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oagefox
根暗男子ぼっち星の観察
根暗男子のぼっち星の観察
夜の街はひっそりとして、どこか空気が冷たい。賑やかなネオン街や人通りのある場所を避け、根暗男子の僕はふらりと住宅街を抜けて、いつもの公園へと向かう。頭の中での計画は明確だ。静かな場所で、できるだけ高いところから星を眺める。それだけ。それが、ぼっちの星観察における「成功」の定義だ。
季節は冬に近づき、夜空は澄み渡っている。人の気配がほとんどない公園は、僕にとっては小さな秘密基地のようなものだ。ベンチに腰掛け、ひとり空を見上げる時間は、誰にも邪魔されない僕のためだけの時間。だが、そもそも僕のような根暗男子には邪魔をしてくれる人なんていない。静寂がただ、そこにあるだけだ。
空を見上げると、冬の星座が僕に語りかけてくる。オリオン座の勇ましい姿に思わず苦笑いが漏れる。戦士のような姿をしているオリオンも、夜空では孤独に見える。僕と同じように、どこか寂しげに見えるのは、気のせいだろうか。ひとりぼっちの星座に自分を重ねていることに気づいて、少し恥ずかしくなった。
こんなふうに、夜空にいる星を眺めていると、不思議と心が落ち着く。それは、星たちが遠く離れているからかもしれない。地上にいると、他人の視線や言葉に敏感になりがちだ。でも、空の上の星たちは、そんな小さな僕の存在に何も言わない。何光年も離れた場所から、ただ淡々と輝いているだけだ。その距離感が、僕にとっては心地よいのだろう。
根暗な性格の僕にとって、ぼっちの星観察はちょっとした救いのようなものだ。誰も僕を見ていないし、僕も誰を気にする必要もない。星たちに向かって、そっと「今日も一日お疲れ様」と呟いてみると、不思議と心が軽くなる。