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帰りたいと感じたフィリピン留学。実際に体験した心の葛藤とその解決法

10年以上前、フィリピンに留学してから、私は英語という異国の言葉に挑戦する日々が始まった。

日本で文法や単語を一通り学んだだけでは、現地の人々とのコミュニケーションはほとんど成り立たなかった。

最初は英語を話すことへの不安と、発音の壁に悩まされていた。

しかし、留学生活が進むにつれて、ある一つの方法に辿り着く。

それが「音読」だ。声を出して、繰り返し、体に英語を染み込ませることで、少しずつ自分の英語が形になっていった。この体験を通じて得た音読のコツを、ここにまとめる。

第一章: 音読教材の選び方―声を出してこそ見えてくるもの

フィリピンに来て、私は最初に直面したのが、英語をどうやって学ぶかという問題だった。

日本の教科書で読む英語とは、まるで異なる世界に足を踏み入れたかのようだった。

初めて手に取ったのは、中学校レベルの簡単な文章。それを必死に声に出して読む。

自分でも驚くほど、単語が口から滑り出るのが恥ずかしかった。だが、フィリピンの空気、異国の地で自分の声を英語で発する感覚が、やがて自信に変わった。

日本での教科書通りの読解力では、音読をしても外国語の感覚が掴めない。まずは簡単な文章で声を出すこと、それが第一歩だった。声に出すことで、日本語読みから脱却し、英語のリズムを体感する。

それが音読教材の選び方の最も基本的なポイントだと、フィリピンに来て初めて理解した。

第二章: 音読の長さ―短いものこそ価値がある

フィリピンの語学学校では、音読の時間が毎日のように課される。最初は長い文章を読むことに挑戦したが、だんだんと気づいたことがある。

長い文章をだらだらと読んでいるだけでは、身につかないということだ。むしろ、短い文章でも、集中して何度も繰り返すことで、徐々に発音が自分の体に染み込んでいくのを感じた。

ある日、授業後に友人とカフェで話していたときのことだ。英語が苦手だと自分を卑下していたが、ふとした瞬間、私が話した英語に友人が反応した。

「その単語、なんて発音した?」と言われ、気づけば、音読を繰り返した単語が自然に口をついて出てきていたのだ。

それこそが、短い文章を集中して繰り返し音読することの効果だった。

第三章: 音読の回数―自分の声が自動的に出てくるまで

私のフィリピンでの留学生活は、次第に「音読の回数」に追われるようになった。

最初は、20回、いや80回も同じ文章を読むことが必要だとは思わなかった。

しかし、ある日気づいた。リピーション―同じことを繰り返すことの価値―を、私はようやく実感したのだ。

何度も繰り返すうちに、文が自分の中に入り込む。その後、思い出したくなった時、ふとした瞬間にその文章が頭に浮かぶようになる。それが英語の「自然さ」だ。英語を話すとき、最初は翻訳しようとしていた自分が、気づけば翻訳なしに英語が出てくる。その瞬間、音読の効果を実感できた。

第四章: 音読の声の大きさ―力強さが必要だ

フィリピンの静かな夜に、私は何度も声を出して音読を繰り返した。時折、周りの人々が寝静まった後でも、私は声を大きく出すことを恐れなかった。

英語を話す時、腹式呼吸を意識して、思い切り声を出す。最初は、自分の声に違和感を覚えていたが、次第にその声が力強さを持つようになった。

声を大きく出すことで、英語の音が体に響き渡り、自然に発音が身につくのだと実感した。

確かに、夜遅くや人が近くにいるとき、音を出せないこともある。だが、それでも口を動かすことに意味があると、私は信じるようになった。フィリピンの喧騒の中でも、自分の口を動かして英語を発音すること。それが、英語を学ぶ私にとっての真の訓練だった。

第五章: 音読の速度―抑揚を大事に

フィリピンでの生活の中で気づいたことがある。英語の速度を上げることを重視していたが、実際には抑揚を意識して読むほうが効果的だということだ。

早さばかりに目を向けていた自分が、次第にその間違いに気づく。重要なのは、英語のリズムとイントネーションを理解し、適切な抑揚で音読を繰り返すことだ。

私は、スピードだけを追求していた自分を反省し、次第に英語のリズムに心を委ねるようになった。

それが、音読の本当の効果だと、ようやく気づいたのである。

第六章: シャドーイング―最初の一歩を踏み出せ

フィリピンに来てから、シャドーイングに挑戦したことがある。初めは、英語の音を聞いてすぐに復唱するのは難しかったが、それでも何度も挑戦しているうちに、だんだんとできるようになった。

その過程で、私は「シャドーイングは完璧にこなすことが目的ではない」と気づく。

大切なのは、少しずつでも英語のリズムとイントネーションを自分のものにしていくことだ。

シャドーイングに慣れることで、私は自分の英語が次第に自然に近づいていくのを感じることができた。最初はぎこちなかった発音も、いつの間にか滑らかになり、フィリピンの友人たちとも英語で会話を楽しめるようになったのだ。


こうして、フィリピンでの留学生活を通じて、私は英語の音読を習得していった。その過程は決して楽なものではなかったが、それでも一歩ずつ前進し、着実に自分のものとして英語を体得していった。

音読やシャドーイングを通じて学んだこと、それは決して無駄にはならない。何度も繰り返すことが、最終的に英語を話せるようになるための鍵だと、私は心の底から信じている。

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