エンジニアが生成AIへ追加質問するポイント

 今回テーマにしている開発装置に関する質問に対する生成AIの6項目の具体的な回答内容を以下に掲載します。

生成AIの具体的な回答
1.初期化の問題
 初回のエラーが発生する原因として、装置やシステムが正しく初期化されていない可能性があります。初回の動作時に必要な初期化が不足しているか、誤って行われているかもしれません。
2.電源供給の安定性
 初回のエラーが電源の不安定性に関連している可能性があります。電源が十分に安定していないと、初回の起動時に問題が生じることがあります。安定した電源供給を確認してください。
3.ハードウェアの問題
 一部のハードウェアコンポーネントが初回の起動時に誤動作している可能性があります。配線の問題、コネクタの接触不良、またはコンポーネントの故障が考えられます。
4.ソフトウェアのバグ
 システムソフトウェアやアプリケーションにバグがある場合、初回の起動時にエラーが発生する可能性があります。ソフトウェアの更新や修正が必要かもしれません。
5.センサーのキャリブレーション
 センサーデバイスが使用されている場合、初回のエラーがセンサーのキャリブレーションの不足に関連している可能性があります。センサーが正しくキャリブレートされているか確認してください。
6.ログの確認
 システムやアプリケーションのログを確認して、初回のエラーが発生する原因を特定できるか確認してみてください。ログは通常、問題の診断に役立ちます。

 ここで、質問事項に対する原因について生成AIの回答に沿って考えてみます。電源投入時のみエラーという事象から、エンジニアであれば当然、初期化の問題を挙げると思います。生成AIも1番目に初期化について指摘していることは頷けます。
 しかし、2番目の電源の不安定、3番目のハードウェアの誤動作(配線、接触不良)、4番目のソフトウェアのバグについては、初回エラー後の安定作動の事象に繋がりにくく、疑問が残ります。膨大なデータベースからエラー発生要因を抽出しただけのようにも思えます。全てを否定する訳ではありませんが、原因追及の絞り込み対象の優先順を下げてもよさそうです。
 5番目のセンサーについては、正直盲点でした。匠も気付きませんでしたが、昨今、自動化が進み、制御系の様々なセンサーが組み込まれている現状から、キャリブレーションについては今後重要な視点になるものと思われます。1番目の初期化に次いで絞り込みの対象となるものと考えられます。しかし、センサーが組み込まれていない装置であれば、対象外になることは言うまでもありません。
 6番目のログについては原因追及の為の手段に過ぎませんので絞り込みの対象から外しても構わないでしょう。

 今回の事例では、人間が見落としがちな視点を補うと言う点では役に立つ(有効)と思われる結果となりました。しかし、回答内容を個別に吟味すると「玉石混合」の感は否めません。
 やはり、生成AIは使うのもであって使われるものではないと言うことでしょう。あくまで主役は「人間」であると言うことになります。そのためには、生成AIの回答を鵜呑みにするのではなく、一度立ち止まって質問内容の主旨に回答が沿っているのか、矛盾はないのかを検討することが重要になります。ただ、ここでエンジニアの常識(過去の経験・知見)のみで判断して、最初から否定的(先入観)で己の目を曇らせるよう取り組みは、避けることが望ましいと思います。ベテランのエンジニア程、己の経験・知見が邪魔をしてイノベーションを阻害することが良くあります。こういう時、経験の少ない若手エンジニア(ある意味毒されていない)に意見を求めると、考えもしなかった指摘を受けることもよくあります。若手を育てると同時に新しい視点を得る、Win-Winの関係を構築したいものです。

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