今こそ、学校教育に「民間の力の結集」を!
EDUSHIP株式会社・代表取締役社長の佐藤壮二郎です。
先日ご覧になられた方も多いかと存じますが、
という記事が出ました。
■日本は「学校教育に投資できていない」
端的に言うとグローバルとの比較でみても、日本は「世界で最も学校教育にお金を回せていない国の一つ」になってしまっており、
家庭に「教育費を依存している」という内容です。
普段仕事でのプレゼンの場でも触れる話題ですが、これは本当に国家的課題と言えます。
「子どもは増やしてほしいけれど、教育費は頑張ってね」という状況なのです。
逆に、一度想像してみましょう。もし家計負担に殆ど関係なく「日本全国各地の学校現場から次々に新しい教育が誕生していたら!?」どうでしょうか?
それは「社会全体が驚くほどのエネルギー」になるはずです。
現在、小中学校でいえば「行政(市区町村)」の管轄です。行政は税金で運営されていますので、少子化や成熟化によって税収の見通しが益々限定的になる中、「平均的活動」を行うことで精一杯であるのも現状です。
「次世代をみんなで育てていく」というテーマは町や学校だけの議題ではなく、「国づくり」に関わる議題です。
しかし今の仕組みのままでは投資やリソースが回りません。日本の公教育にはこれまで無かった「新たな仕組み」と「再投資」が必要なのです。
■「教育格差」は更に進む
教育費が家庭に依存するということは、教育費を「払える家庭」と「払えない家庭」の教育格差は極端に広がっていくことを意味します。
また、子供が多い家庭はそれだけ大変で、現在の国の矛盾は「子どもは増やしてほしいが、教育費はサポートできない」ということにあります。
今は情報化社会が到来し、国民みんながこのことをわかり始めています。
「子供は少なく」
「教育投資は多く」
「東京や都市部への集中」
今の社会の流れもまさにこの中で起きています。
都市部では小学生が習い事を2つも3つもしている家庭が多々あり、少子化にもかかわらず「習い事や塾の加入率が増加している」のはこれが理由です。
そして習い事をしている家庭の子と、していない子が一緒に授業をやれば当然その差は開いていきますので、そもそも論として「授業の在り方」も問われていきます。
これらが学校現場における関係者の不満を高める要因にもなっています。
そして最もお金のかかる大学教育。
地方から都市部の大学に通うのは「仕送り」なども含めると莫大な負担になります。
結果的に「都市部の大学の入学者」は「都市部出身家庭が多い」という構造になり、益々二極化を広げています。
■新たな仕組みの必要性
「高齢化」の時代に入った日本は社会保障で大きな費用がかかります。
結果として教育に回せるリソースには限界があり、しかし学校は時代と共に「新たな取り組み」だけは求められますので「先生方の負担」が増え、教員のなり手不足や働き方改革、など数々の問題が叫ばれています。
しかし、このままの仕組みでは何も変わらず「先生方は大変」な一方で、「家庭に教育費を依存する」という社会的状況も何一つ変わりません。
しかも、少子化が進めばさらに行政の財源は少なくなっていくのです。
じゃあどうすればいいの?
そのための最重要な存在が、今こそ
「民間の力の結集!」
です。
■学校教育にこそ「民間の力の結集」を!
そもそも日本という国は製造業の発展を中心に高度経済成長を実現した国です。
そのような国が学校教育となると「行政や学校のみで頑張って」ということに限界があるのです。
民間企業出身の私が公的機関でも仕事をしてきて感じましたが、国・行政・財団・学校・国立機関等は、そもそも「税金」や「助成金」が原資ですので「平均的な活動」に向き合わざるを得ません。
税金は「特定の顧客のものではない」からです。なので、公的機関がやるならば全員平等にという発想にならざるを得ません。
しかし、民間企業は構造が全く違います。
民間企業は「マーケティング=顧客の特定」が大前提です。
どのような民間事業も「モデルケース」をまず創ってから広めていくというのが当たり前で、「すぐ行動ができる」点もポイントです。
殆どの企業は「社長がOK!」といえば大半のことが開始できます。但し、企業は「自社の利益」にならなければなりません。
しかし、そもそも「学校現場に広く自分たちの企業を知ってもらえること」はそれ自体が普遍的で、特別で、「とても大きな価値」です。
企業にとっても学校教育への支援は中長期的な価値を生むのです。
もし日本の企業が次々に学校教育へ積極的な支援を表明したら、先生方もサポートでき、教育も高められる「新しいサービス」が次々に登場するでしょう。
行政や学校のみに教育を任せるのではなく
「経済界も一緒になって学校教育にどんどん参加する」=「民間の力の結集!」
これが解決策の一つです。
これについて私が近年関わってきたプロジェクトでも事例が生まれ始めています。
過去全国5,000校以上の小学校に寄贈された「小学校体育フラッグフットボール」と「江崎グリコ株式会社のポッキー」協賛企画などは21世紀に登場した新たな事例です。
大規模な小学校セットが準備され「フラッグフットボール」は無名でありながら、教育価値の高さと無償提供ということで学校現場で話題を呼び、授業実績が多数生まれ、遂には新・学習指導要領にまで登場しました。
また、筑波大学で設立された新スポーツ局「アスレチックデパートメント」が民間企業と次々に提携を開始、日本全国の小・中・高への発信のために「学校スポーツ(部活動)の課題解決と新たなモデルケースづくり」を始動しているのも事例の一つです。
このように「経済界や産業界」が学校教育に参加すると、新しい教育が広がっていきます。
これが学校や行政だけの活動としていたら、どうしても遅くなってしまうはずです。学校や行政の第一の役割は発展的投資よりも先に「セーフティネット」です。
それに対して経済界や産業界の役割は「発展」です。この発展性が学校現場と連動することで「新たな学校サービスを創り出そう!」という「社会課題解決型の新議題」へと変わっていくのです。
そして、このような取り組みが日本で当たり前になると、冒頭の議題に戻り家庭負担に関わらず学校で新しい教材やサービスが展開されていくことになり、日本の次世代教育が大きく動き出していくはずです。
次世代教育は「人づくり」
そしてそれは「国づくり」です。
次世代を担う子どもたちにどれだけ投資できるか。それが国の将来を決めるはずです。
EDUSHIPという会社はまだ歴史が浅いのですが、
「学校と企業を繋ぐ新しいプラットフォーム」
になるために設立し、現在新たな学校へのサービス開発のプロジェクトが次々に進んでいます。
是非、これから皆様と同じ"船"に乗って、学校現場の課題解決と共に、新たな成長と貢献を進めていきたいと思っています。
EDUSHIP株式会社
代表取締役社長 佐藤壮二郎
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佐藤 壮二郎 Sojiro Sato
エデュシップ株式会社代表取締役社長。社会起業家、教育貢献事業プロデューサー。中央大卒。従来の「画一的な比較・競争型の教育」から「多様性をベースとしたWell-Being型教育」への転換をテーマとして活動している。大手ITコンサル企業日本ユニシス株式会社を退職後、公益財団法人日本フラッグフットボール協会の設立委員を務め、小学校体育「フラッグフットボール」を日本全国でプロデュースした。同種目は現在新・学習指導要領に登場している。続いて筑波大学で日本初の産学連携型の学校スポーツ局「アスレチックデパートメント」の設置委員を務め、初代スポーツアドミニストレーターに就任。小・中・高を見据えた部活動の新たなモデル作りとその発信に貢献している。また国・算・理・社・英以外の科目において学校サポートが少ないことに課題を感じ、日本全国に新たな教材・サービスを開発すべく大手教材会社教育同人社との共創により新・学校教材カンパニー「EDUSHIP」を設立、代表取締役社長に就任した。自身のコンサルティング企業「KTRクリエイション合同会社」の代表も務めている。栃木県在住。42歳。