
往年のブログは不人気
確かに、かつてのブログは、ひとりひとりの生の声を感じられる「意見発信の場」として、そこにしかない魅力がありました。かつてのブロガーたちは、日々の思いや発見、好きなものについて自分の言葉で語り、それが同じ興味を持つ人たちとつながるきっかけとなっていました。日記風のエントリーもあれば、専門分野に深く踏み込んだ情報もあり、個人の趣味や価値観が色濃く反映されていた時代でした。しかし、そんなブログの世界も徐々に様相を変え、今では検索エンジンの上位を占めるのは、アフィリエイトを中心とした商業的なブログが大半です。
例えば、ある製品についての情報を探しているとき、検索結果の多くがアフィリエイトブログで占められていることに気づきます。それらの記事は、キーワードを中心に構成され、SEOに最適化された言葉が並んでいます。「おすすめ5選」や「メリット・デメリット」といったテンプレートに則り、同じようなフレーズや表現が目立ち、どこかのサイトを見ているような既視感がつきまといます。もちろん、そこには利便性があり、瞬時に欲しい情報を得ることができるのは事実です。しかし、そこにあるのはあくまで商品やサービスのレビューに過ぎず、発信者の本音や個性が見えにくいことが少なくありません。
こうしたアフィリエイト主流の風潮には、明確な理由があります。多くの人々が、収入を得る手段としてブログ運営に取り組むようになったからです。ブログで成功するためには、多くのアクセスを集めなければならず、SEOの知識やマーケティング戦略が必要になります。もはや単なる意見発信だけでは人を引き付けるのが難しくなり、結果として検索エンジンに適した情報を提供することが求められるのです。
さらに、SNSの普及も個人の意見発信スタイルに大きな影響を与えました。TwitterやInstagram、TikTokなど、手軽に意見を発信できるプラットフォームが増え、ブログをわざわざ立ち上げなくても、気軽に自分の思いや日常をシェアできるようになったのです。ブログには一定の長さやまとまりが求められる一方、SNSでは140文字で瞬時に言いたいことを伝えることができ、写真や動画も簡単に共有できるため、多くの人々がより短い形式での表現にシフトしていったのも当然の流れと言えるでしょう。
このようにして、かつての「個人が意見を発信するためのブログ」というスタイルは次第に廃れていきました。その代わりに生まれたのが、情報として効率化され、商業的な目的が前面に出たアフィリエイトブログです。その中で、自分の個性や主観を自由に表現できるブログのスタイルは、少数派になりつつあります。最近では、「自分の意見を発信したいなら、SNSでやればいい」という風潮が強まり、個人ブログの持つ独特の温もりや奥行きが少しずつ失われつつあるのは、少し寂しくもあります。
それでも、少数派ではありますが、個人の意見発信を貫くブロガーも存在しています。その人たちは、たとえ少人数しか訪れなくても、自分の書きたいことを自由に綴り、読者との小さな交流を大切にしています。そこには、一過性の情報消費ではなく、読者の心に何かを残したいという思いが感じられることも多く、私たちはそうしたブログを見つけるたびに、一瞬立ち止まりたくなるのです。
最後に思うのは、情報があふれるこの時代だからこそ、個人の声や本音が響く場所が貴重であるということです。無数のアフィリエイトブログに埋もれても、心からの発信はきっとどこかで誰かに届くはずです。