エニグロ十年一昔 解説記事
本記事は11/19~11/23にTwitterで開催された企画「エニグロ十年一昔」の解説になります。
本記事には企画のネタバレが多分に含まれます。
本編は現在でも後追いが可能ですので、先に解きたいという方はそちらを先に参照してください。
ヒント記事はこちらです。
また、この企画に参加して面白いと思ってくださった方や制作の裏側が知りたいという方は、こちらの制作後記も購入していただけると幸いです。
ENEMY-ROID事件に関する解説
①イントロダクション
本企画は現実世界のENIG-ROIDが敵対組織に突然乗っ取られ、それを皆さんに解決してもらう、という形式のものでした。
そのため、「ここから遊べます!」というような形では入り口が明示されていません。
この謎解きに参加してもらう方法は2種類ありました。
1つは11/19~20にかけて出題していた一枚謎の正誤確認用LINEアカウント「エニグロ十年一昔」に届いたタイムパトロールからの通知を受け取る方法です。
ただし、この通知は11/21の朝に1度飛ばしただけなので、ENEMY-ROID登場よりも先にアカウントを友だち登録していた人にしか届いていません。
もうひとつの方法は、ENEMY-ROIDのツイートを受けてENEMY-ROIDを倒すためにこのアカウントを能動的に登録する方法です。
ENEMY-ROIDはこのようなツイートを行っていました。
これは「ENEMY-ROIDの計画を頓挫させたければこのLINEアカウントを見ろ」と言っているようなもんです。
ここで初めてアカウントを友だち登録すると、先に届いていた通知と同様の文言が表示されます。
さて、どちらの方法であれ、LINEアカウントにタイムパトロールが割り込んできます。
話を聴くとENEMY-ROIDについていくつかの情報が分かります。
・ENIG-ROIDにはかつてENEMY-ROIDという敵対組織がいた。
・ENEMY-ROIDは2013年に消滅した。
・しかし、何者かが2021年11月21日にタイムトラベルを行ったことでENEMY-ROIDが復活した。
・それに伴いENIG-ROIDが消滅した。
・2021年11月23日の19:00までに手を打たなければENIG-ROIDは消滅したままになり、代わりにENEMY-ROIDが支配した世界に完全に切り替わる。
では、これを防ぐためにはどうすればいいのか。
このようなタイムトラベルの話では自分たちも過去に向かい修正するというのが定番ですが、話を進めるとそれは不可能だということが分かります。
その代わり、タイムパトロールと協力すると、2012年時点に存在する人とLINEで連絡を取ることができることが分かります。
しかし、そのためには当時の人の「本名」が必要だと伝えられます。
逆に言うと、本名さえ得られれば当時のENIG-ROID関係者であろうがENEMY-ROID関係者であろうが構わずLINEを送り付けられるようです。
そしてまず、タイムパトロールからENIG-ROID関係者である枝尼黒太郎のLINEアカウントを渡されます。
2012年時点、ENEMY-ROIDによって壊滅させられる前のENIG-ROIDの関係者です。
②枝尼黒太郎登場~パスワード謎
枝尼黒太郎と会話すると、ENEMY-ROIDのホームページの存在を知らされます。
(タイムパトロールが「このようにして会話できる相手やそこから得られる情報はすべて『2012年時点』のもの」と言っていたように、このホームページも2012年時点のままです。)
しかし、このホームページの入り口には暗号によるパスワードがかけられていて、枝尼黒太郎は閲覧することができないと嘆いています。
ホームページにアクセスし、謎を実際に見てみましょう。
説明文いわく「超マイナー妖怪が登場するのでそう簡単には解けない」謎のようです。
一反木綿、ぬりかべはポピュラーであるためすぐに分かりますが、どうやら右端が超マイナー妖怪であり、枝尼黒太郎はこの妖怪の名前が分からず困っていたようです。
しかし、この「超マイナー」という指標はあくまで2012年時点でのものです。
この妖怪は2020年ごろから一気に有名になった「アマビエ」そのものであり、2021年現在であれば多くの人が知っているものでしょう。
ご存じなかったとしても「人魚みたいな妖怪」などのワードで検索するとすぐにヒットします。
というわけで文字を埋め、出てきた答え「エイリアン」を入力するとページが遷移します。
③ホームページに侵入~露絃恵音美
ENEMY-ROIDのホームページが見られるようになりました。
「活動記録」「メンバー一覧」のページが存在し、そのなかには様々な情報が並べられています。
メンバー一覧の中に、このような記述があります。
露絃 恵音美(ろいど えねみ)
ENEMY-ROIDの広報担当にして良心であり、外部の人間とまともに会話できる数少ない人間。
いかにも団体名が由来のような名前をしているが、なんと本名である。
メンバーのほとんどはハンドルネーム(活動名)で掲載されていますが、この露絃恵音美のみ本名で掲載されているようです。
本名が分かったのでタイムパトロールに伝えると、露絃恵音美のLINEアカウントを紹介されます。
しかし、話しかけても「?」と返されるだけで、いつまでたっても会話が始まりません。
もう一度ホームページに戻ってみると、活動記録のページにこんな記述があります。
弊団体は団員同士が連絡を取り合う際、合言葉を利用してお互いが団員本人であることを確認しています。
最近使うようになったメッセージアプリでも同様で、新しく友達を追加する際には合言葉の確認からスタートします。
この「最近使うようになったメッセージアプリ」は2011年サービス開始のLINEのことでしょう。
つまりLINEで露絃恵音美さんと会話し、ENEMY-ROIDの情報を聞き出すにはこの合言葉を入手する必要があるわけです。
では、その合言葉はどこで入手できたのか。
メンバー一覧のページにこのような記述がありました。
黒の酢(くろのす)
普段は物理学を研究しているが、とにかくタイムマシンの開発に躍起になっており同僚たちからは相手にされていないらしい。
ENEMY-ROIDの代表と非常に仲が良い。あらゆる場面で合言葉を使いたがるなど団体愛が強い。
一方、SNSで人を煽りたがる癖があるので少し厄介。
まとめると、タイムマシンを開発していて、合言葉を連発しがちでSNSのマナーが悪い「黒の酢」というメンバーがENEMY-ROIDにはいるようです。
ここから、2021年11月21日にタイムトラベルを成功させたのはこの黒の酢であると推測できます。
つまり、黒の酢はあなたが存在する2021年でも元気に活動しているということです。
そして、この2021年11月にはENIG-ROIDが十周年記念企画をTwitter上で開催していました。
自分たちの団体がかつて憎んでいたENIG-ROIDが十周年を祝っているのを目撃した時、SNSで人を煽りたがる癖のある黒の酢はどのような行動をとるでしょうか?
もちろん、リプライや引用ツイートで何かしらの反応をしているはずです。
そこで期間中のENIG-ROIDのツイートを遡って調べると、元ENEMY-ROIDを自称する「クロノス」というアカウントからリプライが来ていました。
このクロノスのツイートをたどると、どうやら11月21日に何かを成功させている様子。
黒の酢本人であり、タイムトラベルを成功させたその人とみて間違いないでしょう。
そして、彼のツイートには全て「チクショー」という文字列が含まれています。
別に悔しいことでもないツイートにすら「チクショー」とつけているあたり、完全に口癖なのでしょう。
この癖がメンバー紹介ページの「あらゆる場面で合言葉を使いたがるなど団体愛が強い」の部分と一致します。
すなわち、この口癖が合言葉なのでしょう。
露絃恵音美に対して「チクショー」と送信するとやっと会話が始まります。
④幹部ページ
露絃恵音美との会話を進めていくと、ENEMY-ROIDのホームページの中には幹部専用のページがあることを知らされます。
そこに何か重要な情報があるとのこと。
露絃恵音美は幹部ではないため、そこへのたどり着き方は知らないようです。
しかし「幹部たるもの鍵は叩いてぶっ壊せ」という標語のようなものが幹部たちの間に存在していることを教えてくれます。
これを幹部ページへのたどり着き方だと解釈し、もう一度ホームページを見てみると、ENEMY-ROIDのロゴの中に鍵のマークがあることに気付きます。
これを「叩いてぶっ壊せ」ばいいのですから、連打してみましょう。
10回クリックするとページが遷移します。
すると、最初にホームページにたどり着いた時と同様のパスワード謎が出現します。
これも「2012年時点では」超難問の謎解きですが、2021年のあなたにとってはただの検索謎です。
「令」「和」という表出と作者の古典好きから、これは元号「令和」を決める際の出典となった万葉集の原文がテーマの謎だと分かります。
Wikipediaなどでこれを調べると、丸数字が月→日→時→分→?という風に埋まることが分かります。
なので答えはハテナにはいる「秒」です。
さて、幹部専用ページに入ると、そこにはENEMY-ROIDの設立の経緯が代表からの言葉として記されていました。
内容をざっくりまとめると、ENIG-ROIDと仲たがいしていた代表が暴言を書かれた手紙を渡されたため決裂した、というものです。
その手紙をENEMY-ROIDたちは「トリガー」と呼んでいます。
内容は以下のようなものでした。
しね。
面白くて見どころのあるやつだ
と思っていたよ。お前なんか
いらない。友達は大切だ、
そういう建前は必要か?
一度壊れた関係はもう戻せない。
お前は大事な仲間なんだ。
そんなことは二度と言わない。
上手くやっていける気がしない。
一時はどうなるかと思ったよ。
お前がENIG-ROIDを辞めると聞いて
ほっとした。本当に安心したよ。
また、その下にはENEMY-ROIDの代表の連絡先が書いてあります。
ここからLINEで友達登録し、「チクショー」と話しかけると会話がスタートしますが、その前にこのトリガーの真実を暴く必要があります。
⑤問題解決編
ここからは複数の情報を繋ぎ合わせてひとつの真実にたどり着く、という流れであるため、各情報を得る順番は色々存在します。
以下の解説はあくまで一例としてお読みください。
さて、あなたの目的はENEMY-ROIDによってENIG-ROIDが消されることを防ぐことでした。
ホームページには
このENIG-ROIDを潰すための計画が現在も進行中である。
早ければ来年頃には実行に移すことができるだろう。
だが、決してこの計画は諸刃の剣だ。
もしENIG-ROIDにこの計画が知れてしまったならば、逆に我々が潰されることになるだろう。
くれぐれも気を付けることだ。
というような内容が書いてあります。
この「来年頃」というのは2013年に該当し、正史でのENEMY-ROID消滅・改変後世界でのENIG-ROID消滅の年にあたります。
どうやら正史ではこの計画が露呈したことでENEMY-ROIDが消滅する羽目になるようです。
改変後の世界ではそこに未来から来たクロノスが介入し、この計画を成功させたのでしょう。
この計画を先にENIG-ROIDに知らせることができれば正史に戻せるのかもしれませんが、残念ながら計画の詳細はどこにも書いていません。
ENEMY-ROIDのメンバーから聞き出すこともできないようです。
よって、この計画に働きかけて歴史を修正するというのは不可能です。
では、他にENIG-ROID消滅を防ぐ手立てはないでしょうか?
もう一度、幹部専用ページの「トリガー」を見てみましょう。
冒頭の「しね。」がひらがなになっている不自然さなどから何かあると推測し、文章をにらみつけると、下から1行ずつ読んでも意味の通る文章になっているということが分かります。
つまり、
ほっとした。本当に安心したよ。
お前がENIG-ROIDを辞めると聞いて
一時はどうなるかと思ったよ。
上手くやっていける気がしない。
そんなことは二度と言わない。
お前は大事な仲間なんだ。
一度壊れた関係はもう戻せない。
そういう建前は必要か?
いらない。友達は大切だ、
と思っていたよ。お前なんか
面白くて見どころのあるやつだ
しね。
という、一度すれちがった仲間を再び呼び戻すような文章に変化します。
これが本来ENIG-ROIDが代表に対して伝えたかった内容だったのではないでしょうか?
些細なことでENIG-ROIDと代表たちが喧嘩になったが、ENIG-ROID側が仲直りを申し出た。
しかし、代表たちが手紙を誤読して侮辱的な内容だと捉えてしまったため決裂。
ENEMY-ROIDが誕生した。
こう考えれば辻褄が合います。
では、なぜそのような誤読が起こったのでしょうか。
もう一度メンバー一覧のページを見てみると、こんな記述がありました。
800(はちへくと)
モンゴルの民族文化をこよなく愛しており、モンゴル文字だけで構成された謎を出題してメンバーを困らせたこともある。
他にもモンゴルでの常識が当然であるかのようにふるまうせいでメンバーを混乱させることがよくある。
また、活動紹介ページにはこのようなことも書かれています。
800はモンゴルの言葉についての講習を行ってくれました。
モンゴルで話されている言語はモンゴル語ですが、その表記法にはモンゴル文字やラテン文字、キリル文字など様々なものが存在します。
縦書きでありながらも左から書くのが特徴のモンゴル文字はかなり個性的な見た目をしており、800以外は当然誰も読むことができません。
ラテン文字やキリル文字が使われるようになった背景には様々な歴史的・民族的な事情が存在します。
現在はモンゴル人でもモンゴル文字を使いこなせる人はほとんどおらず、800はこのことに非常に強い危機感を覚えているようでした。
800というメンバーがおり、彼は時折モンゴルでの常識が当然であるかのようにふるまって周囲を混乱させることがある。
また、モンゴル文字は縦書きでありながらも左から書く。
そして800はモンゴル文字が好き。
このことと先ほどのトリガーの推論を合わせると、あるひとつの推測が立ちます。
800が縦書きの手紙を受け取り、モンゴル文字と同じように左から読んだ。
当然ENIG-ROIDからの手紙は右から書かれているため、代表たちは逆順にした内容を聞かされることになった。
結果としてENIG-ROIDのそもそもの意図に反し、侮辱的な内容として伝わってしまった……
これが「トリガー」をめぐる一連の騒動の真実なのではないでしょうか。
そして、もしこの誤解を解くことができたならば、ENEMY-ROIDがENIG-ROIDと決別する必要もなかったということになります。
ならば一刻も早くこのことを代表に伝えましょう。
先ほどの連絡先から代表との会話を進めていきます。
途中で3択の選択肢が表示されたり入力を求められたりしますが、先ほどの推測の通りに選んでいけばOKです。
具体的には、「それは勘違いだ」を選択→「トリガー」と入力→「縦書き」を選択→「手紙を読む方向」を選択→「800」と入力して、あとは道なりに進めばOKです。
設定上クリアツイートは存在しませんが、クリア者用のフォームが表示されれば終了です。
小謎解説
ここでは、11/19~11/20にTwitter上で出題された小謎の解説をしていきます。
2021(魔王軍)
まず画像の上半分を見ると、「はかい」の勇者と「みかい」の勇者が「はみがき」というアイテムで機械に変化してしまったようです。
ここから「はみがき」によって名前の「は」「み」が「き」に変化してしまったことが分かります。
次に下半分を見ると、「やぼう」の勇者と「きぼう」の勇者を葬り去るためのアイテムが答えになることが分かります。
つまり、「やぼう」「きぼう」を「しぼう(死亡)」に変えるアイテムなので、答えは「やきがし(焼き菓子)」です。
2020(ENIGMA QUINTET)
「QUINTET」を通る矢印が数字の「5」を指していることから、数字nを指す矢印が通る英単語がn重奏を意味する単語になっていると推測できます。
これをもとに他を埋めていくと「DUO(2)」「TRIO(3)」「QUARTET(4)」が当てはまります。
丸数字を拾って答えは「ROAD」です。
2019(三次試験)
まずは普通に問一を解き、マークシートを埋めます。
次に問二の問題に答えようとします。
マークシートが5×10であること、問一の3問目が①③⑤の3択であることなどから五十音表と対応していることを見抜き、問二の問題文の「少ない順に拾って埋めよ」をもとに、漢字の画数の小さい順に五十音表からカナを拾います。
指示通りやると「だいがくにゅうし」と出てきます。
これが答えです。
2018(エセマジシャン)
画像の中にあるイラストの名前に長音(ー)を入れたものが真ん中に書かれています。
すなわち、「いと」→「イート」、「かど」→「カード」、「つる」→「ツール」、「なす」→「ナース」です。
残った「はと」を伸ばして「ハート」が答えかと思いきや、これは正解と判定してもらえません。
よく見ると、画像の背景が「まく(幕)」のイラストでした。
よってこれも伸ばして「マーク」、先ほどの「ハート」と合わせて答えは「ハートマーク」になります。
2017(???)
ENIG-ROIDのホームページなどから探すと、これは「銭湯からの脱出」のビジュアルであることが分かります。
よって右の問題文と選択肢は
次のうち銭湯で普通最後にするのはどれ?
・銭を払う
・湯に入る
・脱ぐ
となります。
(色が反転してる④は「出」の対義語の「入」になります。)
よって、「湯に入る」が正解です。
2016(モモタロクエスト)
赤枠の文字と青枠の文字を上下で比べると「いぬ→うに」「とり→なら」と変化していることから、五十音順で1文字目を1つ下に、2文字目を1つ上にするという法則で変化している事が分かります。
この時「ももたろう」は「やめたろう」に変化します。
この法則に従うと「さる→しり」となるため答えは「しり」です。
2015(???)
赤・緑・青・黄のピースがそれぞれ「王・ノ・フ・ロ」の文字と対応しています。
ピースの位置関係や向きに注意しながら当てはめると、2行目は「王国……KINGDOM」ということになります。
同様に一番下の行も当てはめると「カラフル」となるので、答えは「COLORFUL」です。
2014(???)
「1582年」のヒント、戦いなどを連想させるイラストからこれが本能寺の変を示していることが分かります。
本能寺の変やその後の山崎の戦いに関連することわざに「洞ヶ峠(ほらがとうげ)を決め込む」「天王山(てんのうざん)の戦い」があります。
よって答えは「本能寺」です。
ENIG-ROIDは2014年に「本能寺からの脱出」をやっていました。
2013(新興宗教)
1行目の2つの丸の模様を左の①②に順に当てはめると、ひらがなの「ぬ」になります(向きは気にしません)。
同様のことを3行目の模様でも行うとそれぞれ「ゆ」「め」となり、答えは「ゆめ」です。