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《清掃5》空間をあえて作る 空間は心の余裕の広さと同じだ

おう、いらっしゃい!
酒場のマスター、シシャモだ。

騒がしくてすまないな、ちと店の中を改装していてな。
この店ももうすぐ一年が経つから、これを機に空間を広げようと思っていてな。
奥のテーブル席のほうは、開放感が生まれてだいぶ居心地がよくなっただろう?

空間は心の余裕の広さとほぼイコールだ。

お前さん、ちと普段の身の回りを思い出して見渡してくれ。
そこに何がある?物であふれちゃいないか?

クリエイティブな空間で、一見ゴミのようなものでもアイデアのきっかけになるから、
と意図的に置いているのなら構わないが、大抵の人はそうじゃないだろう。

物で周りを囲むと人は安心する。
それは自分のコンフォートゾーン、快適な空間から出なくてよくなるし、
パーソナルスペースの外を意識しなくて済むようになるからな。その気持ちは俺も分かる。

だが、物がなくなると不安になるという人は、普段から頭の中で思考がぐるぐるしていて、考え事が多いタイプが多い。
パーソナルスペースのすぐ外を囲っておかないと不安になるから、警戒心が強いんだろう。
まぁ稀に単純に片づけるのが面倒くさいからとゴミ袋に囲まれている人もいるが、そっちはまた別の理由だな。

空間を開けておくってのは、それだけ影響があるということだ。

一流のホテルやサービスを受けられる店では、全体の空間から設計しているところがある。
空間そのものがコンセプトってやつだ。
例えば南国リゾート風のホテルとかだな。
居心地の良さは物の少なさもあるが、天井や奥行き、物の配置などで空間自体を演出しているからだ。より深い配慮がされている場所であれば、照明や音楽、香り、客同士の雑音までよく考えられて設計されている。

開いている空間ってのは、放っておけば汚れもたまるし、ゴミも捨てられる。
用途不明だったり、理由を決めていない物が雑然と置かれていく。
まだ使えるから、使えるかも、といつ使うのかもわからないものが陣取り、そいつに家賃を払い続ける。
そんな状態にならないように、空間を維持しておくことは立派な管理能力だ。

こいつは物に限らず、精神的な意味合いでも役に立つ。
お前さんの心がざわついたり、窮屈に感じているようなら、
身の回りの物を整理してみるといい。
心の余裕も、自分で空間を作るんだ。

システムの開発でも開発期間のバッファとして数日の猶予を残しておくことがあるが、
こいつがある前提でスケジュールを組んでしまっては大変だ。
あくまで予備は予備だ。空けたままでコントロールできる状態が、本来の形だ。
空間をわざと空けておく能力は、いろんなところに応用が利くから、
ぜひ身に着けてみてくれ。

《基本スキル 空間を作る》

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