アズサノコト 其の弐
梓の過去。
花江が机に突っ伏して寝ている
疲れ切った梓が大きなビニール袋を2つ程持って帰ってくる
そこには大量の食材や酒瓶がギューギューに詰められている
梓「…ただいま…」
花江「ん…」
梓「お母さん…買って来たよ…」
花江「梓」
梓「え?」
花江、梓にビンタ
花江「遅かったじゃない」
梓「 ご…ごめんなさい…」
花江「どうして買い物に行くのにこんなに時間がかかるの?たかがこんな量買うのにそんなに手間取るなんて本当あんた人間のクズね」
梓「 ごめんなさいお母さん…でもね、途中でビニール袋が破れちゃって、それで詰め直してたら遅くなっちゃって…」
花江「言い訳するな!!!」
花江、梓を痛めつける
梓「 ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
花江「全く…何か言う度に言い訳言い訳…どうしてこんな子に育ったのかしら…なに?途中でビニール袋が破れたって?」
梓「 …」
花江、散乱した荷物から一つ取り出す
花江「あーあ…泥がついてるじゃない」
花江、それを梓に近付ける
花江「舐めなさい」
梓「 え…」
花江「聞こえなかったの?舐めなさいって言ったの」
梓「 い…嫌…」
花江「自分で犯したミスは自分で片付けなさい。あんたは自分のミスで物を汚したの。その責任を取ってもらうわ」
梓「 お願いします…許してください…」
花江「許してほしいならさっさとこの汚れを落としなさい」
梓「 …」
花江「早く」
梓「 …」
花江、梓を更に痛めつける
花江「この役立たず!!あんたは物を磨く事も出来ないの!!?」
梓「 ごめんなさい…ごめんなさい…」
花江「ああそうかわかった…あんたに人並みの生活させてるから甘ったれちゃってるのね…」
花江、一度はけ、何かが入った黒いポリ袋を持ってきて梓の前に放り投げる
梓「 う…臭い‥」
花江「食べなさい」
梓「 …何これ…」
花江「今日からこれがあんたの食事よ。必要最低限の事もこなせないあんたに人と同じ物を食べる資格なんかないよ」
梓「 お母さん…そんなの…」
花江「あんたに指図する資格なんかないのよ!!」
梓「 …ごめんなさい…ごめんなさい…」
花江「謝る暇があるならさっさとこれ食べて部屋の掃除をしなさい」
梓「 …ねぇお母さん…」
花江「なに?まだ何かあるの?」
梓「 お、お母さん…どうしてこんな事するの…?私…お母さんに何かしたかな?悪い事したなら謝るよ…だから…教えて?私にこうする理由を教えて…?」
花江「…」
花江、梓の顔を直近でじっと見つめる
花江「躾の為よ」
梓「 躾…?」
花江「親不孝者のあんたの言う事を聞かせるにはこれくらいする必要があるのよ。あたしは仕事で疲れてるのにそれに構わず自由に遊びほうける不良娘にはこう
やって体に叩きこまないとわからないんのよ。そうでしょ?梓」
梓「 わ…私は」
花江、梓をビンタ
花江「また言い訳しようとしたわね?」
梓「 ごめ…なさい…」
花江「覚えておきなさい。これはあくまで「躾」なの。あんたが私の苦労をわかって、私を労って私を楽にしてくれたら部活でもなんでも行けばいいわ。これは
全部あんたの為なんだからね」
梓「 …はい、わかりました…」
花江「いい子になるのよ、梓」
花江、部屋を出て行く
梓、頭を抱える
しばらく苦しむと喋り始める
梓「 梓…梓は…悪い子か…あぁ…そうなんだ…じゃあ、立派に…ならなきゃ………そうだ…お母さんの為に……えてあげなきゃ…………」
物語はアズサノコト其の参へ続く…