アダムとイヴになれない夜
僕は食べてはいけない果実を食べてしまった
彼女が僕にどうしても食べてほしいと言ったので、僕はそれを食べてしまった
僕には命よりも大切なものがある
その大切なものと共にいつまでも幸せである為には、その果実を決して食べてはいけなかった
彼女は少し照れながら微笑んでいた
その姿はまるで女神の様だった
甘い甘い果実
その魅力に吸い込まれた僕は、もう元の世界に戻れないのかもしれない
ごめんなさい
ごめんなさい
大切なものに謝る僕を、彼女は優しく包み込んでこう言った
「さあ、もっとお食べ。もっともっと…大事なものなんて初めからなかったのよ」
僕は食べてはいけない果実を食べてしまった
彼女の願いを、叶えてあげたくて…