映画『そらのレストラン』で命と向き合った
楽しみにしていた映画『そらのレストラン』を見てから、一週間が経った。
すごく感動して、帰り道に寄ったマクドで感想を書き始めたものの、ストーリーを思い出したら涙が止まらなくなって中断。
書きかけの文章は削除してまた一から書いてみます。
三部作の中でいちばん好きな映画になった!
数年前『しあわせのパン』という映画の公開前に原作を読んだのが最初の出会い。好きな俳優さん(大泉洋さん)が主演ということもあって、『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』とシリーズのどちらも劇場で見た。
パンやワイン造りを通して人とのつながりの大切さ、生きることへの希望を北海道の雄大な自然を背景にやさしいタッチで描かれている。じわじわと心が温まって、ときどき胸がキュッとなって、どちらも大好きな作品だ。
そして、今作『そらのレストラン』。
私はこの作品がいちばん心に響いて3部作の中のナンバー1になった。
命の尊さをこれでもかと見せつけられた
今作では「命の尊さ」「生きることへの感謝」があの手この手で何度も何度も描かれている。
【自分の育てた羊を食べられるか?】
東京から移住したばかりの若者はいつまで経っても自分の働く牧羊場で飼育していた『ラム肉』を直視することができなかった。その彼を変えたのは「これがお前の仕事だ」「人間は動物の命をいただいて生かされている」
という仲間たちの言葉。
彼が東京でずっと暮らしていたら、牧羊の仕事に就いていなかったら、「羊の肉を食べるなんて…」という考えに至っただろうか?
私がもし牧場を見学した後ラム肉のステーキを前にしたら、いつも通り美味しく食べられるだろうか?
「命の尊さ」「すべての命はリレーのように引き継がれていく」ということを、彼を通して見せつけられた。まだ映画の序盤のシーンだったのに、ここからずっと涙が止まらなかった。
さらに、彼が意を決してお肉を食べたのを境に、仕事への取り組み方も仲間たちとの付き合い方もぐっと前向きになったのが印象的だった。この地で生きていくことの意味をようやく見出した瞬間だったのだろう。
【大西さんの死】
大泉さん演じる主人公のチーズ造りの師匠・大西さんが亡くなったときは、代わる代わる画面に映る人みんなに感情移入してなんとも言えないつらさに。
突然の死に動揺する村の仲間たち。対して、以前から病を知っていた大西さんの妻は覚悟を決めていたかのような強さと、明るく務めていようと張りつめていたものがプツンと解かれてしまったような弱さが混ざったような表情が何度思い出しても涙があふれる。身近な人が死へ向かっているときに、私はそれを受け入れ、あんなに気丈にふるまえるだろうか。
妻として、師匠として、ご近所の仲間として・・・。
立場は違っても、それぞれに大西さんを大切に思っていたからこそ、互いの感情が爆発してしまう。それほど、大切な命だったのだ。
人を天国へ見送るのは悲しいけれど、殴り合うほど真剣に失った人を思い合える仲間がいたことは、少し羨ましくもなる。
私はこれから、命とどう向き合うのか
食べること、生きること、老いること(=成長すること)。
そこには喜びも悲しみもある。
私は美味しいものを食べるのが喜びだけれど、自ら動物を絞めて食べる強さはたぶん無い。
生きることを辞めたくなる日もあるけれど、生んでもらったことを感謝しているし、ダメ人間な私を生かしてくれているのは間違いなく家族と友達。
家で毎日過ごすようになって、両親の老いと直面している。10年先か明日かわからないけど、いつか両親のおむつを交換する日が来るのだと思う。
私に、できるのか。
私はこのまま本当に、子どもを産まない人生を進むのだろうか。
普段何気なく頭には浮かんでいるけど、そこにある喜びと悲しみを受け入れる覚悟を、少しずつ身に着けていこう。
それが、この映画を見た今の感想。