終演「カトレアと憂いの森」
先日千秋楽を迎えました。吉祥寺GORILLA「眠れぬ森の人々」
吉祥寺GORILLAでは初の脚本演出をつとめました。劇団で短編集は初めて。主宰隆也以外の劇団員が脚本演出も初めて。たくさんの初めてと挑戦が詰まった公演でした。
今回は劇団員になった光山さんの、初舞台でもあり。一緒にそのときを迎えられたことを嬉しく思います。
今日は「カトレアと憂いの森」について
サリーさん、書きますか。となったのはいつかの劇団会議でした。それぞれ台本ややりたいことを持ち寄っての会議。そのときは、12月のAMP(もうひとつの所属劇団)「サリーの実験室」が終わったころでした。そちらで脚本演出全て私の3本立て短編集をやったばかりで、自分から書くつもりはなかったのでした。
一人芝居を持ってきたまあやさんとるいちゃん。
5人芝居(のちの6人芝居)を持ってきた泰成。
2人芝居かなあという感じの隆也。
ふむ、じゃあ書きますか…となったわけであります。
多分暗いのが多いから明るいやつがいい。
泰成のが5人だから5人くらい出るやつがいい。
なるほどね。じゃあ、「眠れぬ」だし、逆に眠りすぎちゃう奴を出そう。となると病院、お医者さん、患者さん、看護師さん…え、これ泰成のと被るんじゃない?隆也のも病人出てくるんじゃない?それに私のテイストだと暗くなるよ???
…………よし、ファンタジーだな。
という流れでカトレアが生まれました。
私が書く必要性が欲しかったので。どうせやるなら全く違うように見えた方がいい。
書いてみたらば何やらとても好きな本ができました。漫画の読み切りっぽい。連載が決まったらカトレア、プラタナス、ロベリアの3人から始まるね多分。
「眠り」がテーマのようでいて、本当のテーマは「孤独」でした。
家族や恋人と隣で寝るとき。人は私よりも先に眠って自分だけが世界に取り残されるような気になる。そんなことないですか?相手が眠るまで話をして、その人は満足して眠りにつく。でも残された私の寂しさは誰が満たしてくれるのだろうと。そんなことを思う夜がいつの日かあって。
いなくなった人を思う孤独と、そばにいる人がいなくなるかもしれない恐怖。故に執着してしまう。
私は拗れた愛の話が好きだ。
お話のヒントはまたもポルノグラフィティからいただきました。過去作では「蝙蝠」「海月」から着想を得ましたが、
今回は「憂色〜Love is you〜」から。
ーーー
押し返す悲しみの中
君は無口な魚のようで
口笛は繰り返し
古いレコード なぞる
ーーー
眠れない夜を重ねただけ
愛が育っていくよ
悲しみの果実
ーーー
はぁ〜〜〜。文学〜〜〜。
素敵な歌詞ですね。ここからあれができました。
良かったら聴いてみてください。
盛り上げるところは思い切り盛り上げたけど、やりたかったのはアイビーが歌を口ずさむシーンでした。これが難しかった。
劇場空間の静けさを一身に背負って、暗さ、重さ、人が居るのに自分は独りだという孤独感を、歌を歌うことで表現する、ということ。
孤独の闇に耐えきれず歌を口ずさむ。自分を慰めるために。うう、悲しい、アイビー。
どれだけ伝わったか分からないけど、やりたいことはこれだったから。やってよかったと思う。
ほぼ当て書きの台本でした。今回のメンバーが集まらなかったらこうはならなかった。出会ってくれて嬉しいです。本当にありがとうございました。BIGLOVE。
キャラクター名は花言葉から取りました。
カトレア 魔力
プラタナス 好奇心
アイビー 死んでも離れない
ニゲラ 夢で会いましょう
ロベリア 悪意
物語に効果的に作用してくれた。助かった。
音響、照明チームが心強かった。私のイメージをすぐ形にしてくださって。やっぱりすごい人たちだ。一緒にやれて幸せだ。
今後も機会があれば何か書くやもしれません。が、今のとこ予定はありません。
滅多にない機会に出会ってくれた方々、本当にありがとうございました。
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