン配管の専用のモノや石鹸水など)か、水桶がないとかなり発見は手こずる。
 とはいえそれはブチルチューブでも起き得る事だ。
       そして流れから、

  パンク修理が難しい 

 パンク修理が難しいというか、未知の代物である。 幸いにもぼくは参入が遅かったので黎明期のシールタイプパッチは扱っていない。 シールタイプパッチは穴の空いた部分を付属のアルコール染布で脱脂し、ペタリと貼り付けるというものらしい。 とても簡単。 が、一週間ほどでまた空気が抜けてしまうトラブルが多いらしくまあそらあシールの粘着面であの気圧を押さえ続けるのは無理があると思う。 古い目のTPUチューブレビューではパンク修理パッチは応急処置で、穴の空いたチューブは寿命とし新しい物を使うべき、と書いているブログを沢山見た。 そう、シールタイプなら。
 いまぼくが使っている補修キットは補修パッチとセメントとアルコール布がセットになったもの。 これは使えると思う。
 補修パッチは何のことはない、丸く切り抜いたTPUチューブそのもので、それってセメントさえあれば古い破棄するTPUチューブがあればもう補修キットは買わなくていいっていうことなのでは? と思う。 
 セメントの方はというと、塩ビ管接着剤のような、タミヤセメントのような香りがする。 とはいえ基材がガチガチになるような接着剤は向いてないだろうと思うし、ブチルチューブ用のセメントの様にお徳用で単品販売してほしいものである。
 パンク修理方法としては、説明書によると

 ー接着面をアルコール布で拭き脱脂とクリーニングを行う。
 専用のセメントを満遍なく塗り広げ、1分乾かす
 補修パッチを押し当て、1分圧着するー

 たしかそんなような記述だった気がする。
 気がするというのは既にそのやり方をしていないからで、初めてのTPUチューブパッチ修理は初めてTPUチューブを組み込んだときにタイヤレバーで噛んだ物による穴で我ながら情けないミスだと思いつつもパンク修理キットを注文し、実際にやったら全くくっつかなかった。 翻訳の粗かもしれない。 まったくそんな感じがしないけどダブルコンタクトなのか? と、接着面と補修パッチの両方にセメントを塗り、1分乾かしてから圧着してみたけど全くくっつく気配すらない。 アルコール布の拭き取りが足りないのかとかいろいろやってみた結果、セメントを多い目に塗ったくり即、パッチを押し当てセメントをはみ出させながら1分圧着する。 この方法で失敗はなく、もうこれでいいやん。 ってなった。
 この方法を採用するとパンク修理自体はブチルチューブのそれよりかなりラクで、フエキ糊で紙を貼り付ける行為と大差ない。 圧着が面倒なので大きめのクリップなどがあるといいかもしれないけどギザギザではなくフラットな面を持ち、なおセメントで溶けない樹脂のなにかがあるといいなあと思う。

とりあえずクランプで挟んでみる。

 つまりパンク修理においては、今の補修キットとこのやり方ならブチルチューブのそれよりかなりラクで確実だということだと思う。 おおよそのTPUチューブのパンク修理は恒久的ではなく、漏れが起こりやすいというのは黎明期のシールタイプパッチの話だと思う。 その噂だけが前後事実をスルーして独り歩きしているのではないのかな。 と。 
 TPUチューブ補修キットには接着後20分安直し、などと書いてある物もあるようだけどぼくは気にせず組んで加圧してしまう。 エア圧でさらに圧着することと、伸びによる歪みが少しでもマシになるのかななんて。 縁が接着不良でペロペロしていても結果的にこれでくっつく。 実際にこのやり方でトラブルは起きていないし、実績は6回ある。 3ヶ月で6箇所は多いようにも思うけれど、その分得難い経験を積んだと思えば安いものだ。 TPUチューブは全然使える、という手応えになっていく。 エアが次第に抜けていく、という噂もパンク修理に失敗していなければ3ヶ月、乗りっぱなしでバニホもロールバックも余裕で耐えたという実績を返すことが出来る。 もし漏れるとすれば施工者のミスである場合がとても多い。

 幅の細いタイヤへの組み直しがおおよそ不可能

 
は、 これは仕方ないと思う。 使っていたタイヤの形に最適化されてしまうのでエアを抜いてもブチルチューブのようには縮まないので弛んだ状態での運用になってしまう。 逆に幅の太いタイヤへの組み直しは可能、ということでもあるが、その事がこの問題をチャラにするほどの利点ではない。 が、 そもそもそんなにタイヤの幅をコロコロ替えるか? という事に尽きる。 ぼくを含む大抵のサンデーライダーは自転車に装備した一張羅のホイールセットに組まれたタイヤでほぼすべてのステージを闘い抜いてしまうだろう。 ロードバイクにおいて、もしグラベルやら路面やらでタイヤを組み替える程の猛者ならば恐らくはその数ホイールセットを所有していると思う。 適性、という意味では低圧運用が効果的なMTBやトライアル車においてはチューブレスレディの方が有利だろう。 リム打ち、微細なパンクのカーニバルにおいてシーラントは絶大な効果を発揮するだろうし、そのエアの抜けにくさからステージを駆け抜けきるまでの支えになるだろう。 しかしながら、ロードバイクやBMXはそこまでガレた路面を走ることを想定していない。 ロードバイクにおいてはダウンヒルとヒルクライム、スプリントにシクロクロス的なステージをすべて一台でこなす人は見たことがない。 なんならフレームから別物だ。
 BMXもストリート、レース、フラット、ダートなんかでフレームから違うし、ストリート車でダートに入るからといってタイヤを組み替えたりはしない。 
 つまり何がいいたいかというと、TPUチューブが幅の狭いタイヤへの組み替えが不可能という欠点はただの杞憂だということに他ならない。 行いもしないことを心配しても何も起きはしない。

 タイヤ交換時にタイヤレバーで噛みやすい

 
は、前途したけど確かに一番困っている。
 組み付けに関しては、タイヤレバー無しで大丈夫なので噛みようがないのだけど、外すときはやはり欲しい。 でも外すときのほうがエアが抜けきらない状態でタイヤレバーをつっこんでグリグリするので噛みやすい条件が揃っているのでは、と思う。 噂に聞くタイヤグライダーとかいうやつを試してみるべきなのかな。 他にも何か噛まないレバーはあるのかもしれない。 この問題さえ解決できれば万人にお勧めできる、と思うほどによいチューブだし、よく噛む。 噛んだキズは翌朝ペッタンコのスローパンクになりがちで、さらに発見が難しい。 TPUチューブは耐パンク能が高いせいか、モノ拾いでパンクするとはっきりとタイヤのトレッドに何か異常があるので場所の特定には苦労しない。 

今回このエントリを起こすキッカケになったパンク

 この課題が解決になりそうならまた報告をしようとおもう。 または知っている人がいたら共有してほしいと思う。

 バルブのトラブルが多い 

は、まだバルブトラブルに遭遇していないので判らないとしか言いようがない。 初期のレバー噛み込みスローパンクも原因が判らずバルブやバルブコアを疑ったが最終的に水桶に漬けると自分のミスであることを確認した。 個体差なんかもあるのかもしれない。 バルブボディがプラスチックなので折る事がある、というのも見かけるけどそれは整備者の問題だし、そうじゃない、意気地のないバルブボディが悪いんだを譲らない人は軽量を捨ててメタルのバルブボディのチューブか、ブチルチューブに帰ればいいとおもう。 個の判断において選択した事柄を万人は尊重するべきだと思うし、何も押し付けられてはならないと考えている。 押し付けるのはパンク修理パッチだけにしておいてほしい。

 ここまでたかがチューブで4600文字も書くことになるとは思わなかったけれど、総評として今の所ぼくはTPUチューブはアリ、である。 この値段でここまでの軽量化は捨てがたく、前途のメンテ性から最適と言えると思う。 世に出回っているネガティブレビューの過半数は慣れ、修得、理解で乗り越えられるものであり、もしTPUチューブ全盛の世界に新たにブチルチューブが誕生したなら、初めて扱う品物にダメ出しが行われたのではないかと思う。 (それでもブチルチューブのほうか扱いやすい事は理解しているが)

 ところで今回突然TPUチューブの話を書きたくなった発端は、久し振りに金属片を拾ってパンクし、補修したからであるが、これだけ偉そうにTPUチューブを語っておきながらやはり噛み込みと別途、謎の穴で合計三カ所もパッチを増やすことになったのもある。 情報を発布して共有し、より扱いやすくなればという目論見が含まれている。

自転車部のごとくケーシングが顔を覗かせるまで使う気でいたが

 パンクを機にニュータイヤに履き替えた。 BMXストリートやパークでは定番のMAXXIS GRIFTER2.3"だ。

 タンサイドからブラックに換えて、色が減って締まった感じがある。 いいねぇ。

これでまた具合が変わるかも? わからないが。

 ここまでタイヤ交換やパンク修理はショップにお任せというニキたちにはまるで関係のない話だったけれど、子ネジ一本に至るまで愛したいという人には何か役に立ったのではないかと思いつつ5,500文字を目前に閉じようと思う。
 買って放置されている中華のRideNow♂チューブも試してみたいが腰が重い。 自己総務課も納得したので予備もほしい。

タンもすき
バルブ位置にメーカーロゴを持ってくるか指定空気圧表示を持ってくるかでよく悩む。
走るとギュムギュムいう。 ニュータイヤいいね。

 ご安全に。

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