《火消しの極意3》何でも謝ればいいってもんじゃない 事実を確認しろ
おう、いらっしゃい!
酒場のマスター、シシャモだ。
炎上の件、あれからだいぶ落ち着きを取り戻したか?
そうか、ならよかった。
だがここで安心するのはまだ早い。この先もまた同じようなことが起こるからな。
そうならないように、備えはしておこう。
火消しの極意 その三だ。
前の話で、リカバリーした後は迅速に関係者謝罪をと話したが、今日は真逆だ。
何でもかんでもすぐに謝ればいいってもんじゃない。
少し時間をかけてでも、まずは事実を確認するんだ。
「事実確認と情報整理」と最初に伝えたが、その部分になる。
もちろんスピードは一番大切なんだが、誤報で二転三転するほうがもっと印象が悪い。
始めに確認するときは、何が起こったかだけを把握する。
起こった理由は調査時点ではまだ不要だ。
お前さんの思いや、誰かの意見はそこに必要ない。
何が起こって、今どんな状態なのか?状況は良いのか悪いのか?
その事実だけを確認して、事実だけを端的に報告するんだ。
言い訳は見苦しいし、こうしたいという思いを伝えられても判断する側は困るだろう。
責任者なら、外部、つまりお客様や出資元へ説明する責任もある。
だから正確な事実の情報がまず必要なんだ。
初めから何でだ!?と聞いてくる上司や得意先がいるかもしれないが、
トラブル慣れしていなくて感情的になっているだけの場合も多い。
そういった手合いはなだめて、落ち着いて事実を話そう。
まだ調査中で、お前さんも情報を把握しきれていないかもしれない。
その場合でも、答えるのは事実だけだ。
こちらも感情的になっては、話が空中戦になったり、事実と異なる部分で論争になったりするから、できればそれは避けたいところだ。
お前さんが、一歩大人になるつもりでな。
もし、事実確認に時間がかかるようなら、それも事実として伝えよう。
その場合はいつまでに完了するか目途をセットで伝える。
目途も立たないようなら、いつまでに中間回答するか、などを細かく相手に伝えよう。
一次回答をして、経過報告もきちんとする。
それだけでも、お前さんの立ち振る舞いの印象はだいぶ良くなるはずだ。
事実の正確な情報があるだけで、説得力も増す。
その後で、謝罪なり修繕なり再発防止なり、必要なことを揃えていけばいい。
よし、まずは今のお前さんの目の前で起きていること、
このカウンターで見える情報を俺に伝えてみてくれ。
俺が髭を剃り忘れていること以外で、頼むな!