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『技術士』という資格

技術士(ぎじゅつし)』という資格をご存知ですか?

これほど"難しい"のに"知名度が低い"国家資格はないと思っています。
(ここでいう技術士とは,”技術士第二次試験”のことを指します)

例えば,難易度と知名度を10段階(1:容易・無名)で評価すると,
  【 医 師 】難易度10,知名度10
  【一級建築士】難易度  8,知名度10
  【 技  術  士  】難易度  9,知名度  2
 あくまでも私のイメージですがこんな感じでしょうか。
 ちなみに,医師,弁護士,弁理士,公認会計士,技術士を5大国家資格ということもあるらしいのですが,本当かどうかはわかりません。

ここでは,技術士という資格がどういうものか,少しでも多くの皆様に知って頂きたいと思い綴ります。

◉合格率

 ここ3年間の合格率は以下のとおりです(技術士会HPより)。
  R1:9.2%,H30:7.2%,H29:10.6%
 合格率が低いからといって難易度が高いとは一概に言えませんが,容易ではないことがお分かり頂けるかと思います。

◉技術士とはどういう資格か

<技術士の定義>
 とりあえず以下のような定義がありますがピンとこないかと思います。
 技術士とは,『技術士としての登録を受け,技術士の名称を用いて,科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画,研究,設計,分析,試験,評価またはこれらに関する指導の業務を行う者』をいいます。

<技術士に求められる資質能力>
 技術士に求められれる資質能力というものも明記されています。
 それは『専門的学識,問題解決,マネジメント,評価,コミュニケーション,リーダーシップ,技術者倫理,継続研鑽』です。
 …これもピンとこないかと思います。

<部門>
 技術士といっても,実は以下に示す色々な部門(21部門)に分かれています。ただし,この中で受験者数が最も多いのは建設部門です。圧倒的に多いです。
『機械部門,船舶・海洋部門,航空・宇宙部門,電気電子部門,化学部門,繊維部門,金属部門,資源工学部門,建設部門,上下水道部門,衛生工学部門,農業部門,森林部門,水産部門,経営工学部門,情報工学部門,応用理学部門,生物工学部門,環境部門,原子力・放射線部門,総合技術監理部門』
 ちなみに,建設というのは公共事業に関するものです。よく建築と間違えられますが,個人の家などではなく,皆さんが普段使う道路や橋,ダム,鉄道などを指します。

<試験内容>
 試験問題は「筆記試験」と「口頭試験」があります。筆記試験に合格した人のみ口頭試験を受けることができます。
 筆記試験の問題は,論文4問です(令和元年度以降)。4問のうち,1問は600字以内,1問は1200字以内,2問は1800字以内の構成です。各々問題内容はもちろん異なりますが,専門知識・応用能力・課題解決能力が問われる問題です。具体は割愛しますが,とにかく文章力が必要という試験です。

<結局・・・> 
 結局この資格を持っている人ってなんなのか,これを持っているとどう仕事に活かされているのかというと,
◆日々仕事を行う中で,『何が問題(課題)で,どう解決するのか,どのようなリスクがあるのか等を論理的に組み立てて考えることができる』と国が認めた人です。
◆公共事業の仕事を受注するときに必要な資格です(私の場合は橋の設計を受注する際に必要)。

◉なぜ知名度が低いのか

 知名度が低い理由はこういうところかと思います。
・名前にインパクトがなさすぎる。
・分野が広すぎるため,名前からどのような仕事をしているかイメージが想像できない。
・建設部門に比べて他の部門の有資格者は少ないため,分野が広いとはいえ,結局部門での認識に偏りがある。
・基本的に技術者が持っている資格なので表に出てくる人が少ない。

◉まとめ

 技術士という資格を持っている人は,問題解決能力に優れる人です。
 社会に出れば,答えのない問題に直面することが多いと思いますが,技術士の試験問題は,まさにそのような内容です。自ら問題点を整理し,解決策,リスクを論理的に記述することが試験問題になっています。
 技術士に興味がある方は是非受験を,お子さんが理系に進まれる方は技術士という資格があることをお伝えください(※受験資格はありますのでご注意を)。また,日々(なんでもいいので)困っていることがある方,技術士に相談されてみてください。まったく関係のない分野でも"客観的に"応えてくれるはずなので参考になるかと思います。
・・・とまぁ,色々と書かせて頂きましたが,(というか複雑にしないように実は色々と内容を省いているのですが)結局言いたいことは,とりあえず技術士という資格を知ってほしいということに尽きます。それだけです。

 以後,よろしくお願いいたします。

※写真:ブルックリンブリッジ(こんな橋の設計に携われたらなぁ)

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