インフラエンジニアの採用は難しい?採用のプロセスや成功のコツについて
1. インフラエンジニアとは
インフラエンジニアは、ITインフラストラクチャーの設計、構築、運用、維持管理を行う専門家です。
企業の情報システムやネットワークの基盤となる技術に責任を持ち、データセンターの管理、クラウドサービスの運用、ネットワークセキュリティの確保など、多岐にわたる業務を担います。
デジタル化が進む現代において、このインフラエンジニアという存在の重要性は、ますます高まっています。
1-1. インフラエンジニアの役割と責任
インフラエンジニアの主な責務は、ITインフラが円滑に機能し、ビジネスの要求を満たすようにすることです。
サーバー、ストレージ、ネットワーク機器の選定と設定、およびこれらのコンポーネント間の連携の確保など、その業務内容は多岐に渡ります。
また、データのバックアップと復旧計画の策定、災害時の復旧計画(DRP)の実施など、事業継続性を確保する役割も担います。
重要な役割を担うがゆえに、転職前後の平均年収増加幅が大きいのも特徴の一つです。(下図参照)
1-2. 必要とされるスキルセット
インフラエンジニアには、ネットワーク設計やシステムアーキテクチャの理解だけでなく、クラウドプラットフォーム(例:AWS、Azure、Google Cloud Platform)への深い知識も求められます。
また、自動化ツール(例:Ansible、Terraform)を用いたインフラのコード化(IaC)能力も重要です。セキュリティに関する知識も必須であり、インフラレベルでのセキュリティ対策を設計し、実装する能力が求められます。
1-3. インフラエンジニアリングの現在のトレンド
テクノロジーの進化に伴い、インフラエンジニアリングの分野も変化しています。
クラウドコンピューティングの普及は、インフラの設計と運用の方法を根本的に変えました。多くの企業がオンプレミスのデータセンターからパブリッククラウドやハイブリッドクラウド環境へ移行しており、インフラエンジニアはこの変化に対応する必要があります。
また、DevOps(開発担当と運用担当が連携・協力し、柔軟かつ素早く開発する手法)の採用が進む中で、開発と運用の壁を取り払い、より迅速に安全なアプリケーションを市場に提供する方法が模索されています。
2. インフラエンジニアの採用が難しい理由
インフラエンジニアの採用は、多くの企業にとって悩ましい課題です。
その理由は、インフラエンジニアの市場における需要の高さと、限られた人材プールの間に存在するギャップにあります。
その採用が難しい具体的な理由を以下に説明します。
2-1. インフラエンジニアは流動性が低い
インフラエンジニアは、ITインフラが企業にとって極めて重要であるがゆえに、プロジェクトや業務に深く関与していることが専らです。
高い専門性と責任感、長期的に自社に確保しようとする企業側の意向が、流動性を低くしています。
そのため、インフラエンジニアは、転職市場に比較的出現しにくいのが現状です。
2-2. インフラエンジニアの需要に対して人数が不足している
DXの加速により、インフラエンジニアへの需要は急速に増加しています。
クラウドコンピューティング、ビッグデータ、AIなどの技術の進化が、企業に新しいインフラの構築や運用を要求しています。
しかし、この需要を満たすだけの十分な人材がまだまだ十分に育ってないのが現状です。
技術の急速な進化に対応できるインフラエンジニアの育成には時間がかかり、教育システムも追いついているとは言えません。
そのため、インフラエンジニアの採用強化のために待遇向上を打ち出す企業も増えてきています。
2-3. インフラエンジニアのスキルを正確に見極めるのが難しい
インフラエンジニアの採用では、その候補者が持つ技術的スキルや経験を正確に評価することが不可欠です。しかし、そのスキルセットは多岐にわたり、特に新しい技術領域においては、評価基準が確立されていないケースが専らです。
また、候補者の能力を見極めるにあたって、面接官自身も特定の技術やツールに関する知識がある程度必要になってきます。
その他、採用プロセスにおいては実技試験やケーススタディの導入、過去のプロジェクト経験に基づく評価などが有効ですが、候補者を正しく評価するための設計には手間と時間を要するでしょう。
3. インフラエンジニア候補者に巡り合う方法
インフラエンジニアの採用が難しいという現状を踏まえ、企業はどのようにして自社にとって本当に必要な候補者に巡り合えるのでしょうか?
以下に、効果的な採用戦略と、候補者にアプローチするための具体的な方法を説明します。
3-1. 求人広告の展開
インフラエンジニアにとって魅力的な求人広告を作成し、適切なプラットフォームで展開することは、優秀な候補者を惹きつける上で非常に重要です。
効果的な求人広告の作成方法:
求人広告には、企業文化、チームの雰囲気、キャリアアップのチャンスなど、候補者が知りたい情報を含めましょう。
また、具体的な技術スタックやプロジェクトの詳細を明記することで、関心を持つ候補者の注目を集めることができます。掲載する主なプラットフォーム:
LinkedIn、Indeed、Green、Wantedly、マイナビ、Typeなどの一般的な求人サイトのほか、GitHub JobsやStack Overflow Careersなどの技術者向けプラットフォームの活用も有効です。
3-2. ダイレクトリクルーティング
アクティブでない候補者、すなわち現在積極的に転職活動をしていないものの、業務環境や提示条件によっては可能性のあるインフラエンジニアに直接アプローチします。
ダイレクトリクルーティング:
専門のリクルーティングエージェントを活用するか、または社内のリクルーターがLinkedInやWantedlyなどのネットワークを用いて候補者に直接コンタクトを取ることができます。ソーシャルメディアを活用したアプローチ:
Twitter(X)、Facebook、LinkedInのグループやコミュニティに参加し、そこで活動しているインフラエンジニアに対して企業の魅力を伝え、関心を持ってもらうのも一つでしょう。
3-3. 派遣サービスを使った方法
派遣サービスや人材紹介会社を利用することで、採用プロセスを効率化し、短期間で適切な候補者を見つけることができます。
派遣サービスの選び方:
業界に特化したサービスを選択することで、求めるスキルセットを持った候補者へのアクセスが容易になります。信頼できるサービスを選ぶために、過去の成功事例やクライアントのレビューを確認しましょう。派遣サービスの利点と欠点:
短期間で質の高い候補者を見つけることができる一方で、コストが高くなることや、候補者とのフィット感を見極めるための時間が限られていることが欠点として挙げられます。
4. 採用プロセスの最適化
インフラエンジニアの採用においては、ただ自社に合う有能な候補者を見つけるだけでなく、選考プロセスを通じて技術的能力と文化への適合性を正確に評価することが重要です。
ここでは、採用プロセスを最適化し、企業にとって最適な候補者を選び出すための戦略について説明します。
4-1. 書類選考のポイント
書類選考は、候補者の技術的背景や経験を初めて評価する機会です。
この段階で、企業は候補者のスキルセットがポジションの要件と一致しているかを見極める必要があります。
履歴書と職務経歴書の詳細な分析:
技術的なスキルはもちろんのこと、以前のプロジェクトでの役割、達成した成果に注目しましょう。
新しい技術に対する吸収力・応用力を見る上でも、新しい技術や方法論を学んで実践に移した経験があるかどうかを確認することは特に重要と言えます。カバーレターの評価:
候補者がなぜ自社に興味を持ったのか、どのように貢献できると考えているのかを理解するため、カバーレターの内容も重視します。
4-2. 効果的な面接戦略
面接は、技術的能力だけでなく、候補者のコミュニケーションスキルやチームへの適合性を評価する上で、言うまでもなく重要なプロセスです。
技術面接:
実際の技術的問題を提示して解決させることで、候補者の問題解決能力と知識の深さを評価します。
可能であれば、実際の業務に近い状況をシミュレートするケーススタディを用いると良いでしょう。チーム面接:
候補者を将来のチームメンバーと一緒に面接することで、チームへのフィット感、実務上のコミュニケーションに問題がなさそうかなどを確認します。
4-3. 技術試験の設計
技術試験は、候補者の実際のスキルレベルを把握する上で重要なツールです。ポジションの要件に密接に関連する実務的な課題をもとに構成します。
実務に基づいた課題:
候補者に対して、実際の業務で直面する可能性のある具体的な問題を解決させます。これにより、実務経験と問題解決スキルを評価します。コードレビュー:
候補者が以前に書いたコードのサンプルをレビューすることで、コーディングスタンダードへの理解と技術的な洞察を評価します。
5. オンボーディングと継続的なスキル向上
当然ながら、採用して終わりではありません。迅速にチームの一員として機能し、長期的に会社に貢献できるようにするための事前設計が重要です。
効果的なオンボーディング手順と、継続的なスキル向上のための戦略について、以下に説明します。
5-1. 成功のためのオンボーディングプロセス
採用したインフラエンジニアがスムーズに仕事を始められるよう、計画的なオンボーディングプロセスを用意することが重要です。
オリエンテーションセッション:
会社の文化、価値観、期待する行動規範について理解を深めるためのセッションを設けます。新入社員が企業の一員としてのアイデンティティを育む第一歩です。技術トレーニング:
新しい技術環境に迅速に適応できるよう、必要なツールやシステムに関するトレーニングを提供します。特に、企業特有の開発プロセスやコーディング規約に焦点を当てます。
5-2. 継続的な教育とトレーニング
テクノロジーは常に進化しています。インフラエンジニアが最新の技術トレンドに適応し続けるためには、継続的な学習とスキルの向上が必要です。
専門的な研修プログラム:
最新の技術や業界のベストプラクティスに関する外部研修やセミナーへの参加を奨励します。これにより、社外の知識を取り入れ、新しいアイデアを職場にもたらすことができます。社内勉強会:
定期的に技術的なセッションやワークショップを社内で開催し、知識の共有とチーム間のコミュニケーションを促進します。
5-3. キャリアパスの開発
明確なキャリアパスを提供することで、モチベーションの向上と長期的なキャリアの展望を促進します。
個別のキャリアプランニング: 従業員一人ひとりのキャリア目標と興味に合わせたキャリアプランを作成します。これには、目標設定、定期的なパフォーマンスレビュー、プロモーションへの道筋が含まれます。
メンターシッププログラム: 経験豊富なシニアエンジニアがメンターとして、新入社員やジュニアレベルのエンジニアの成長を、1on1定例ミーティングなどを通じてサポートします。これにより、技術的なスキルだけでなく、リーダーシップや問題解決能力の向上も図ります。
キャリア形成や職場環境に関する不安や懸念を把握する場としても機能させることで、早期離職を防ぎます。
6. 結論 - インフラエンジニア採用の成功への道
インフラエンジニアの採用は、多くの企業にとって重要かつ挑戦的なプロセスです。この記事を通じて、インフラエンジニアとは何か、採用が難しい理由、候補者に巡り合う方法、採用プロセスの最適化、そしてオンボーディングとスキル向上の重要性について詳しく解説してきました。
最後に、インフラエンジニア採用の成功への道を総括します。
総括
明確な要件と魅力的な求人:
候補者が自身のスキルとキャリア目標を企業のニーズと照らし合わせることができるよう、明確かつ具体的な求人広告の作成が重要。アクティブ&パッシブ両方の候補者へのアプローチ:
効果的なダイレクトリクルーティング戦略と派遣サービスの利用を通じて、より広い範囲の候補者にアプローチします。転職市場に出現しにくい職種であるため、パッシブ候補者へのアプローチは特に重要になります。選考プロセスの透明性と迅速性:
候補者が選考プロセスを理解し、応募からオファーまでスムーズに進むことができるようにします。効果的なオンボーディングと継続的な学習の機会の提供:
新しいインフラエンジニアが早期にチームの一員として貢献し、長期的な成長を遂げるためのサポートをします。
今後の見通し
テクノロジーの進化と市場の変化に伴い、インフラエンジニアの役割はさらに重要性を増していくと予想されています。
企業は、採用プロセスを継続的に評価し、改善することで、この変化に対応し、競争力を維持する必要があります。
また、従業員のスキルアップとキャリア成長を支援することで、技術チームの士気を高め、優秀な人材の定着を図ることができるでしょう。
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