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エンジニアと生成AI№5(質問内容による生成AIの回答差異)

 今回は、生成AIへの質問内容によって回答にどのような差異が見出されるか確認したいと思います。生成AIはChatGPTを利用します。

質問
「装置に不定期にランダムに誤動作が発生する原因に何が考えられるか」

回答
「不定期でランダムに誤動作が発生する場合、原因の特定は挑戦的ですが、以下は考えられるいくつかの一般的な原因です」

1.電源供給の不安定性: 不安定な電源供給は、ランダムなタイミングで誤動作を引き起こす可能性があります。電圧の変動やサージ、ノイズが問題を引き起こすことがあります。
2.ハードウェアの故障: 装置内のハードウェアコンポーネントに故障が生じている場合、不定期かつランダムなタイミングで問題が発生することがあります。これには配線の問題、コネクタの不良、またはセンサーやアクチュエーターの故障が含まれます。
3.環境の影響: 装置が特定の環境条件に敏感である場合、気温の変化、湿度、振動、または他の外部要因が誤動作を引き起こす可能性があります。
4.ソフトウェアのバグ: システムソフトウェアやアプリケーションにバグがある場合、ランダムかつ不定期に誤動作が発生することがあります。ソフトウェアの更新や修正が必要かもしれません。
5.電磁干渉(EMI)や電磁耐性(EMC)の問題: 周囲の電子機器や無線信号が装置に影響を与え、誤動作を引き起こすことがあります。適切な電磁シールドやフィルタリングが必要かもしれません。
6.センサーの不正確さ: センサーが不正確である場合、ランダムな誤動作が発生する可能性があります。センサーの校正や交換が必要かもしれません。
7.ネットワークの問題: 装置がネットワークに接続されている場合、ネットワークの不安定性や通信エラーが原因で誤動作が発生する可能性があります。

「これらの可能性の中で、特に注視すべきなのは問題が発生する状況や条件です。ランダムな誤動作が発生するタイミングや環境の変化を把握することで、原因の特定がより容易になるかもしれません。また、システムや装置のログを確認することも重要です。特定のエラーメッセージやパターンがあれば、それが問題の手がかりとなります。」

 今度は、質問内容を変えてみます。

質問
「制御装置において時々誤動作が発生する原因は何か」

回答
「制御装置における時折の誤動作はさまざまな要因に起因する可能性があります。以下に、一般的な原因をいくつか挙げてみましょう。」

1.プログラムエラー: 制御装置が実行するプログラムに誤りがある場合、誤動作が発生する可能性があります。これには、不適切なアルゴリズム、条件分岐のミス、変数の不適切な使用などが含まれます。
2.センサーフォールト: 制御装置が外部からの情報をセンサーで受信している場合、センサーの故障や不正確なデータを受信した場合に誤動作が発生する可能性があります。
3.通信の問題: 制御装置が他の機器やシステムと通信している場合、通信エラーやデータの欠落が発生すると、誤動作が引き起こされる可能性があります。
4.電気的な問題: 制御装置が電気的な信号や電力を使用している場合、電気ノイズ、電力の不安定さ、ケーブルの断線などが誤動作の原因となります。
5.外部環境の影響: 制御装置が外部の環境にさらされる場合、温度変化、湿度、振動などの外部要因が誤動作を引き起こす可能性があります。
6.ハードウェアの故障: 制御装置自体のハードウェアが故障している場合、誤動作が発生します。これには、メモリの故障、プロセッサーの不良、回路の断線などが含まれます。
7.ソフトウェアアップデートの不備: ソフトウェアがアップデートされた場合、新しいバージョンが古いハードウェアや他のソフトウェアと互換性がないことが原因で、誤動作が発生する可能性があります。

「誤動作の特定と修復には、トラブルシューティング、ログの分析、テストなどが必要です。専門家の協力を得ることも重要です。」


 この2つの質問の違いは主語です。「装置」か「制御装置」かの違いになります。この両者の回答を見ると、装置の条件を設定した質問の回答がより具体的で、誤動作発生の要因に近づくヒントが隠されているように思えます。これは生成AIを人間に置き換えても言えるかもしれません。例えば、ベテランのエンジニアに「装置の誤動作」について質問しても、「そんな曖昧な質問では答えようがない。」と言われるのがオチです。「装置の概要、目的、機能等を説明してくれ」といわれるでしょう。生成AIも同じことです。
 従って、生成AIに質問する際の条件として、何を求めているのかの明確化が重要になってきます。
① 誤動作の原因を探りたい。
② 前提条件は何か。
③ 現在扱っている装置の誤動作である。
④ どのような装置なのか、目的、機能等は何が。
⑤ 誤動作する条件は何か、頻度、環境、手順(プロセス)等
これらを明確にすることで、生成AIも学習データからより本質に近い回答を導きだせそうです。
 以前、ピンポイントの質問では、データベースを活かせない懸念について言及しましたが、これは回答を誘導する側面を指摘したもので、前提条件の明確化による「より有益な回答」を引き出すものとは異なります。この時留意したいのは、前提条件を詰め込みすぎて、本質を見失う愚です。考えられる前提条件を洗い出して、どう引き算して絞り込むかが重要になるものと思われます。

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